西武鉄道 52席の至福
特別運行「52席の至福x兎田ワイナリーwith乾杯共和国」車両
明治神宮大会も慶應は準優勝に終わって、この次に何か面白いことがないか考えていた時に、妻が「これに乗りましょ!」と提案してきたのが西武鉄道が運行している「西武 旅するレストラン 52席の至福」である。「52席の至福」は西部鉄道秩父線用の4000系4両編成電車を改造し、2016年から営業を行っている乗客定員52名のレストラン専用列車のことである。このレストラン列車は、週末や祝祭日の午前11時前に池袋または西武新宿を出発し、80キロの行程を経てゆっくり2時前に西武秩父に着くブランチコースと、当日その折り返しで秩父を17時42分に出て、池袋または西武新宿に20時過ぎに帰って来るディナーコースの2つの運用がレギュラーに設定されている。あの地味な西武鉄道がレストラン列車を運行しているというのは驚きだが、普段は人気で予約が取りづらいぐらいの盛況だと云う。
妻は以前よりこの列車に興味はあったものの、午前便に乗り朝から酒を飲み酔っぱらうと一日がもったいないし、秩父発の夕方の列車では、早くから暗くなるこの季節で外の景色が見えずに寂しいと乗車の機会を探っていたそうだ。そんな折、平日の昼前にアーリーランチコースを行い、その帰り便で午後2時16分に秩父を出発し、新宿に16時32分に到着するレイトランチコースの特別運行が実施されることをネットで知った。この列車は秩父の兎田ワイナリーとのコラボ便で、レイトランチなら午後のひと時、車窓から晩秋の奥武蔵の紅葉を楽しみつつ、地元ワインでゆっくりランチを楽しめる。と云う事でさっそく座席を検索すると、平日のためかすんなりと予約がとれた。西武鉄道より送られてきた乗車キットには西武線全線が当日乗り放題になるフリーパスが入っており、これで都内から始発の西武秩父駅までは各自で来て下さいという手筈である。
予約してあった秩父行きの特急ラビューが朝の人身事故の影響で運休になるハプニングはあったものの、当日は絶好の行楽日和で心わくわく準急と各駅停車を乗り継いで西武秩父駅に到着した。この地域のシンボルである武甲山を遠望し、秩父神社にお参りしていよいよ「52席の至福」に乗車する。ホームで発車を待つ4両編成の「52席の至福」は、かつて武蔵野を疾駆した101系の機器を流用した4000系がタネ車というあたり、いかにも堅実経営の西武鉄道らしい車両である。しかし内装・外装はかの建築家・隈 研吾氏が手掛け、乗車した4号車の天井は地元埼玉の製材による凝った作りとあって、同社は相当気合を込めて4000系を改造したことが分かる。各地の西武鉄道職員に見送られてのレイトランチは秩父地方の食材を中心にした献立で、提供される白ワインや赤ワインとのマリアージュを意識した味付けだった。廻りを見れば車内は満席で、特別運行だけあってアルコールの消費も目立っていた。普通の通勤電車の合間を縫ってのダイヤ設定のため、都内に入ると買い物や通学客で込み合う駅で急行待ちなど退避時間も長い。私鉄の駅で忙しそうなホーム人たちの視線を感じつつ、ガラス一枚隔ててゆっくりワインを傾けるのも面映ゆい心境で独特な楽しさだった。
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