ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
長引く梅雨と武漢ウイルスでどこにも出かけられない。そんな時には美術館である。主催者の一員である読売新聞から招待券を貰い、上野・国立西洋美術館で開かれている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」展に行ってきた。と言っても今はウイルス対策で、国立西洋美術館は入場者の人数制限をしており、あらかじめ一人200円の予約料を払い、30分刻みで指定される時間に入場する方式になっている。この展覧会はもともと今年の3月から6月に開催予定だったが、ウイルス禍でこの時期にずれたもので、入口では予約の確認に手の消毒、体温測定と絵を見るのも大変な時代である。行ったのは金曜日の夕方とあって、名画の前は2メートルと云われるソーシャル・ディスタンスを取ることは出来ない程度のそこそこの人出だ。それでもいつもの予約を取らないシステムより、よほどゆっくりと名画を鑑賞できたのは、武漢ウイルスの思わぬ副次効果と素直に喜ぶことにした。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーはロンドンの中心、トラファルガー広場に市民によって市民の為に形成され、13世紀から20世紀までの質の高い西洋絵画のコレクションを誇っていると解説にある。もっとも妻と15年ほど前にロンドンに旅行した際には、よく覚えていないのだが、ナショナルギャラリー入場を希望する彼女に「絵画は興味ないよ」と冷たく言い放ってパスしたそうだ。最近は、せっかく都内に住んで手軽に世界有数の美術品が見ることができるのなら、まあ見ておくかと考えるようになったわけなのだが、体育会派だった人間も年を経るとともに興味の関心が徐々に”高尚”になっていくようで、その変化が自分でもちょっと嬉しい。今年1月にここで開かれたハプスブルグ展を見た際に「少しでも教養のあるジジイになりたいものだ」とこのブログに書いた通り、一歩ずつ新しい自己発見へのチャレンジである。
ロンドン・ナショナル・ギャラリーが英国外で所蔵作品展を開くのは初めてで、今回は東京の後に大阪でも展覧会を開くとのこと。館内に足を踏み入れるとほぼ時代別に作品が並べられているが、どうも中世からルネサンス頃までの宗教画というのは私は苦手で、一目見ただけでそそくさと通り過ぎる。妻は勿体ないと云うが、そもそもキリスト教に関する知識がまったくない上に、この時代の宗教画は妙に暗く写実的、かつ題材が重いので見てもあまり愉快ではない。という事でじっくりと立ち止まるのは、やはりモネの「睡蓮の池」やらゴッホの「ひまわり」など近世・近代のコーナーで、「美術」の素養のない私には、有名なこの辺りが心に響く。最後は「昔と違って最近は少しでも教養のある」ジジイなところを友人にみせたくなり、暑中見舞い用にでもと、絵葉書数枚を買って展覧会見学を終えた。武漢ウイルスで東京が全国から嫌われているようだが、やはり東京に住んでいると何をするにも見るにも便利なのだ。
この絵葉書で違いの判るオトコに?
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