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2025年8月25日 (月)

三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ (その1・船体編)

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チーク材張の広々としたデッキ。ただ ファンネルはオレンジ色に塗った方が良い。


世界一周クルーズから帰って一カ月余り、上げ膳据え膳、ダンス三昧の日々が忘れ難く、「三井オーシャンフジ 熊野大花火大会と夏の高知・佐世保クルーズ」に東京港、晴海客船ターミナルから乗船した。海上からの熊野大花火大会の鑑賞、高知、油津、佐世保、麗水、神戸に寄港する比較的忙しい8泊9日の旅である。「にっぽん丸」が来年引退することが6月に発表されたため、当面は後継となる本船「三井オーシャンフジ」(バハマ籍)にそろそろ乗船してみようかと思ったのも乗船動機の一つだ。現在は「SEABOURN SOJOURN」として運航されているフジの同型船が、2026年後半に日本籍船となってフリートに加わるが、その船名が「三井オーシャンサクラ」と決まったのはつい先週のこと。近い将来、同型船2隻体制となり、商船三井クルーズがどのような船旅を提供しようと考えているのか、将来を伺えるものと舷門をくぐった。


まずはその前に、船名のネーミングについて、なぜこの両船はかくもダサイ名前にしたのであろうか理解に苦しんでいる。もし飛鳥Ⅲが「ミツビシ飛鳥Ⅲ」(三菱グループ中核の日本郵船子会社が運航しているため)などと命名されていたら、三菱に関係ない人たちは鼻白む思いがするであろう。同様にわざわざ船名に 『三井』と入れれば、住友系列や三菱系の社会人やOB、さらに三井グループに日頃あまり良い印象がない人々が喜んで乗船するであろうか。財閥名など気にも留めない人もいるであろうが、どうも B TO B の仕事をしてきた私には引っかかってしょうがない。ましてや商船三井の前身である大阪商船三井船舶時代には、総じて移民船の伝統を持つ大阪商船出身者が客船推進派、貨物中心の三井船舶からの社員は客船事業に消極的だった経緯がある。その歴史からみても、船名にわざわざ『三井』を入れるメリットがあると考えるのか、そのセンスが良く分からない。これからでも遅くはないから、一隻をこのまま外国籍船で運航するなら 『 FUJI MARU』、もう一隻の日本籍船は 『さくら丸』と改名 ( RENAME)されることを望みたい。

 

さて「三井オーシャンフジ」である。もともとは2009年にイタリアのMARITTI造船所で建造された「 SEABOURN ODYSSEY」でラグジュアリークラス、ヨットスタイルのプレミアム客船である。手許にある2011年版ダグラス・ワード氏のベルリッツの"CRUISING & CRUISE SHIPS"を見れば、その時点で「 SEABOURN ODYSSEY」は5つ星、2000点満点で1787点の評価であり、これは 「飛鳥Ⅱ」の4つ星プラス、1685点を大きく凌いでいる。とは云え外国船購入の際のあるあるで、商船三井クルーズが買って、昨年末から運航を始めた当初は船内あちこちで水漏れが起き、バスタブは茶色の水が出るなどトラブルが頻発したと船内で知り合った乗船経験者(本船のロングクルーズに乗船したリピーター)が話してくれた。


諸トラブルを受け本船は長期ドックで修理、改装されてこの夏のクルーズ事業となったのだが、乗船してみると船体については、「とても素晴らしい」の一言であった。なにより前進・後進に関わらずどのスピードでも船体のキシミ音がほぼ無く、エンジンの振動による船内の共振やビビり音も非常に良く抑えられているのには感心した。船体後部のシアターでは柱が目立ち視界が妨げられる座席が多いが、この無粋な構造も船体強度を上げ不快な振動を抑える効果があるものと推察できる。外板の錆はキレイに処理されており、船体は船齢より若く見えるし、デッキは今や希少資源となった天然のチーク材がふんだんに張られて高級船に乗ってる感を醸しだす。船内の絨毯は張り替えられて新しくフカフカで、各キャビンはほとんどの部屋が広いバルコニー付き、ウォークインクロゼットやバスタブが完備しスイートクラスの名の通り広々としている。シャワーの水圧は許容範囲であり、隣のキャビンから壁ごしにテレビやくしゃみの音なども一切聞こえなかった。


「シルバー・ミューズ号 見学譚」(2023年3月29日)でアップしたとおり、最近のラグジュアリークラスの中・小型船の例にもれず、本船も船内の公室がデッキ4からデッキ10に亘り垂直的な配置になり、前部はほぼ客室に当てられ、後部がパブリックスペースの区画になっている。もっともレセプションやツアーデスクのある7デッキ後部の「 MITSUI OCEAN スクエア」は、間仕切りが本船の中心線から左右対称でなく斜めに設けられていたり、5デッキのセンターパッセージが船体中央の思わぬ場所で暗く狭くなる、舷門から乗下船する際にメインダイニングの「 レストラン富士」を通らねばならないなど、動線の誘導についてはおやっと思う点も散見された。これがイタリアで出来た高級ブティック船のコンテンポラリーな意匠なのか、総じてシンメトリーな船内配置に慣れた私には違和感を覚えるところである。外国船と云えばセルフランドリーの洗濯機・乾燥機の数が少ないことが常に問題になる。洗濯はランドリーやバトラーに任せてしまおうとする欧米人と違い、下着などは自分で洗うというのが日本人の習性だ。本船では定員400名余に対してセルフランドリーが5デッキに2か所、洗濯機と乾燥機が各4台づつで計8台しかないため、予想通り乗船3日目からは乗客の順番待ちが絶えなかった (ここでの小トラブルは別途)。日本でクルーズ事業を展開するなら、セルフランドリーの増設は、必須の課題である。

 

商船三井クルーズが、これからも日本人御用達を主眼とするなら、本船または姉妹船である「三井オーシャンサクラ」には、いずれ大浴場が設置されるのであろうが、その場合は日本人があまり利用しないデッキ9の「スパ&ウエルネス木霊」を改装するか、デッキ5最後部のプールセルリアンのスペースを充当するのが良いのではないか。またデッキ5にある「オーシャンクラブ&バー」は、床の板張り材の面積を広げ、室内ピラーにはゴムのクッション緩衝材を張れば、「 飛鳥Ⅱ」の「クラブ2100」や「 にっぽん丸」の「ドルフィンホール」のような、ダンス会場やパーティ会場として広く使えそうだ。その他、本船には船尾デッキ2に、「マリーナ」と称する海面に出られるドア・テーブル設備がある。ここからはゾディアック(小型のゴムボート)で探検に出かけたり、カヌー遊びに使ったりと、マリンレジャー用に使うことができる。せっかくの小型高級ブッティク船を買ったのである。船内設備をフルに活用するようなクルーズの企画を考え、新しいクルーズの形を創造することを商船三井クルーズに希望したい。さて、こうして初めての船に乗ると、船内のデッキプランを眺めつつ散策し、自分ならここをこういう風に使うだろう、ここはこう改造すると面白いなどと想像を逞しくするのもクルーズの楽しみの一つである。因みに「飛鳥Ⅱ」とその前身の「CRYSTAL HARMONY」のデッキプランを比較すると、いかに「飛鳥Ⅱ」が日本人向けにうまく外国船から改装されたのがよくわかる。本船も今後、良質に改装していって欲しいものだ。

 

後部にあるマリーナのドア(船名表示の周囲)。 ここから海に出て遊んでみたい。
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