にっぽん全国たのしい船旅
妻が何かパソコンをいじっていたかと思うと、「ネットでまたこんな物を買っちゃった」と嬉々として報告してくる。大抵はアマゾンでCDや書籍などを注文している様で、数日後に宅配便で品物が届くのだが、最近は私の方が家に居る時間が長いので、何か家事でもしようとしていると 「ピンポーン!」 とドアのベルがよくなる。また妻のつまらない買い物で煩わされるのかと、大した手間でもないが、「ちぇ」と舌打ちしながら宅配便の業者から荷物を受け取るのである。
などと考えていたが、先日届いた「にっぽん全国たのしい船旅」2010-2011年版(瀬戸内海、縦横無尽の船旅)=イカロス出版という雑誌をそれとなく眺めているうちに、こちらの方がこの本に嵌ってしまった。この種の案内本の例に漏れずフェリーや国内のクルーズ客船案内かと思ってパラパラと頁をめくっていたら、往年の阪神ー別府航路の関西汽船観光船や加藤汽船の名船 「ぐれいす」など、かつてあこがれた懐かしい瀬戸内の客船の写真や解説が詳しく載っている。さらに四国連絡架橋ができた後も残る瀬戸内の生活航路に就航する小型フェリーなどの記事が、美しいカラー写真ともにテンコ盛だ。
特に広島と愛媛間に点在する芸予諸島で活躍した小型フェリー達の特集は、この雑誌の編者のフェリーへの愛着を深く感じさせ、とても読み応えのある記事であった。私もかつては仕事で随分と芸予諸島の船主さんを廻ったものだが、そこを行き交う小さなフェリー達の特徴や来歴をこの本で知ると、改めてあのローカルの何の変哲もない小型船の一隻一隻がそれぞれ歴史を持ち、人々の生活を陰で深く支えてきた事がわかる。本に網羅された瀬戸内の新旧の船達の記事を読むと、編者のフネに対する大変な知識と洞察が感じられるのである。
妻によると、この本は趣味の専門店で見た事があるが、近所の本屋には置いていないのでネットで購入したそうだ。日頃、ネット購入の品物の宅配業者が来る度にいらいらしていた私も、「 たまにはネットで良い買い物もするじゃない 」などと妻の行動をちょっと見直す気がしてきた。
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