最近の風潮は
クルマを運転しながらFMラジオを聞いていたら、対談形式の番組に国語辞典の編纂者が出演していた。彼曰く 「最近、『ご苦労様』という言葉は上から目線に聞こえるので使わない方が良い、ねぎらいの言葉であれば『お疲れ様』がふさわしい、という説が流布しているが、『ご苦労様』にはそんな人を見下すような意味はまったくない」とのこと。私も仕事で若者たちと日々メールの遣り取りをしているが、業者などに対して「ご苦労様」というべき箇所で、やたらと「お疲れ様」が出てくることに違和感を感じていたので、やはりそうだなとハンドルを握りながら一人で肯いていた。そのほか、日頃彼らとのメールでどうしても気になのが、「させて頂きます」のようにやたらとへりくだる口調、あるいは対象となる相手に面と向かっているのでなく一般的な客体である人(人々)に対してまで「いらっしゃる」という尊敬語を多発する点である。いずれも低姿勢であるかの発信にしておけば、波風が立ちにくい事を狙っているのだろうが、若者よ卑屈になる必要はないと云いたい。「ご苦労さま」「○○を致します」「○○がいます」で充分である。
先ごろ行ったホテルには無料で新聞が置いてあり、その「地域版」に、県内の結婚やおくやみ、新生児の命名を伝えるコーナーがあって、東京の新聞にはないので、ついそのページに見入ってしまった。なかでも目を引いたのが、赤ちゃんの命名欄であった。ある大きな市の赤ちゃんの新しい名前を上から読んでいくと、徠捺(きな)、夾生(こう)、暖弥(はるや)、紫響(しおん)、柚凪(ゆずな)、翔生(とき)、乃愛(のあ)、星來(せな)、空優(くう)、璃音(りのん)、琉彩(るあ)、世成(せな)等々となっている。これらはわざわざ凝った名前の例を拾ったわけでなく、掲載順にそうなっていたのである。これ以外も漢字はIMEパッドでなければ出て来ない字も多く、読み方もフリガナがなければまず読めない名前ばかりで、昔の様に一郎や春子などのシンプルな名前は見当たらないし、なかには性別がよく区別できないものもある。両親はさまざまな思いを子供の名前に託しているのだろうが、幼稚園や学校で先生は出席簿を読めるのだろうか、役所の窓口などで確認を求められたりしないのかと新聞を読みつつ他人事ながら気になった。名前の点からも世の中は変化している事を感じる。
中学時代の男女友人たちと昼呑み会を行う。最近は皆がヒマになって、幼稚園、小・中・高、大学、社会人など、各時代の旧友との呑み会が多くなった。こういう際にタッチパネルで酒や料理を注文するのに苦闘し、思った通りのグラスや料理が届くと皆で胸をなでおろすのがシニアの”あるある”だ。ちょっと値段が高くなってもよいから、従来の声掛け一つで注文を受けるテーブルがあれば気軽なのにと友人らとこぼすことしきりである。そのうちLINEで連絡しようということになり、皆がスマホを取り出すのは良いが「あーでもない、こうでもない」と友達登録やらグループの設定にひどく時間がかかるのも”お約束”。アルコールが廻るにつれて、亡くなった会社時代の友人へお悔やみをしようにも、個人情報保護法やらコンプライアンスがんじがらめで連絡先さえ教えてくれない現役の会社に憤慨の声も高まる。まあ最近の風潮に首を傾げることが多いのは、こちらが齢をとった証拠であろう。個人情報と云えば「近頃はAIとかで、顔だけ別にすげ替えられたり、別の目的で使われるのは心配、だから写真には写りたくないよね」と女性が云うので、「誰も70歳代も半ばになろうとする婆さんの画像を水着姿の下半身に合成したりしないぜ」と茶化したくなったが、そこは口にせず腹の中でぐっと呑みこんで杯を重ねた同窓会だった。
« 風情ある高岡の町 | トップページ | ねんりんピック岐阜2025 東京都選手団解団式 »
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 80万アクセス突破と辺野古の”平和学習”(2026.03.17)
- 男性の更年期障害(2026.03.09)
- オルセー美術館所蔵 印象派展(2026.02.09)
- 健康診断 毎年厳しくなる基準値(2026.02.07)
- マドゥロ大統領拘束 ベネズエラの思い出(2026.01.05)


コメント