米国産マツタケ
近所のスーパーでアメリカ産マツタケを売っていた。かつて現役ご本社勤めの頃は広島県の取引先からこの季節にマツタケをもらっていたが、関連会社に出向の身となると当然そんな進物とは無縁になる。その代わり北米西岸の代理店から暫くの間、秋になるとアメリカ産のマツタケが送られてきていた。パシフィック・ノースウエストと言われるアメリカ北西岸、オレゴン州からワシントン州あたりは米松と呼ばれる良質な松の産地である。ここでは山に入るとマツタケも比較的簡単に手に入るという事で、シアトルやポートランドの日本人向けスーパーに行けば秋にはマツタケが売られていた。もっともこんな物をありがたがって食べるのは日本人だけで、値段はマッシュルームやシイタケなどより高かったが、それでも日本よりかなり安いので現地勤務の駐在員には人気があった。
アメリカ産のマツタケは日本のものより色が白く味も大味、独特の香りも希薄なのだが、それでもマツタケの食感は楽しめる。最後の関連会社勤めを辞めてから10数年、アメリカの代理店からもマツタケが届かなくなって久しいので、近所のスーパーで見かけた時にはどうしても「秋の味覚」が味わいたくなった。もっとも一本千円もするので渋る妻を「今年はサンマも不漁であまり楽しめないから、せめて秋にはマツタケを味わおうよ、スダチもセットについているし」と強引に説き伏せてスーパーの籠に放り込んでしまった。という事でその晩はこれをそのまま焼いて、小片を口に入れるたびに「これで百円分」などとブツブツ唸りながら、味はあまりしないがアメリカ産マツタケの食感を久々に楽しんだ。秋も深くなってきた。
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