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2022年7月 8日 (金)

瑞泉寺・五箇山合掌造り・”ベル・モンタ―ニュ・エ・メール(べるもんた)”

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山門より見る瑞泉寺本堂

旅の2日目、再び連絡船で庄川を下り小牧の船着き場から貸し切りバスに乗り換えた。砺波平野の田園地帯をバスに揺られてほどなく着いたのは、「木彫りの里」と案内のある井波の町であった。ここには瑞泉寺という大きな寺があり、井波はその門前に発展した町である。瑞泉寺は京都の東本願寺を本山とする一向宗(真宗大谷派)の別院で、寺の建物を装飾する木彫りの職人たちが井波には代々多数住んできたとの現地ガイドの説明である。寺の参道には彫り物の小売り店も何軒かあり、なるほどここが「木彫りの里」であることを実感できる。街の中心にある瑞泉寺は中世には越中一向一揆の拠点となった大伽藍とはいえ、週末にも拘わらずお参りする人もごくまばらな境内であった。人の気配もあまりしない広い寺院に佇むと、かつて一向宗がなぜこの地で人口に膾炙し、寺院勢力がどう封建体制や庶民の生活に関わったのかもう一度歴史を勉強したくなってくる。空港や駅からレンタカーで観光に向かうと、途中にこのような名所があってもつい先を急ぎパスしがちだが、あまり知られていない場所に効率的に連れていってくれるのが団体ツアーのメリットだと思う。


次に向かったのが2日目のハイライト、ユネスコ世界遺産として1995年に日本で6番目に登録された合掌造りの里、五箇山の相倉(あいのくら)集落であった。五箇山にはもう一か所菅沼という集落があり、岐阜県側の白川郷とともに三か所で世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」を構成している。バスは長い五箇山トンネルを抜け砺波平野から簡単に我々を相倉へ連れて行ってくれたが、その昔ここは加賀藩の流刑地ともなっていたそうで、さぞや不便な集落であったことだろう。小さな山間に10数軒の合掌造りの民家がひっそりと固まった相倉集落では、合掌造りの内部を改造した茶店でまず昼食である。ふんだんに盛られた山の幸を楽しんだ後は、民俗館で合掌造りの内部見学。雪が積もらぬように鋭角に作った天井裏ではかつて養蚕を、土間では火薬の原料である焔硝(硝石)が作られていたそうだ。茅葺の屋根は断熱性が高い上に通気がよく、この地方の気候に適していたとの事。ただ20年に一度、茅葺屋根の吹き替えをする必要があり、今ではそれに2千万円の費用がかかると云う。民俗資料館の案内所のおばちゃんに「葺き替えのお金はどうするの?」と尋ねると「そんな難しいことはようわからん、あはは!」と上手にはぐらかされた。 


合掌造りの里を後にして再びバスに揺られ1時間弱、観光列車、”ベル・モンターニュ・エ・メ―ル”乗車のために砺波平野の南部にあるJR城端(じょうはな)線の始発駅・城端駅にやってきた。なんとも覚え難い列車名は、仏語で「美しい山と海」を現わすそうだ。愛称”べるもんた”はキハ40型一両編成の列車で、内部は寿司カウンターなどが設置され、沿線の景色を楽しむために高岡を中心にJR城端線(山側)とJR氷見線(海側)で週末に運転されている。ここ富山では北陸新幹線開業に伴い従来の北陸本線が第3セクターの「あいの風とやま鉄道」となり、特に高岡地区ではJR線としては城端線と氷見線が盲腸のように取り残されてしまった。その為に短距離ながら路線存続をかけて、このおもてなし列車が設定されているのだろう。旅もフイナーレだし喉も渇いたのでビールでも飲むかと”べるもんた”に乗り込むと、なんと夏日のこの日は城端までやってきた下り便で、ビールは売り切れたとのことでがっかりである。それなら折り返し時間を利用してすぐに城端の町でビールを仕入れて来いよ、と掛かり員に毒づきたくなったが、新幹線接続の新高岡まで28キロ、僅か40分の旅なので、車内に添乗する沿線案内のガイドの富山弁の名調子だけを楽しむことにした。白山連峰に連なる山々やチューリップで有名な砺波平野を車窓から眺めつつ、2日間にしてはぎっしりと内容の詰まった「庄川峡遊覧船で行く秘湯の一軒宿『大牧温泉』と観光列車『ベル・モンターニュ・エ・メール』」の旅を終えた。

五箇山 相倉集落
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高岡銅器をイメージした吊輪、井波木彫の間仕切りなどで飾られた”べるもんた”号と地元観光協会のガイドのおばちゃん
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