神戸電鉄
有馬温泉とくれば神戸電鉄である。往路は同期の仲間で揃って梅田から直行バスで有馬温泉に行ったが、翌日は義弟が出る大阪マラソン応援の為に、朝9時にはひとり御堂筋に着かねばならぬ。日曜日の早朝は大阪行きバスの便も悪く、ルート検討の結果、神戸電鉄と阪急電車の乗り継ぎで有馬温泉から梅田に向かう事にした。神戸電鉄と云えば、以前に何度か粟生線にある 「広野ゴルフ場前」 駅で降りてゴルフをした事があったものの、同行のゴルファー達は広野が屈指の名門コースとあってゴルフ談義ばかりに花が咲き、電車の風情を独り楽しむ暇などなかったものだ。それ以来10年ぶりの神戸電鉄、それも今度は本線とも言える有馬線に乗れるから興味津津である。
有馬温泉駅で神戸・新開地行き3両編成の始発電車に乗車すると乗客が数人で、日曜の朝ともあって実にのんびりとした車内だ。次の有馬口で三田方面から来た4両編成の急行・新開地行きに乗り換えても、沿線の風景や駅のたたずまいは郊外の中手私鉄という感じで、ほのぼのとした気分がただよっている。同じ中堅だった関東の相鉄線が、最近はすっかり大手になってしまったのに、神戸電鉄はワンマン運転の最大4両編成で、枕木も昔ながらの木製が残っているところがノスタルジックである。驚いたのが駅の列車接近のチャイムで、なんとメンデルスゾーンの交響曲「イタリア」冒頭の伸びやかなメロディが使われている。これを聞いていたら、大手民鉄に車両や設備でかなわなくとも、古くからのモダン都市「神戸」を表しているかの意地を感じてきた。
さて終点も近い区間、鈴蘭台から鵯越を通り神戸市街地へ下る辺りで、車窓から線路脇の勾配表を見ると、なんと50‰(パーミル、1000米進む間に50米下がる)とある。箱根登山鉄道が80‰、アプト式の旧碓井峠が66.7‰だから、ここは郊外鉄道としては我が国でも最急勾配の一つであろう。この急勾配を抑速ブレーキを使いながら時速50キロほどで下るが、終点一つ手前の湊川から終着駅の新開地まで引き続き下り勾配が続いているようである。ふと、もしブレーキが故障して列車が暴走したらどうなるのかとの思いが頭をかすめるが、そこは二重・三重の絶対的な保安設備が設けられているそうだ。駅員も丁寧で気持ちが良かったし、なによりワンマン運転の運転士は、停車中に常時後方確認するなど列車防護体制も良く練られている様で安心だ。それにしても終点の神戸・新開地駅では改札口も通らずに、阪急や阪神電車に乗り換えができ、あらためて関西の私鉄は便利なものだと実感した。
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