MITSUI OCEAN FUJI 南米ワールドクルーズ説明会
旅行会社JTBが、商船三井クルーズのラグジュアリー船 "MITSUI OCEAN FUJI”号(32000トン)をフルチャーターして、2025年1月から91日間で太平洋の島々や中南米を巡る「 MITSUI OCEAN FUJI 南米ワールドクルーズ 」を行うのは発表の通りである。来年1月16日の発売開始に先だち、JTBによる説明会が東京駅にほど近い 丸の内のフォーシーズンズホテルで昨日開かれたので参加してきた。これは日本全国各地で行われる10回の説明会のうちの一つである。昨日の説明会は例の「世界の7割は海です!」のJTBクルーズ齋藤氏の名調子によって進められたが、参加者は、約50名ほどであったろうか。飛鳥Ⅱのロングクルーズ説明会とはやや会場の雰囲気が異なっており、私の勝手な感想ながら、フツーの勤め人OB・OGという感じの人たちが多いように見受けられた。商船三井クルーズは”SEABOURN ODYSSEY"号として欧米で富裕層向けに活躍するこの船を今春すでに中古買船、2024年末に改名した後は自らのフリートに組み入れることを決めている。その商船三井クルーズの親会社である商船三井が、移民船時代から南米航路を運営してきた経緯が説明会冒頭に触れられ、同社の代理店網などが寄港地で卓越していることなどがまず紹介された。また世界的な物価高にもかかわらず、2025年1月時点では、本船がまだ日本船仕様に本格的に改装される前、かつ外国船籍だからこそ、(比較的安い)価格で本クルーズが実現できたとの説明がなされ、続いて恒例の寄港地の詳細が続いた。
このクルーズは定員450名ほどのところ、380名から400名の募集とし、ゆったりした船内生活が楽しめるはずと齋藤氏は述べる。船内では食事は常時どこかで採れるし、メインダイニング(ザ・レストラン)には好きな時に行って良いそうで食事の2回制などもない。また最近のラグジュアリー船に見られるように、キャビンは主に船体前部に集中させる一方、パブリックスペースは各デッキの後部に配置され、乗客は縦にエレベーターで移動するバーティカル配置が特徴のクルーズ船とのこと。キャビンは全室スイート仕様だけあって従来の日本船よりかなり広く、カーテンの仕切りにより2部屋的なしつらえにできるので、一人がベッドで寝ていても同室者が室内で活動できるデザインになっているそうだ。我が家では妻は灯りがあると眠れないたちなので、クルーズ船に乗ると彼女が寝るときは私も同じ時間に寝てしまうか、起きていたとしても灯りを落として配慮しなければならないが、そのような気遣いもこの船なら不要になる。元来が外国船だけにWi-Fiはとても使い勝手がよく便利 (ただし料金がどうなるか未定)、チップはなく、船内蔵書も日本の本になるなど聞いているうち、快適なクルーズ生活が送れそうな期待が高まってきた。
とはいうものの本船は、このクルーズ催行時点では外国船籍のままで、デッキやエンジンクルーはこれまでの陣容継続とのこと。肝心のサービスクルーについては、食堂のメートルディやレセプションなど主要スタッフは日本語対応になり、日本人のコックも乗船するが、どの程度の割合で日本人をよく知るクルーになるのかはまだ決まっていないとの説明である。もちろん大浴場設置の改装工事はこのクルーズまでには間に合わないだけでなく、各キャビンにはウォシュレットは付かないというのはかなり切実な問題である。すべての部屋に深いバスタブがあるので風呂はまだ良しとしても、日頃ウォシュレットに甘やかされた我々は、短期間ならいざ知らず、どこまでこれを許容できるだろうか。また日本船お得意のいわゆる「社交ダンス」用の広いスペースがDECK PLANには見当たらないのもちょっと気にかかる。デッキ5のプロムナードはチーク張りで広いらしいが、飛鳥Ⅱのように1周全通していないかもしれず、しかも僅か200m強(飛鳥Ⅱは440m)だとすると、日課のジョギングが出来たとしても何十回も行ったり来たりしなければならなくなりそうだ。自分で使えるセルフ洗濯機は8台だけとあって、有料のランドリーサービルを利用するのが嫌いな日本人向けには数が足りなくなることが必至、などと心配な点がいくつかある(ちなみにランドリーサービスに抵抗があるのは、自分のことは自分でしなさいという日本的な倫理に背くからではないかと妻は考察している)。
JTBのスタッフも船内各部にこのクルーズの要所で乗船するらしいし、2019年に" SUN PRINCESS号"をフルチャーターして世界一周クルーズを成功させた同社だからこそ、これまでの経験と創意工夫でうまく問題点を差配して行くつもりなのだろう。しかしながら商船三井クルーズが所有しているとはいえ、2025年初頭のこのクルーズ開始までの間、現在もまだ"SEABOURN ODYSSEY"として欧米マーケットでクルーズ事業を展開しているので、総じて貸し出し元の商船三井クルーズ自体が、本船に於ける日本人船客扱いのあれこれをまだ詰めていない様子がうかがえた。それゆえJTBも船内生活やクルーの詳細を知らされていないようで、まだしばらくはこのクルーズ時の船内生活の実際を思い描くのは難しいことだろう。商船三井クルーズ所有でJTBがフルチャーターラーでありながら、外国船のままクルーズが催行されるので、カジノは本物の金を掛けて遊べるなどと聞くと、どうやら” MITSUI OCEAN FUJI 南米ワールドクルーズ” は日本船と外国船の中間くらいのイメージになりそうな気がする。こうして説明会も終わったが、これも何かの縁、中年米は船以外では今後行くこともないだろうから、とりあえず安めのキャビンを予約することにした。キャンセル料がかかる期限まで時間があるし2025年は再来年のこと、このクルーズを軸として新春はゆっくりと色々な長旅を検討することにしよう。
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