500系「こだま」6号車乗車
ちょうど一年前、しまなみ海道沿いの大島・千年松で行われた宴会に妻と出席し、帰りに500系「こだま」に乗ろうとしたところ、梅雨末期の豪雨で山陽新幹線のダイヤが大きく乱れ、これに乗車がかなわなかった。いつかはリベンジをと機会を探っていたが、一年経過して同じ宴会に妻と共に招待されたのを機に、今年は福山から新大阪まで500系の「こだま」に乗車することにした。かつて「のぞみ」に使われ東京までこの車両が来ていた頃、出張でさんざん乗ったので私は特段の思い入れはないが、JR西日本に残る500系6編成のうち、4編成は2024年~26年に引退と発表されているため、乗るなら今のうちと妻のたっての希望である。「のぞみ」時代の16両編成から今は8両編成になり山陽区間だけで運転される500系「こだま」のうち、6号車の普通車指定席は旧グリーン車がそのまま充てられているので、予め6号車を予約して乗車することにした。
500系新幹線は、山陽新幹線の300キロ運転を念頭に当時の最新技術を投入し、JR西日本によって1996年に登場した。高速運転を可能にすると共にトンネル内の気圧差や空力上の問題解決の為に、先頭車はロケットのような形状とし、車両の断面積も他の形式より小さく円筒状になっているのが特徴。この車両はデビュー当時は、鉄道ブルーリボン賞やグッドデザイン賞を受け(ウィキペディア)、巷で話題になったものだった。新製価格は一編成46億円だったとのことで、これは船なら中型~大型の外航貨物船1隻、航空機ならボーイング737の中古機ほどになるが、登場して30年近く経過しているため、いまでは減価償却も終わっていることだろう。普通車のシートピッチは現在のN700系の1040ミリに対して1020ミリとやや短いため、かつて西日本に出張する際に「のぞみ」5号(東京駅発07:52)をしばしば利用したが、なんだか狭くてごつごつした乗り心地だった記憶がある。
今回はしまなみ街道をドライブしたレンタカーを福山駅で返して、15時31分の500系「こだま」854号に乗車である。今では一日に「こだま」7列車のみ、そのうち博多/岡山間の運転が5本とあって、福山から新大阪まで行くのは一日2本のみとなる妻が切望の500系だ。最近は東海道・山陽新幹線では車内販売がないので、運転から解放されビールやつまみを福山駅で買いこんでホームに。山陽新幹線には500系のほかにN700系、700系ひかりレールスター、九州新幹線のN700系7000番台も運転されており、福山駅の停車列車や通過列車を眺めるのも楽しい。やってきた500系旧グリーン車の6号車は、シートピッチが1160ミリとゆったり仕様で、リクライニングの角度も深い。ただ床は絨毯張りからリノリウムになり、オーディオサービスのイヤホン差し込み口はパネルで覆われ、フットレストや読書灯が撤去されたのはさすがに仕方あるまい。加速も最新のN700Sに較べるとゆったりという感じがしたが、最近の電子制御満載感より無闇に旅を急かされていない感覚である。こうして新大阪までの2時間弱、ビール片手にゆったりと各駅に停車する「こだま」の旅を楽しんだ。車両運用上は、なるべく性能や仕様が揃った形式を揃えるのが効率的なのだろうが、名車である500系の退役が進むのはちょっと哀しい気持ちもする。これでやっと一年越しに妻との約束を果たし、ホッ!。
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