三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その3・その他編)
今回のクルーズは乗船客が約300名、その他に途中の佐世保からの区間乗船者が約100名と、定員450名余に対してほど良い混み具合であった。とは云うものの、例のセルフランドリーを除けば船内どこも余裕のある空間で、食事やイベントに順番待ちがほとんどないのは、さすがベースが高級船だけのことはある。まずはメインダイニングの「ザ・レストラン富士」は、料理もさることながら天井が高く格調高い雰囲気が心地よい。特にテーブルの配置が絶妙で、隣のテーブルに話しかけようと思えば無理なく会話ができる一方で、自分たちだけで食事を楽しもうとすれば、それもできる間隔でテーブルが置かれている。最近のクルーズ船のダイニングはほとんどが自由に席を選べる方式だが、隣のテーブルが近いと何か気の利いた会話でもせねばと、とかく横や周囲が気になるものだ。見知らぬ同士が食事中に打ち解けて以後の船内が楽しくなる場合もある一方で、中には露骨に話をしたくないという社交性のかけらもない乗客もいて、食事の時にどういう席に着くか気を遣うのがクルーズ船の”あるある”である。その意味で喋っても良し、社交をしなくても良しの「ザ・レストラン富士」のテーブル距離感は秀逸だと感じられた。
船内には5か所食事のできるレストラン(コーナー)がある。その中では、ゲストサービスに近い場所にある「オーシャンカフェ」、プールサイドレストラン「湖畔」は、気の効いた軽食メニューで味も良く小腹の空いた際には重宝した。「富士」では和食が美味しかったが、ビュフェスタイルのテラスレストラン「八葉」(はちよう)の日本食(すきやき、焼きそばなど)は、インド人シェフが調理しているようで、いかにも外国船で出される日本食という感じだったのは仕方がないところか。一人15000円も徴収する有料レストラン「北斎」は雰囲気はきわめて良いのだが、ウエイター・ウエイトレスが他のレストランと掛け持ちなのがゴージャス感を削いでいた。ここはソムリエのバッジも誇らしげな専任クルーが給仕をして欲しいものである。知られていないのが、本船は特別なドリンク以外はアルコールが無料であることだ。ホームページ上には「アルコール飲料のご提供は別料金となります」と表示されているが、「乗船のしおり」には無料との記載もあり、この点については半信半疑で乗船したのだった。有料だと思って初日に高い有料アルコールのボトルを購入してしまい「最初からきちんと言って欲しかった、高いボトル買って損した」と苦笑いをしていた乗客もいた。Wi-Fi無料とともにふつうのアルコール飲料は無料である旨、事前にはっきりと示しておいた方がよい。
ハウスバンドやラスベガススタイルのショーは、シーボーン時代から乗船しているグループなのだろうか、これまでに経験したクルーズ船の中では最も秀でており、素晴らしパフォーマンスだと感心した。また嬉しいことに「飛鳥Ⅱ」ではすでに止めたターンダウンサービスも継続されていて、この船がブティック船であった名残りを感じることが出来る。せっかくの5つ星の高級船を購入して日本市場に投入したのだから、良き慣習は今後もなるべく残すようにして欲しいところだ。他方、船長がイギリス人であるために、航海に関する情報が通り一遍で、名所案内や海洋生物に関する船内放送が一切なかったことは寂しい点であった。で、今回もオブザベーションバーで瀬戸内海の海図や航路の略図を広げて妻と話していたら、周囲に人が集まってきたので、請われるままに船外に広がる工場地帯の説明や関門海峡・来島海峡などの航行ルール、点在する島々の地誌などを解説することにした。そのうち周囲に「先生」などとおだてられてしまったが、私の拙い知識を他の乗客の方々と共有できたことは嬉しい限りである。ただせっかく「美しい日本の船旅」と船内アナウンスは事ある毎に強調しているのだから、船側も移り行く情景や海象などを乗客に伝える努力をしたらどうだろうか。
