慶応野球部・三連覇に挑戦
本屋で立ち読みをしていたらベースボールマガジン社「大学野球」2018秋季リーグ戦展望号が目にとまった。そういえば東京六大学野球も秋のリーグ戦が始まり、季節の変わり目を感じる今日この頃である。最近はこの種の本も買わなくなっているのだが、”46年ぶりV3に挑戦する『陸の王者』・KEIOの謎”という大きなタイトルが目立つうえ、表紙はグレーのKEIOユニフォームを着た選手の集合写真ということで、つい購入してしまった。
この「大学野球」秋季展望号では、東大以外では甲子園を経験した部員がもっとも少ないのにも関わらず、慶應がなぜ昨年秋・今年春のリーグ戦で優勝できたのかなど、チーム好調の秘密や陰で支える裏方の話が盛りだくさんの内容である。また今年の秋、もし慶應が優勝すれば部としては46年ぶりに三連覇の快挙になるとあって、前回三連覇した昭和47年秋の優勝投手である萩野友康氏の話がまとめられており、当時を知る者として懐しかった。
のちに都市対抗野球で久慈賞にも輝いたこともある剛腕、萩野投手(土佐)によれば、当時は「試合の途中でキャッチャーのミットだけが見えて、そこに投げたら打たれる気がしない」こともあったという。三連覇した昭和47年の秋は、初戦の明治戦で勝ち点を落として後がなくなり、法政・明治戦で明治が勝つと三連覇の夢もついえる状況だったそうだ。そこで慶應の投手陣は法・明戦のまえに横浜・日吉のグランドから、当時川崎の木月にあった法政グランドまで走って行き、法政の選手に声援を送った、などという牧歌的な話も披露されている。
そういえば三連覇の試合も私は神宮球場で観戦していたのだが、その瞬間が懐かしくなって当時の試合記録をあらためて引っ張りだしてみると、やはりメンバー9人のうち5人が甲子園組であることがわかった。内野はセンバツの優勝投手である吉沢選手(大宮工業)がサードに入り、大洋ホエールズにすすんだ山下大輔選手(清水東)がショート、外野もプロにも誘われた池田選手(習志野)など実力者ぞろいのチームである。投手では他に阪急のドラフト3位指名を蹴って入った長谷部投手(岸和田)などもいた。もっとも4番を打った福田選手は工学部で県立栃木高校出身、捕手の木原選手は慶應志木高出と「大学野球」でもフューチャーされるような「慶應らしい」チームでもあった。そんな場面、あんな場面を思い出すうち、またこの秋も神宮球場に足を運びたくなってきたのである。
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