フェリーさんふらわあ・昼の瀬戸内感動クルーズ(1)
昭和35年、瀬戸内海航路を運営していた関西汽船に、”くれない丸”と”すみれ丸”という3000トン級の純客船が就航した。当時は内航客船の世界でも戦後の混乱がようやく一段落した頃で、神戸の新三菱重工で新造された”くれない丸”と”すみれ丸”は、スマートなうぐいす色の船体に豪華なキャビンやサロン、ダイニングルームを備えて世間の注目を浴びたものだった。私も昭和30年代の後半に家族で何度か憧れの両船に乗船した事があって、阪神と別府を結ぶ航路を「観光便」と銘打って20ノット近い快速でサービスするさまは、まさに”瀬戸内の女王”と云う愛称にぴったりだったと記憶に鮮明である。
Exくれない丸に関するブログ「ロイヤル・ウイング(2010年3月13日)」
大分港のさんふらわごーるど
時代は世知辛くなって、現在では瀬戸内海を航行して九州と阪神を結ぶフェリーはどの会社の便も夜行となってしまったが、憧れの別府航路開設100年記念として、2011年から旧関西汽船の後継会社でもある「フェリーさんふらわあ」が、年に4便だけ昼の瀬戸内便を復活させて評判を呼んでいる。かねてよりこの再現「観光便」に乗船したいものだと考えていたところ、6月1日神戸発の昼行便 ”さんふらわあごーるど”のバルコニー付きデラックスキャビンが取れると妻が興奮して言っている。この便は”昼の瀬戸内感動クルーズ”として午前11時前に神戸六甲のフェリーターミナルを出港、瀬戸内の昼の景色を愛でながら船内で開催されるクラシック音楽や宝塚の小規模なレビューなどを鑑賞しつつ、午後10時に大分到着後はそのまま翌朝までホテルシップになるのというので妻と勇躍乗船する事とした。ありし日の”くれない丸””すみれ丸”の夢よもう一度という趣向である。
ただ、わざわざ神戸まで行き大枚を投じて船に乗るだけでは余りにも芸がない、と云う事でフェリー系列の「さんふらわトラベル」社がこの昼のクルーズを利用して企画した、岩戸神社・高千穂峡の日帰りツアーにも参加する事とした。古事記や日本書記に記された国造り神話の舞台となる高千穂地方は、幾度となく訪れてみたいと思っていた場所だが、高千穂は宮崎、熊本と大分の県境にあって山深い九州山地の懐である。かつて九州に出張した際にちょっと足を伸ばしてみるかと考えたものの、仕事にあまり差し支えずかつ会社に旅程を誤魔化して訪れるには、高千穂はちょっと遠すぎる場所であきらめてきたのだった。今回のツアーは、大分港に停泊する”さんふらわあごーるど”に一泊した後、高千穂峡まで貸切バスでの往復、帰り道に懐石料理の昼食や温泉に入浴した後に大分に戻り、停泊中の”さんふらわあごーるど”号がその夜に夜行定期便になるのを利用して神戸まで戻るという絶好の企画なのである。(続く)
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