飛鳥Ⅱ 2025年世界一周クルーズ第63日 ボストンMTAと"USS CONSTITUTION"
英国ティルベリー港を出て丸8日間、大西洋横断中は雨、強風、霧、シケと悪天候が続き、ここまで継続してきたデッキのジョギングをあきらめ、フィットネスのランニングマシンに切り替えて過ごした。6月1日、クルーズ第63日目、飛鳥Ⅱは米国マサチューセッツ州ボストンに入港。以前この地に来た時には、ボストン美術館見学やフェンウエイパークでレッドソックスの試合観戦をしたから、今回はどうするかしばし思案にくれる。まずはBee Gees のかの有名な"Massachusetts"を部屋のパソコンのYoutubeから流しながら久しぶりの入港気分を盛り上げてみた。ほかに当地に因んだ音楽がないかとつらつら考えていたら、ふとキングストントリオ(Kingstone Trio)による往年のヒット作 ”MTA"の歌詞が浮かんできた。彼らの"MTA"(Metropolitan Transit Authority)は、アップテンポの愉快な歌で、ボストン地下鉄の料金改定により、出口改札の清算金10セントを払えなくなり、永久に地下鉄に乗り続けるはめになった、チャーリーという男を歌ったプロテストソングである。
"MTA"で思い出したが、ボストン地下鉄は米国最古の地下鉄だと云うので、ここでは地下鉄に乗って、チャールズタウンにある米国海軍の最古参である現役艦、帆船"USS CONSTITUTION"を見学することにする。と云うことで地下鉄の乗り方を調べてみると、出札口のマシンでチャーリーカード(SUICAのような交通系カード)またはチャーリーチケット(一回券)を買えとある。なんでも2000年代の乗車券のシステム化に際し、歌で風刺されたチャーリーに捧げるために切符の名称を彼の名前にしたとのことで、いかにもアメリカらしいユーモアに満ちた名付け方が笑える。そのチャーリーチケットを買おうと、地下鉄の入り口に行くと、なんとこの日は、目的地までの路線「オレンジライン」が運休とのことでまずは肩すかしを食らってしまった。仕方なく市営フェリーを使って、チャールズタウンまで往復することにしたが、このフェリーはチャーリーチケットが使用できないとのことで、キングストントリオ由来の切符には今回はご縁がなかった。
ボストン市街からチャールズリバーを挟んだ対岸にあるチャールズタウンには、海軍の施設跡や造船所跡が歴史公園として保存されており、第2次大戦で神風特攻隊に体当たりされ生き残った駆逐艦”カシン・ヤング”("USS CASSIN YOUNG")や、いまだ現役艦で米海軍最古の”コンスティテューション”("USS CONSTITUTION")が展示されていた。"USS CONSTITUTION" は2,200排水トン、長さ93米、3本マストの帆船で1797年にボストンの造船所で建造され、1812年の米英戦争などで活躍した軍艦である。ここでは一般に公開されているが、驚くべきはコンクリートで据え付けらえた遺構などではなく、まだ水に浮かんでいる本物の軍艦なのである。艦上見学には手荷物検査の他ID提示が必要で、実は昨年の飛鳥Ⅱ世界一周クルーズで、この地を訪問した友人から、IDチェックが厳しいのでパスポートコピーでなくパスポート原本持って行った方が良いと聞いていた。よって急遽パスポートを飛鳥Ⅱから一旦返してもらっての訪艦である。
現役の軍艦とあって、"USS CONSTITUTION"の入り口は案の定、厳格な荷物検査とIDのチェックがあったが、日本のパスポートは原本の赤い表紙を見せただけで「Japanese OK!」と顔写真もあらためず通過させてくれる。日本国パスポートの威力はなんとありがたいことか。艦内に入るとこれまた海軍の若い現役水兵が細かい疑問点に応えてくれ、「どこから来たの?」と聞いてくる。「東京から」と答えると「横須賀が母港だった空母”ロナルド・レーガン”に乗っていたよ。銀座とか新宿とか楽しかった。」とひとしきり話もはずんだ。傍らのコンスティテューション博物館では、当時の水兵採用の際の超簡単なテスト要綱(字があまり読めなくてもばほぼ受かる)や艦内生活の実際など、およそ博物館らしくない生き生きした展示が楽しく、ゆっくりと見て回るうちに、久々の寄港地上陸の時間は瞬く間に過ぎ去っていった。
追記:チャーリーやらチャールズの名前が多いのは、1600年代にこの地が地図に掲載される際の英国王子がチャールズだったことに由来するらしい。
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