令和6年能登半島地震と羽田での航空機事故

福岡空港で搭乗したJALエアバス350の隣に駐機していた今回の事故に遭遇したエアバス350JA13XJ号機(2023年5月15日)
元旦におきた能登半島の大地震、翌日の救援物資を輸送する海上保安庁機とJAL機の羽田空港での衝突炎上事故と新年からびっくりする大事件が続いた。地震と飛行機事故と云えば、いつも考えることがある。例えば東京から広島など、飛行機でも新幹線でも移動できる区間でどちらの交通機関を使うかという問題である。山の中にあって霧などでしばしば着陸できない可能性もある広島空港に対して、新幹線は東京から広島まで4時間ほどかかるものの、開業以来一度も乗客の死傷事故がないことを誇る安全な交通機関である。今回の能登地方を襲った地震でも北陸新幹線には被害がなく、いち早く運転が再開されたが、これを見ても新幹線は安全であるということが改めて実証された。
と云っても安全に「絶対」はない。2004年の中越地震の際には、上越新幹線の「とき」が脱線したが、この時は浦佐駅に停車する為に速度を落としていたために、乗客に被害が及ぶような事故にならなかったとされている。この事故を契機に脱線防止の車両ガイドを広く設置するなどの対策が講じられているのだが、もし云われている南海トラフ、東海沖地震のような想定を超える巨大地震が起きた時に、新幹線がどうなるのかは心配だ。一方で飛行機の安全性は地震には直接影響されない。しかし地震とは別に、様々な安全対策が講じられているはずの航空機も、多くの確認事項や安全対策を少しずつすり抜けた不幸の連鎖の挙句、陥穽の罠が待ち受けたような大きな事故が時々起きる。
羽田の事故については、例え管制官と海保機間の会話に齟齬があったとしても、滑走路内に誤って侵入しないように同空港には交通信号が設置されているものの、なぜかこの信号の運用はここ暫くなされていなかったそうだ。また許可を得ずに滑走路に侵入した機体を表示するシステムもあったが、管制塔にあるシステム表示画面の警告に管制官たちは気が付いていなかったとも報道されている。もし海保機がもっと大きかったか、あたりがすっかり暗くなる5時47分ではなく海保機の離陸が1時間早い午後4時台だったなら、着陸する日航機から滑走路上が視認でき衝突も防げたのではないかと思われる。事故原因はこれから究明されるが、これら不幸の連鎖が一直線に連なって、今回の衝突事故が起きてしまったことは間違いないだろう。
東京から広島まで新幹線で乗車している4時間の間に大地震のような天変地異がおこる可能性と、死亡する確率は0.0009%だとされる航空機事故を比較し、どちらが危機に遭遇する確率がより高いのか、との不安が鉄道の改札口や空港の搭乗ゲートを通る際に一瞬頭をかすめる。と云っても広島空港には鉄道がないから、その先に乗るバスやレンタカーの方が確率的にははるかに危険なはずだ、いや心配なことは事故以外にもっと沢山あるなどと考えているうちにいつしかそんな危惧は忘れてしまうのが常である。ただ首都圏直下型の大地震が発生する可能性も取り沙汰される昨今だ。日本列島に住む身としては、いつかどこかで大地震に遭遇するかもしれないと覚悟しておくことは必要だと、能登半島の被災地から送られてくるテレビ映像を見ながら考える。海保機で亡くなった乗員に弔意を捧げるとともに、地震に被災された方々へのお見舞いと一刻も早い復旧をお祈りする。
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