世界陸上東京大会と織田裕二
世界陸上競技選手権大会(世界陸上)が東京で開催されたので、毎晩のようにTBSの中継放送を見てしまった。TBSと云えば 「サンデーモーニング」や 「報道特集」を見るまでもなく、左に偏向した報道番組ばかりで普段はなるべく見ないようにしているのだが、「ドラマのTBS」と云われた時代の名残りか 「不適切にもほどがある!」や 「 VIVANT」など世間の耳目を集め、見る者を唸らせるようなドラマも時々放送する。二年に一度開催される世界陸上は、この局の独占中継放送なので、秋の夜長、TBSにチャンネルをあわせることにした。今年は、小池君(400米リレー)、豊田君(400米ハードル)と競走部の後輩である2人の選手が出場しているので、より一層期待が高まる。ただこれまで歴代の世界陸上の中継では、大会の顔である織田裕二のテンションが妙に高く、興を削いでいたが今回はどうだろうか。前回大会では彼がMCを外れてホッとしたが、東京では復帰とあってTVのボリュームを一段と下げての視聴であった。
彼が何故そんなにうざいのかと云えば、陸上競技を本格的に経験したわけではないのに、400米ハードルを 「ヨンパーは...」、1600米リレーを 「マイルリレー」、400米リレーを 「ヨンケイは」などと、仲間内で使う用語を連発する点にある。永年NHKのテレビやラジオで 「日本陸上競技選手権大会」などを視聴しているが、アナウンサーが400米ハードルを 「ヨンパー」と呼ぶのを聞いた記憶はない。例えて言えば、寿司屋に行って「ムラサキ!」「ギョク」「アガリ!」「オアイソ!」などの符牒を連発する客がいれば、周囲は 「”通”ぶっちゃって」と密かに笑い、店の者は内心小ばかにするであろう。同じような感覚で、彼の陸上関係者ぶった表現が、どうも私には鼻について仕方がない。あくまで彼は陸上競技ファンの立場から、それらしく 「4かける400メーターリレー」と云えば聞いている方は安心なのに、「通らしさ」が痛くて残念だ。
箱根駅伝の中継でも感じるのだが、「いまァ!ゴールしました~!!」などアナウンサーの絶叫は陸上競技の雰囲気を損ないがちである。今回も女子競技の時に喋る女子アナはやけに声が高い上に、画面を見れば誰でもわかることを実況するので、「一々喋らなくても見ればわかるよ」とついTVに言いたくなった。本来は地味な競技なのだから、やたらとドラマ仕立てにする必要はない。そういえば3000米障害決勝のゴール前で三浦選手が他の選手に押され順位を落としたシーンに、「あれは妨害だ」との声がネットで湧き上がったが、本人は「これが3000メートル障害の醍醐味であり、難しさでもあるのかなと思います」と悔しかったであろうが淡々としていた。中長距離種目のゴール前は、みな全身全霊を捧げ1センチでも前に出るために無我夢中の場所で、あの程度の接触は競技のうちである。私も高校の県大会1500米で後ろからひっかけられて転倒し、途中棄権を余儀なくされた事があった。世界陸上が盛り上がるのは結構なことだが、織田裕二のしゃべりやネットの頓珍漢な批評など、何かとトラック外がうるさい世界陸上の東京大会であった。などとテレビの前で一人喚いていたら、傍らで妻が 「あなたの方がTV見ながらキャンキャンとうるさいわよ」とのたまった。
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