復刻版は昔のままか?
ビールの在庫がないと云うので、コンビニに立ち寄るとアサヒビールの復刻版を売っている。最近のノドゴシすっきりのビールも良いが、昔の苦いビールの味が時々懐かしくなって、アサヒに限らず復刻版が出るとつい買ってしまう。考えてみると子供の頃、年賀などで家に訪れた父の職場の人に 「坊やも飲んでみるか?」などと言われて、怖さ半分で飲んでみたのがビールとの付き合いの始まり。ちょっと舐めてみると 「お、やるじゃないか」などと、目の前のコップにもう1センチほど注がれて、ぐいっと飲むと何とも苦いものの、ちょっと大人の気持ちがしたのだった。
それから半世紀以上、振り返ってみれば高校の修学旅行の写真には、缶ビールを片手に生意気にポーズなどを取っていたものだが、いつもビールというのは 「苦おいしく」、ノドゴシが「 重い 」飲み物という気がしていた。それがいつの頃だろうか、生ビールが次第に普及し”ドライ”などというブランドがベストセラーになってから、「すっきり」系のビールばかりで、苦いビールといえば海外のペール・エールなどを選ばなければならなくなってしまった。そんな時代の風に対抗したくなり、復刻版が出ると 「今度は苦いのが飲めるぞ 」とばかり店頭で手にとってしまう。
さて毎回の様に、期待に胸を膨らまつつ復刻缶のプルトップを開け、グイと一口飲むのだがこれが大体いけない。子供の頃、背伸びして無理やり喉に流し込んだ、あの舌の奥に残る、えも言えない苦さやエグさを感じないのである。グイとのどに流し込むと、あまり洗練されてないホップの味がジワっと口の中に広がる、あの背伸びした快感がどの復刻版からも伝わってこない気がする。毎回、期待の苦味を味わえず裏切られたと思いながら考える事は、復刻版は実は昔の味そのままではなく現代風にアレンジされているのか、それともあの時は子供だったから苦味を強く感じたのかという疑問である。一度メーカーに、復刻版は本当に昔の味をそのまま再現したものか尋ねてみたいものである。
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