フォーキャスト2024 藤井厳喜 著
Youtubeなどでも好評の保守界の論客、藤井厳喜氏の新刊本、『フォーキャスト2024』(WAC)が本屋の店頭にあったので購読した。私と同年代の国際政治学者で、今回初めて彼の著書を読むことになる。今年は米国大統領選挙が11月に行われ、その結果によっては我が国の防衛・外交だけでなく、国内政治にも大きな影響が出ることは幾度かこのブログで発信した通り。ほとんどの日本の大手メディアはトランプ氏が大統領になることを望んでいない論調だが、私はかねてからトランプの再登板を期待している一人である。藤井氏によれば、世界はいま「無国籍企業的グローバリズム」と「民主的ナショナリズム」、「強権独裁的ナショナリズム」の三つ巴の争いに揺らいでいるとされる。ここでもしグローバリズムに親和的な民主党のバイデンが次も大統領を担えば、ますます世界の混乱に拍車がかかることが予想される。いま世界を危機からを救うのは反グローバリストでナショナリストのトランプだと考える私は、彼に好意的な藤井氏のこの本に共感するところが多い。
「無国籍グローバリズム」とは国家を基本的に否定する市場原理主義者や無国籍巨大企業(グーグル、アマゾン、アップルなど)及びそれらの資金を管理する英国の金融資本がバックとなる世界的な活動であり、国境や政府、伝統的な社会などは不要だとする動きにほかならない。極端な株主資本主義もその系譜に連らなろう。彼らは自由な活動には伝統的な家族の存在や地域的な紐帯、国家やナショナリズムの存在などが邪魔になると考え、目的を同じくする(冷戦後行き場を失った)マルクス共産主義者に巨大な資金的提供を行っている。本書にはこれら無国籍巨大企業群が、米国の極左集団であるBLM (BLACK LIVES MATTER)に12兆円以上の献金をしている内訳が掲載されており、その繋がりには驚くばかりである。グローバリストは家族の在り方を変えるためにLGBTQや同性婚をやたらと奨励し、移民や外国人との「共生」を通じて、伝統的な文化や社会の絆を分断させようと目論むが、それは形を変えた新たな共産主義インターナショナルでもある。本書では無国籍的なグローバル国際巨大資本と隠れ共産主義者が結び付いていることを私たちに示してくれる。
いま世界は反国家的グローバリストである米バイデン、仏マクロン、英ジョンソンらが画策したウクライナや中東での戦乱に加え、強権独裁的ナショナリストであるプーチンや習近平が企てる覇権主義によって混乱が絶えないことを藤井氏は指摘し、安倍氏亡き後、唯一の民主主義によるナショナリストであるトランプ氏に期待するところが大きいとしている。私はディープステート的陰謀論にすべて汲みするわけではないが、ウクライナや中東で永年継続する戦乱を見るにつけ、我々がまったく預かり知らぬところで蠢く英米のグロバーリストたちによる動きが、地域の安寧を阻害していることは疑いないと信じている。彼らグローバリストたちの暗躍によって、元々あった地域の宗教的、民族店な分断が助長されより深刻になっているのが紛争の実際であり、ナショナリストでモンロー主義的なトランプの大統領復帰でグローバリストたちの動きにも一定の楔が打たれることが期待できよう。
地球温暖化問題も、グローバリストたちによる新たな利権構造だと私は考えている。藤井氏は「カーボンニュートラル(脱炭素)神話はいずれ崩壊する」として、「トランプが勝てば、世界経済の安定と繁栄が戻って来る、しかし民主党政権の継続となると、相変わらずの地球温暖化問題で『CO2を削減しろ、ガソリンエンジンもディーゼルエンジンもだめだ・・・』というトレンドがしばらくは続くことになる。世界経済は当然、低迷と混乱を続けることになる。」と、温暖化対策のパリ協定からの離脱を仄めかすトランプの復権を歓迎している。さてバイデンのポチと云われる岸田首相は、必要もないLGBTQ法案を急ぎ制定し、異民族との「共生」を唱えつつ、巨額のウクライナ支援始め各国に金をばらまいて、すっかりグローバリストの輪に取り込まれてしまったようだ。トランプ氏が当選した暁には、我が国の安全保障体制の見直しは必至になると考えられるが、その他、グローバリズムにすっかり感化されてしまい、保守の精神や伝統をすっかり捨て去った自民党がどうトランプ政権と平仄を合わるのか実に見ものだ。願わくは自民党に代わる新たな保守陣営が日本に生まれ育って欲しいものである。
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