追い風参考
東洋大の桐生君が追い風参考ながら100米で9秒87をアメリカで記録した。あっぱれである。テレビの画面でみると同じレースに出ていた我が競走部の後輩、山縣君はしんがりから2番目の様でちょっと残念であったが、ここは桐生君の快挙を誉め讃えたい。こうなると桐生君には4月第3週の織田記念陸上で日本人初の公認9秒台の記録が期待されるが、残念ながらこの大会の開催地は広島とあってちょっと見に行けそうもない。5月に横浜(日産スタジアム)で開催される関東学生陸上競技選手権(関東インカレ)には後輩たちの応援に行こうかと思っているので、桐生君は他校ではあるができれば横浜で9秒台を出して欲しいものだ。
さて陸上男子100米では、オリンピックで初めて10秒を切ったのが1968年メキシコでアメリカのジム・ハインズが記録した9秒95だった。あれから50年近く、日本人にとって夢の記録と思われた9秒台がやっと現実に近くなったのである。記録で思い出す事といえば欧米で人気の1マイルレース(1600米)にかつて4分の壁があって、これを破るのは人類には不可能と長い間言われていた。ところが1954年に英オックスフォード大学医学部の学生であったバニスターが3分59秒4で走ってからは、以後堰を切った様に3分台で走る選手が現れ、記録を破る事はメンタルな面があると云う事もまた実証されたのである。という事で桐生君がもし公認9秒台で走れば、日本の陸上記録も以後ぐっとレベルアップするのではないだろうか。
さて、よほど大きな大会は別にして、ごくふつうのランナーは相対的な『順位』より絶対的な『記録』を重視するのである。という訳で高校生の頃から中長距離を専門にしていた私も、世間一般から 「速い!」と云われる100米の11秒台を一生に一度くらいは出してみたいと望んだものであった。で、もしや台風が近づいて追い風がビュビュー吹いた日なら何とか12秒が切れるだろうかと、嫌がるマネジャーを記録係にして大風の中で100米を走った事があった。台風の風で却ってバランスが崩れたものの、この時はようやく念願の11秒9を出せ 「追い風でも記録は記録」と大いに満足したものだった。桐生君の追い風参考記録を見るにつけ、青春の日の100米12秒切り、台風下での我が『参考記録』樹立の事を思い出すのである。
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