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2023年12月 2日 (土)

そうだ、京都へ行こう !  京阪京津線など私鉄の旅。

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紅葉をバックに阪急嵐山駅

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嵐電のレトロ車両 27号

最近また働き始めた妻が、先週は大阪に出張というので、一緒に関西に行き、仕事後についでに2人で京都見物をすることにした。私自身、年齢とともに「ワシも一緒、ワシも一緒に」と妻の尻にくっついて外出する「ワシ族」にだんだん近づいているような危惧は感じているのだが、京都は2人とも久しく訪れていないのでちょうど良い機会である。京都観光といえば寺社仏閣めぐり!と相場は決まっているが、それはまたいつでもできる。今回は鉄道乗車体験をメインに京都近辺をぐるっと回ってみることにした。何しろ京都と云えば、日本で初めて営業用の電車が走った都市であり、今も市の中心部から四方へJR線や民鉄の路線が伸びる鉄道の町でもある。先年、梅小路にある「京都鉄道博物館」を楽しんだのはここでアップした(2021年7月25日)通りで、京都は鉄道ファンにとっても魅力あふれる土地なのだ。


仕事が終わって梅田から阪急京都線で駆け付けた妻と合流した翌日は天気も良く、一日かけて京都鉄道の旅である。前夜宿泊した市の中心部、四条烏丸のビジネスホテルを出てまずは紅葉の嵐山へ、最寄駅から乗った阪急京都線を桂駅で乗り換えて阪急嵐山線に。マルーン色の車体、木目調化粧板の車内、緑色シート、銀色の窓枠に一段降下窓とこだわりの阪急電車に乗ると、いつも「ああ、関西に来たな」という実感が湧いてくる。阪急嵐山駅を降りて渡月橋を渡り、今がまさに見ごろの紅葉を堪能し、ついでに天龍寺の国の特別名勝「曹源池庭園」を見た後は、京福電鉄嵐山線(嵐電)で市内へとってかえすことにした。それにしても平日と云うのに、京都はどこへ行っても凄い人出で、歩道をまっすぐ歩くのも難しいほどだ。見れば日本人は3割~4割ほどで、海外からは中国人と韓国人が半分、残りは英語、スペイン語、ドイツ語、仏語などが聞こえ世界中から観光客が押し寄せていることを実感する。


嵐電の嵐山駅からは懐かしい釣り駆け駆動、コンプレッサーの音も勇ましい2両編成の四条大宮行 電車に乗った。乗車した26号車は台車や制御装置は旧車から流用され、外観・内装はレトロ調で纏められていて、いかにも古都観光地の電車と云う風情たっぷり。軌道鉄道(路面電車)である嵐山線は、本来はワンマンカー単行での運転を基本としているらしく、2両目(621号)では降車口である前部運転台に車掌が乗車し運賃収受をしている光景が珍しい。どうやら平日の昼間も観光客で一杯なので、いまは2両で運転されている電車が多いようだ。古くからの軌道線と云えば東急世田谷線で見られるように無閉塞が原則でありながら、ここでは自動閉塞方式を採用しており、線路際に立派な信号柱が並んでいるのがさすが関西私鉄と改めて感心する。直通空気ブレーキの制動ハンドルをこまめに動かしながら停車位置にぴったりと止まる懐かしい運転を見ているうちに、ほどなく京都市営地下鉄 東西線の乗換駅である嵐電天神川に到着した。


さて、ここからが今回の旅の目的である京阪電鉄 京津線800系電車に乗車となる。かつて三条京阪駅とびわ湖浜大津駅を結んでいた京阪電鉄 京津線(軌道線)は、1998年の東西線開業とともに京都市街地は地下鉄線に乗り入れるようになり、両線を直通する電車は地下鉄・登山電車・軌道線(市電)の3つの顔を持つ路線を走ることになった。地下鉄内はキャブ内信号によるATC運転、京阪電車に接続する御陵(みささぎ)駅以東は京阪のATS制御、終点浜大津の手前800米は、県道の上を一般の交通信号に従って目視確認も必要な路線である。京都・大津間にある逢坂山は最急勾配61パーミル(1000米進む間に61米上がる)、かつ最小曲線半径40Rのカーブで超えるが、これはアプト式などに頼らない通常の粘着運転では箱根登山鉄道(最大80パーミル)に次いでわが国2番目の急勾配である。ここを先ほどまで京都の下を走っていた長さ16.5米 X 4両編成の地下鉄が駆け上る。ちなみにJR線の運転規則では最急勾配は35パーミル、また陸上競技場の400米トラックの曲走路における最も内側のレーンは半径40米弱のカーブだから、この線ががいかに急坂・急カーブなのかがわかる。


地下鉄東西線の御陵駅で地下鉄から京阪の運転士に乗務員が交代し、キャブ後ろのブラインドが全開になるや、我々も例によって「かぶりつき」に陣取ることにする。ほどなく地上に出た電車は、東海道本線をアンダーパスし、山科付近からの上り勾配を全動力車(4M)のパワーでグングン突き進んだ。ところどころ線路際の勾配票の腕木には急坂を表す数字が、曲線票には線路曲線半径を示す数字が表示され、速度制限や制限解除の表示も次々と眼前に飛び込んでくるので、前面展望からいっときも目を離すことができない。急カーブには騒音防止と設備摩耗を防ぐ水まきスプリンクラーが設置されているし、急勾配の途中には坂道のような駅もあって、あれこれと観察するのにとても忙しい。そうこうするうち、電車はサミットの逢坂山トンネルを超えて、琵琶湖へ向かって下り始めた。思う間もなく最後は県道に出て路面電車となり、交通事故に巻き込まれないよう慎重な運転で終点のびわ湖浜大津駅に到着。この間、御陵駅から浜大津駅まで7.5キロ、約25分の興奮の「かぶりつき」の旅だった。最後に浜大津駅の案内所駅員に「雨や雪の日、落ち葉などで急勾配では空転や滑走もあるのですか?」と聞くと「ええ、まあ」と苦笑いの返事が返ってきた。同じ車両に乗りながら地下鉄から路面電車まで一挙に楽しめるとあって「これまででで一番楽しいかぶりつき体験」だったが、このような難所を越えて定時運転を維持するのは大変な苦労があることだろう。(続く)

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京阪 京津線800系前面展望 線路左下・腕木の勾配票は下り41.3‰(だったと思う)表示

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京阪・京津線 ところどころに水まきの設備

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