世の中どこかでつながっている
老人ホームにいる高齢の母が、子供の頃に住んでいた葉山に行ってみたいと言う。連休の後半は特に予定もないし母の日も近いので、クルマで連れて行く事にした。途中、都内から第三京浜・横横道路を抜けて逗子のインターチェンジで降りたあたり、ガソリンの残量が心もとない事に気づき、最寄のガソリンスタンドに寄って給油する事にする。ところが最近のガソリンスタンドは、自分で給油操作をしなければならないセルフ方式が多く、今回入ったところもそんなセルフであった。このセルフスタンドというもの、場所によって機械の操作方法が違うので、給油口付近に表示されている説明書きを読んで操作しなければならない。ところがせっかちな私は初めての場所で、そんなモノを悠長に見るのがたまらなくイヤである。セルフ方式で人件費がセーブされ、少々ガソリンが安くなっても、何故そんなものを読んで自分で操作しなければならないのか。アメリカでレンタカーを借りて運転する時でさえ、向こうにはあまりない有人のフル・アテンド給油所を探したくらいである。
で、今回もなるべく係員がいそうな事務所近くの給油口にクルマを止めるなり「ここ、初めてだから誰か教えてよ~」と恥ずかしげもなく大声で叫ぶと、押っ取り刀で中からユニフォームを来た一人のオッサンが飛んできた。一通り説明を聞いた上でぎこちなく給油を始める私を見ていたそのオッサン、「そのポロシャツのマークの体育会に私もいましたよ」といきなり話しかけてくるではないか。そういえば家を出る前にタンスの一番上に置いてあったので、たまたま今日着てきた白のポロシャツは、母校のエンブレムが胸に付いていたが、相手に言われるまでそんなものを着て来た事さえ忘れていた。初めて来た遠方のスタンドのオッサンにそう言われ、改めてわが着衣を見直してみれば、たしかに同窓それも体育会出身なら一目でそれとわかるモノだった。
「ここのガソリンスタンドはオープンしたばかりで、今日は私は本部から応援で来ているんですよ」「もう会社は定年退職して、年金併用でイベントの際に動員されるんですよ」と自らの境遇を吐露する彼に「体育会の何年卒ですか?」と聞けば何と彼は私と同学年だと云うではないか。「え、え~!?何部なの?」と驚く私に、彼は胸に下がったIDカードを示しつつ「バレーボール部だよ」と答えると「こっちは競走部」と同期のよしみで急に打ち解けたのだった。当時36部あった体育会各部の同期は総勢300人余り、今回はたまたまポロシャツのエンブレムで判ったのだが、まさか逗子のガソリンスタンドで同窓同期から声を掛けられるとは思わなかった。彼に私の名刺を渡しつつ、今年も7月に開かれる体育会同期の懇親会での再会を約束し給油を終えたのだった。考えてみれば、私が「セルフか~!」とばかり横着に叫んだのが出会いの始めである。「あれがきっかけになるのか~。世の中は狭いな~」と思いながら、同期と会えた嬉しさで心なしかハンドルを持つ手も軽く葉山に向かったのだった。
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