三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その4・寄港地編)
熊野沖に集まった「飛鳥Ⅱ」と「にっぽん丸」
海上自爆と呼ばれる海面上での花火
東京を出てまる一日航海し、「三井オーシャンフジ」は三重県熊野市で開かれる熊野大花火大会を見るために、七里御浜海岸沖に到着した。午後4時ごろ海岸から1マイル(約2キロ弱)ほど離れた海域に投錨すると、間近には「飛鳥Ⅱ」が既に到着しており、続いて「にっぽん丸」、さらに沖合には「ダイヤモンドプリンセス」も次々と錨を降ろした。クルーズ客船が4隻も揃い踏みとは、まるでバハマのナッソーにいるようで壮観である。旧盆日曜日の花火大会とあって望遠鏡で岸辺を見れば、早くから多くの観客が詰めかけ、今や遅しと花火大会の始まりを待っているのが分かる。ここでは 「飛鳥Ⅱ」と「にっぽん丸」が花火会場のま正面、三井オーシャンフジは正面だがやや斜め横、「ダイヤモンドプリンセス」は船の大きさもあってちょっと沖の錨地で、それぞれが3~4ケーブル(約600~700米)離れて碇泊した。いずれの船からも迫力ある花火が間近に見ることができる位置どりである。我々はただ船にさえ乗っていれば、そこが納涼特等席になるのだから、クルーズとは気楽なものだ。
後日、「三井オーシャンフジ」のイギリス人船長は 「なかでも日本船は花火を見るには一番良い場所に停泊できる」とやや悔しそうなコメントを発していたが、聞くところによると各クルーズ船会社は協賛金を出しているそうだし、永年訪れて来た「飛鳥Ⅱ」と「にっぽん丸」がベストポジションを与えられるのは止むを得ないところ。熊野大花火大会は、お盆の初精霊供養に花火を打ち上げたことに起源を発し、三百余年の伝統を誇るそうで、全速力で走る2隻のボートから、点火した花火玉をつぎつぎと投げ入れ、海上で半円形の花を咲かせる「海上自爆」や、岩場や洞窟を利用した「鬼ヶ城大仕掛」などが見られる大掛かりな花火大会である。夕食を摂りながら待つことしばし、ようやく辺りも暗くなった夕方7時すぎ、「ドーン」という火薬音とともに、お待ちかねの花火大会が始まった。船のデッキには椅子が並べられ、無料サービスで飲み物が振舞われている。この大会で上がる花火は1万発ほどで、2万発の隅田川花火大会などに較べると打ち上げ間隔もゆったりだったが、次々と花開く光の輪は波の背に反射して映え、蒸し暑い天気も海上では気にならない。こうして約2時間、このクルーズの2日目に日本の夏を楽しむことが出来た。
翌日は高知に入港、2021年の武漢ウイルス騒動下に飛鳥Ⅱで来た際には、自由行動は許されず、唯一、舷門から貸し切りバスで桂浜に行って帰ってくるだけだったが、今回はシャトルバスで市内へ行き、観光定番の「はりまや橋」や高知城をゆっくりと見て回ることが出来た。続いて訪れた油津港では、本船からの半日の寄港地観光ツアー「都井岬半日観光~日本唯一の野生の馬の生息地~」に参加した。都井岬は江戸時代は高鍋藩の軍馬や農耕馬を飼育する領地だったが、幕藩体制で世の中が平和になると軍馬を育成する必要がなくなり、放っておかれた馬が野生化したとのこと。日本ではここだけと云う、まったく自然のままに何十世代も経た馬たちが、現在では100頭余り生息している。体長は130センチ余と西洋の馬より一回り小柄で、毎年20頭ほど仔馬が生まれるものの、そのうち一歳までに半分が死に、残った馬も平均寿命は15歳だそうだ。馬の歳月は人の4倍早いだそうだから、人間にすれば60歳くらいが都井岬の馬の寿命となる。人間に飼育されている馬は18歳~20歳まで生き、競走馬などは20歳以上も多いとされるので、医療や環境が行き届くと長生きとなるのは人間と同じなのだろう。ここでは何百年も人間が馬に関与してこなかったため、人の姿やクルマを見ても彼らは何とも感じず、観光客が近寄ってもまったく我関せずである。森蔭で平和に草をはみ続ける都井岬の馬たちを見ていると、自然の下、自由に生きて遺伝子の命ずるまま早々に亡くなる方が良いのか、医療の進歩で長生きする方が幸せなのか分からなくなってくる。
都井岬灯台のたもとで、観光客も気に留めずのんびりと草をはむ野生馬
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その5・寄港地・完)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その4・寄港地編)(本稿)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その3・その他編)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その2・サービス編)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その1・船体編)
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