本船は「飛鳥Ⅲ」のように船内は各自が思い思いに静かに過ごすことを志向しているのだと、乗船前には思っていたが、8泊9日のクルーズの実際はアクティブで忙しいものであった。出港翌日の熊野沖での大花火大会鑑賞に続き、高知、油津、佐世保、麗水、神戸と各寄港地でのセイルアウアェイパーティ、ヨガ、シャッフルボード、ボッチャに輪投げ、折り紙教室、盆踊り、さらに社交ダンス教室まで、船内ではテンコ盛り、多彩な催し物や教室が開催されていた。いま「飛鳥Ⅱ」は日本船スタイルで船内催しをいろいろ工夫する一方で、「飛鳥Ⅲ」は今までの雰囲気とはガラっと異なりクルーズスタッフも乗船しない新しいスタイルらしい。こちら商船三井クルーズでは本船「三井オーシャンフジ」が従来の路線を踏襲するとなると、2026年に就航する「三井オーシャンサクラ」はどういう趣きのクルーズ船にするのか注目である。いずれにしても日本のクルーズ船が、特徴をそれぞれ発揮して事業を展開することは、クルーズ愛好者にとって選択の範囲が広まって喜ばしいことである。これからの「三井オーシャンフジ」に期待したい。
後記:バンドやショーについては下記コメントも頂きました。ご参照下さい。
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その5・寄港地・完)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その4・寄港地編)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その3・その他編)(本稿)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その2・サービス編)
三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その1・船体編)
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毎回、新しいブログがアップされるのを楽しみにしております
今回は急かせまして申し訳ありませんでしたが、来月10日からのクルーズに役立つ情報を詳しくお聞かせ頂き有難うございました
投稿: 喜多 | 2025年8月31日 (日) 12時00分
こんにちは。たびたび失礼いたします。
私はシーボーンはオデッセイの最後1回しか乗っていませんが、ハウスバンドやショーは別でした。ハウスバンドはデビューから世界一周までのメンバーからバンドリーダー含め入れ替わりました(サックスのベテランは継続)。歌手の女性はデビューから乗っていました。ショーはオデッセイの時はダンサー2人、歌手4人でラスベガススタイルとは少し雰囲気が違いました。ただしこれはフェアウェルクルーズという特殊性もあったのかもしれません。
北斎も前はグリルレストランでした。給仕する人とかは多分全員そこ専任。最初に一人で予約していたのをキャンセルして3人の方に加えていただきましたが、そうして良かったです。初めてなので注文の仕方がよく分からなかったですから(ご一緒の方々が割と小食で、最後のチーズやチョコレートをパスしたので、その様子が見られなかったのは残念でしたけど)。
1年弱でだんだんレベルアップしてきているので、今後に期待しています。
投稿: H | 2025年8月31日 (日) 17時01分
喜多さん
こんにちわ。ブログを通じて久しぶりにお話しできて良かったです。
本当は、今は「石破やめろ!」と書きたいのですが、その辺りは喜多さんとちょっと意見が異なるかな(笑)
来月10日からのMOフジ乗船を楽しんで下さい。細島は以前訪ねた時は細島神社の方の古い町が風情があって良かったです。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2025年9月 1日 (月) 09時47分
Hさん
貴重なコメントありがとうございます。ハウスバンドやショーはシーボーン時代とは別なのですか。そうするとフジは中々良いグループと契約したのですね。ショーダンサーの社交ダンス教室はワルツでしたが、いきなりライズとロアーから入るなど日本人教師と違うのが面白かったです。バンドはレパートリーが広くて音楽性も高く、なにより笑顔が素敵でした。
北斎の1万5千円/人はちょっとTOO MUCHかな。量も少なかったし。
本当に本船は一生懸命やっているし、少しずつ良くなっているのでしょう。またいつの日か乗りたいのですが、外国籍のままだと、韓国か台湾まで行かねばならず、2日~3日のチョイ乗りコースがないのが残念です。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2025年9月 1日 (月) 10時01分