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2011年5月25日 (水)

ストックホルム武器博物館

スウェーデンの首都ストックホルムで、エストニアで仕事をしている友人にあって旧交を温めた。彼はエストニアでは単身で新しい仕事にチャレンジしていているが、若い頃にパリに駐在していた事もあり、ヨーロッパについては大変な知識を持っている。その彼の案内で、ストックホルムではノーベル博物館と武器博物館を訪れてみたが、その中で特に印象に残ったのは武器博物館だ。スウェーデンは第二次大戦で中立国でありながら、たしか現在はサーブやボルボなどの機器を中心に大変な武器輸出国だったと記憶している。(但しスウェーデンの現在の武器輸出については、船上のお粗末なネット環境でインターネット検索が事実上不可能なので、記憶に頼って書いているため、帰国後あらためて調べてみたい )


あの時代にスウェーデンが中立を選んだ理由が一体いかなる背景によるものなのか、僅かな滞在で博物館を訪れただけでは知るよすがもないが、ここまでヨーロッパを回って来て、色々な話を聞き旧跡を訪ねたり、また船内で西洋史の本を読んだりする中で感じる事は、ヨーロッパの有史以来の出来事は、血を血で洗う略奪と戦争が基本だという事である。異民族の移動や侵略、イスラムとキリスト教の戦い、カソリックとプロテスタントの抗争、王族の政略結婚などなど、その歴史の一駒一駒に戦いがあるのである。エストニアの友人によると、ヨーロッパの人々の遺伝子の中には「戦争」「侵略」が組み込まれていると言う。


ストックホルムの中心地に建つ三階建ての壮大な武器博物館は、どきっとするほどリアルな実物大人形などを使い、この国の戦いを年代に沿って展示・解説をしている。残念な事にディスプレイの説明がすべてスウェーデン語で書かれているために、博物館を訪れる際に必携する英和電子辞書が今回は役立たずで、おどろおどろしい戦いの写真や展示物をただ眺めるしかなかったが、それでもスカンジナビア半島の国々や、友人の住むバルト三国などは歴史的に常にドイツとロシアの大きな圧力の中で生存する道を模索してきた事は感じる事ができる。


展示の最後は国連の創設や機能にスペースがかなり割かれているが、かれら欧州の人々の血生臭い歴史を垣間みると、国連などという機関は、戦いが歴史の基本と認識している人々の理屈とご都合主義で出来ているものではないだろうかと感じる。小沢一郎など一部の人達は、日本が国際的な軍事行動に関わる時に、いつも国連のお墨付きを求めたがるが、戦いと権謀術中に明け暮れた欧州の連中とその子孫の米国が作った国連などに、我が国の基本を任せて良いのかと言う思いが、武器博物館を見ていて改めて込み上げてきた。

写真は武器博物館の外観
20110523

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船・船旅」カテゴリの記事

コメント

一緒に見れて良かったです。僕もとても勉強になりました。ブログでも帰って取り上げました。

高野君

お元気そうで何よりです。しばらく当地で健闘下さい。帰国の折はまた神田の焼き鳥屋で。

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