リスボン名物イワシの塩焼き
5月11日、飛鳥Ⅱはヨーロッパの初寄港地リスボンに寄港した。もとのスケジュールなら4月30日にイスタンブールに寄港したあと、本格的なヨーロッパクルーズが始まる筈であったが、延々遠回りをしてやっとヨーロッパに到達したのである。さてそのポルトガルは、ギリシャと共に経済的にはEU加盟国の中で最も問題多き国。この地に31年住むという日本人ガイドの女性から、人々の楽天的な生き方を聞くうち、ポルトガル経済が行き詰まるのも無理ないかなと納得する。いわく 「 タバコは健康に害がある 」 と云われると 「 どうせ皆死ぬからいいじゃない 」 と喫煙率が高い事、成人病が極めて多いのに長寿国なのはストレスが極めて少ない事など、我々日本人もちょっと生き方を考えさせられる国である。すべてがこの調子で、貯金などない人が国民の大半だと云うと、経済的破綻も止むなしかと感じる。
午前中の散策に次ぎ、午後はリスボン名物の路面電車を借り切って市内見学などを終え、最終帰船時間まで2時間ちょっとあるので、名物のイワシ塩焼きを食べに妻と町に繰り出す事にした。事前にガイドに聞くと 「イワシは大衆料理で、その辺の町のレストランならどこに入ってもハズレはないですよ 」ということだったので、「イワシの塩焼き」がメニューに書いてある港にほど近い町の料理屋に入ってみた。店の前は狭い石畳の坂道、家の前には洗濯物が一杯干してあり、「 お、ここは南欧だね、やっと着いたよ 」と自然と笑みが漏れる。
日中は30℃近く、鰯を食うにはビールは必須、数少ない知っているスペイン語から「 ドス、セルベッサ?」と店に入るなりウェイトレスに聞くがちんぷんかんぷん。「 ブラジルにいたんだろ、何とかビールを頼んでくれよ 」と妻を振りむくと 「 セルベージャ! 」と後ろから彼女の声がし、それを聞いてウェイトレスはやっと頷いてくれた。スペイン人はポルトガル語が判らないが、ポルトガル人はスペイン語をわかると云われるのは一体どこの話だ?と思わず言いたくなっている。ここはしかたなく一皿に鰯が何匹のっているのか妻の通訳に任せて、やっと鰯の塩焼きにありついたのであった。
で、これが出て来たリスボン名物のイワシの塩焼き、イワシをはらわたごとオリーブオイルと塩で焼いたシンプルな料理だが、獲りたてのイワシは日本の秋刀魚の塩焼きにも似た美味。やおら一気にほおおばると、やわらかい魚の肉は塩味が効いて、ほこほこと口のなかでセルベージャとマッチする事この上ない。「 船のメシもいいが、たまにはこんなローカルなメシがおいしいやね 」と遠路はるばる訪れたポルトガルの味を堪能したのであった。
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