カハラホテルと商船三井の新造クルーズ船発表
先日、横浜みなとみらい地区のカハラホテルでランチを摂る機会があった。ハワイ・オアフ島のラグジュアリーホテル、ザ・カハラが2020年に日本に進出した国内第1号ホテルである。場所はみなとみらい地区のなかでJR横浜駅寄りの東北部、最寄駅はみなとみらい線(東横線)の新高島駅から700米ほどであり、決して交通至便とは言えないので、観光バスやシャトルバス、タクシーを利用する海外からの観光客をターゲットにしたものであろう。客室を見学することができたがアジア系の人たちが好みそうな白を基調とした内装であった。ウイルス騒動で海外からの観光客が大幅に減っているが、それでも14階のロビー脇にある展望の良いラウンジは予約が取りにくいほど盛況だそうで、なかを覗いてみると平日の午後にも拘わらず婦人客を中心に優雅にアフターヌーンティを楽しむ人たちで一杯であった。いまホテルは国内の旅行者、特に横浜港を発着するクルーズ船乗船者の前泊・後泊に大いに期待を寄せているとのことである。
クルーズと云えば、商船三井は1000億円を投資し2027年に35000総トン、乗客600名の日本籍新造船2隻を就航させると先ごろ発表した。海運各社はこのところ業績が絶好調とあって、その余波をかって商船三井も一挙にクルーズ船を2隻を新造するようである。ただふつう新造客船の発表には造船所の名前と完成予想図くらいは呈示するのにそれがないのは不思議である(最初にこの事を発表した日経のインタビューに商船三井の社長が口をすべらしたのか?)。まだ船価やデザインの詳細が煮詰まっていないのかもしれないので、その発表が待たれるところだが、発表された3万5千トン級ならば全長は200米以下であろう。このサイズなら日本のクルーズ船顧客の需要にも合致するし、200米以上の船舶は夜間航行制限のある瀬戸内海など国内の港湾・航路事情でも取り回しが難しい。2025年に就航する飛鳥クルーズの新造船は5万トン超、長さ230米、乗客が740名とあって、今後どのように両社が競争するのか、或いは棲み分けていくのかが注目される。
商船三井の新造船2隻は、それぞれ内装や仕様を異なったものとして顧客層ターゲットを変えるのか、それとも姉妹船として同じコンセプトで就航させるのかも興味深い。可能ならば1隻は定員を増やして3人部屋や廉価なインサイドキャビンを造り、家族連れにも気を配って経済性や楽しさを志向する船に、1隻はシニア向けの高級志向で落ち着いた船はどうだろうなどと勝手な想像はつきない。造船所の点では大型フェリーを下関で造っている三菱重工が客船事業を復活させ商船三井の2隻を建造するのか、飛鳥クルーズのように海外造船所に発注するのか、はたまた全く新たな造船所の名前が出てくるのかも気にかかる。独アイーダクルーズ発注による大型客船2隻の建造で2000億円もの損失を出し客船建造から撤退した三菱重工だが、今度は気心の知れた国内船主である。日本を中心とするクルーズなら、今後のメンテナンスのためにも国内機器、国内船用品、国内造船所の方が都合が良いはずだ。複雑なIT関連のケーブルやらエンターテイメントの設備もアイーダ船のような特別な要求はないだろう。三菱をはじめ国内造船所の発注を期待したい。
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