世界のクルーズ業界は?
アカプルコでは飛鳥Ⅱに並んで、小型の白い客船が岸壁に着いている。”OCEAN STAR PACIFIC”と書かれた船体はかなりの船齢に見えるが、その優雅なたたずまいからすると、結構由緒正しい履歴を誇っている船の様である。港内にいるのを幸い、その船の事を携帯から検索してみると ( 飛鳥Ⅱのネットは遅い上にバカ高いので、港にいる間にネット接続するにはもっぱら携帯電話が便利 ) もともとはロイヤル・カリビアン・インターナショナル社が1971年に建造した”ノルディック・プリンス”号らしい。同船はジャンボ化工事や幾多の転売を経て、ついこの前までルイス・クルーズ社に所属していた”AQUA MARINE”(2万3千トン)と云う名前のクルーズ船であり、ごく最近メキシコのOCEAN STAR社に売られた様である。
岸壁沿いにオーシャン・スターパシフィック号の舷門に行って、西洋人のオフィサーに興味の趣くままに尋ねてみると、同船はアカプルコ・ベースでクルーズを展開しており、今回は太平洋岸の4日間のクルーズで、主な乗客はメキシコ人だと云う。ついでにアカプルコのクルーズターミナルに詰めていた現地の日本人旅行社に聞くと 「 ラテン・アメリカの人が一杯ですけど、ノリノリの船ですよ。飛鳥も良いですが、こういう楽しい船も一度乗ったらどうですか 」と勧められる。こうしてみると日本人にも馴染みがあるカーニバルやロイヤルカリビアン ( またはその子会社群 ) などの他に、我々の知らない様々なクルーズ会社が世界には多数ある事にあらためて驚かされる。従来のアメリカやヨーロッパのマーケットなどの他に、新興メキシコ人を主なターゲットにするなど、日本人の知らない地域でクルーズ産業が新たに芽生え、発展している様だ。
そういえば北欧のストックホルムではBIRKA LINEというクルーズ会社が、”BIRKA PARADISE”と云うまだ新しい2万トン~3万トンの純客船を運航して、ストックホルムベースの週末クルーズを行っているのを見た。この会社などはベルリッツの年鑑にも出ていないニッチ・マーケットのクルーズ会社の様で、北欧の人々が主な乗船客の様である。フェニックスライゼン社やフレッドオルセン社などの様に、大手メジャークルーズ会社の中古船を購入して次々にビジネスを拡大しているヨーロッパのクルーズ会社の他に、世界では新造・中古を問わず、次々に新たなクルーズ事業が開拓され、拡大していくのが見て取れる。翻って邦船では”飛鳥Ⅱ”にしろ”にっぽん丸”にしろ船齢20歳を越え、一番新しい”ぱしびい”でさえ老朽化して、一向に変わり映えしないマーケットである。郵船クルーズの関係者は、さかんに「新しい『飛鳥Ⅲ』新造」の話を船上でほのめかすが、一体日本のクルーズ船事業はどんな展開を見せるのだろうか。
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