連休 奈良・飛鳥訪問(2)
妻の希望で当地名産の大和牛を食べ満足した翌朝も、起きると奈良の上空には青空が広がっていた。朝食前に日課のジョギングを済ませようと、ホテルから距離的に適当と思われる平城宮跡まで走って行くことにした。平城宮は奈良時代の国の都であった平城京の最北部に位置する東西・南北およそ1キロほどの一画で、大垣で仕切られて庶民が行き交う町とは区別されていたとされる。その中には政治や儀式を司る役所や天皇の住まいがあったと云うから、今でいえば霞が関と皇居が一体になったような場所である。平城宮は都が京に移った後は埋もれてしまい長い間田畑になっていたが、そこを国営公園としてかつてのように復元するプロジェクトが進行中である。
ここではすでに平城宮の入り口にあたる朱雀門や政治・儀式の場である大極殿の壮大な建物が復元され、整備中の広大な公園を突き切って近鉄奈良線の電車が走っている。かつて修学旅行に来た際にはまだ始まっていなかった工事で、東京にいるとこのようなロマンあふれる大プロジェクトが奈良で進んでいることなど知る由もなかった。発掘調査が一部で行われている公園の整備予定地を、名阪間で運転を始めたばかりの近鉄の新型特急「ひのとり」が奈良線の試運転列車として通過して行ったが、奈良の古都と朝日に映える最新鋭の車両のコントラストが印象的であった。
朝食をとった後はバスを使って西の京、唐招提寺や薬師寺にお参りする。このあたり周囲はたおやかな山に囲まれ流れる川はせせらぎ、穏やかな春の日差しに寺の照葉樹林も活き活きとして見える。東大寺や興福寺など奈良市中の大伽藍に比べると、どこもお参りする人たちの数が適度に減り、薫風の下、「あおによし奈良の都は咲く花の」という歌が自然に脳裏に浮かんでくる。唐招提寺の鑑真大和上のお墓に詣でると、なぜこんなに立派な高僧を生んだ当時の先進国が、王朝や君主が変わり没落していったのか、中国や朝鮮半島国家の覇権争いや政権交代の過酷な歴史と、それらと一歩も二歩も距離をおけた我が国の歴史的行幸に思いを馳せるのである。旅は良いものだ。
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