飛鳥Ⅱ 2025年世界一周クルーズ第43日 サグラダファミリアとリーブヘル クレーン
クルーズ第43日目、飛鳥Ⅱはバルセロナに到着した。このクルーズ唯一の地中海の寄港地にして、スペイン第2の大都市である。バルセロナ観光と云えば、サクラダファミリア教会なのだろうが、オーバーツーリズムの昨今、この名所が世界中からの人々で大変な人気なのは皆の知るところである。まず入場するのが大変だし、入ってもひどい混雑が予想されるが、私は行列や人ごみが昔から大嫌いなのだ。日ごろ、行列のできるうまいラーメン屋に皆が殺到していると聞くと、例え味がまずく値段が高くても、待たないラーメン屋に行きたいと広言し、周囲の不興を買うのが常となっているほどだ。であるから放っておくと、「サクラダファミリアは混んでるのでパス」と私が宣言しかねないことをあらかじめ見越し、妻が寄港地観光ツアーが発表された昨秋から、この教会の入場がセットで組み込まれている本船のツアーの予約を入れていた。
と云うことで有無も言わせずに貸し切りバスに揺られて連れていかれたのが「バルセロナ半日観光」である。1992年のバルセロナオリンピックで銀メダルを獲ったマラソンの有森裕子選手が駆け上ったモンジュイックの丘や、サクラダファミリアの建築家ガウディが手掛けた街中の他の建物などを見た後に、いよいよ我々一行はサクラダファミリア教会の見学となった。予想した通り世界中からの観光客でごったかえす教会前の公園では、ツアー引率の現地日本人のガイドさんから、数分に一度「スリに気を付けて下さい」、「あの男の人はどうも不審です」、「この前、友人が一日に2回もスリに遭いました」などと忠告があって、どうも目の前にそびえる教会よりかばんのチャックやポケットの財布の方が気になって仕方ない。そうこうして空港の搭乗口かと思わせる厳重なセキュリティーゲートを通り、我々一行はようやく建物の中を見学することが出来た。
サクラダファミリアはカトリックの教会であり、1882年に着工、天才か変人かと云われたガウディの作品で、いまだに完成されず増築を繰り返している建物である。初期に出来た部分はすでに黒ずんでいるが、完成してまだ間もない建物は、高価な素材やモダンな意匠でできており、なぜこの教会がこれほどの世界的人気なのか、どうも私には今一つ釈然としない。今や未完成の部分は90キロも離れた工場で作成し、現場で組み合わせ作業を行うブロック工法で建築中とのガイドの説明である。むしろ私には今も作業のために使われているスイスのリーブヘル社製の巨大なタワークレーンが目に付いて仕方ない。と云うのも、かつて同社製の船舶用デッキクレーンのトラブルで苦労した思い出が蘇ってきたためだ。見物客だらけの教会内部を見学すること一時間半、ここを訪れたことは一生忘れないだろうが、19世紀末に建て始めた頃の宗教的な目的から、いまや一大観光資源としてテーマパークに化しているのではないかとの感想を持った。もっとも学生時代にここへ来たことのある妻は、あまり観光客も来なかった往時を思い出し、40年後の教会の姿を見ることが出来てとても良かったと感激している。
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