給与明細
契約社員ながらサラリーマンに戻って一ヶ月弱。今週末は3連休というので、明日が最初の給料振込み日である。以前サラリーマンだった頃は給料日とか給料明細などにはほとんど関心がなく、最後の支給額だけをちらっと見て「そんなものか」と思っていたが、自営業を5年経験してみると、この間に自ら支払っていた税金や社会保険の項目が、今月はどうなっているのか結構気になるものである。
という事で、明日振り込まれる明細を知ろうとすると、自分のものは各自で社内システムで検索しろと云われる。仕方なく画面のインストラクション通りにパソコンを操作すると、画面の最初に出てくるのは「あなたのパスワードを入れて下さい」、である。入社した日にバタバタしつつ訳のわからぬまま設定したパスワードだが、やっと使い慣れてきた業務システムのパスワードと違って何を入れたのかうろ覚えである。たしかこれだったかと思いつくまま入れてみると、「 同じものをもう一度入れろ 」と有難いシステムのご宣託。
おそるおそる又同じものをインプットすると、案の定「 パスワードが違っています 」と出てきてがっくりする。何度間違えてもペナルティがある訳でなしと悪戦苦闘、幾度かトライするうちにどれかがビンゴだったらしくやっとその先の画面に進めるのである。やれやれと思うのもつかの間、そう簡単に目標に到達するほど物事は簡単ではなく「 明細が表示されたファイルを開くにはもう一度パスワードを入れろ 」と相手はあくまでしつこい。つい「 勘弁してくれよ、自分の給与明細を見るのに三回もパスワードを入れなきゃいけないのか 」とパソコンに向かって大きな声を張り上げると、若い社員からは「このおじさんは何を叫んでいるんだ」と冷ややかに見つめられる。
昔の様に給与は現金で配れとまでは言わないが、各月の労働の対価である「振込み明細」くらいは、少なくとも封筒などで各人の机に配られるもので、パスワードと引き換えに個人が得るものではないと私は思うのだが、ちょっといない間にサラリーマン社会も随分変わったものである。進むシステム化に対応し幾つかの不自由に堪える事によって得る雇用の安定と、連休の前日に間違いなく自分の口座に金が入ってくるという安心感、自営業と雇われ人の間を行き来すると、どちらの身分にも一長一短あるものだとの感慨が湧き上がる。それにしてもこの暗証番号だらけの社会、老齢化に伴ってそのうち何が何やら判らなくなる場面が社会のあちこちで起きるだろうな、と苦笑するのである。
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