石垣島にて
お正月は石垣島に来ている。東京マラソンの為の走りこみ合宿などと言っているが、暖かい南の島でのリラックスが主で、走った以上に石垣牛の焼肉を食べたりしているから、あまり合宿の効果は期待できない。それに天気も日本列島大荒れの余波で、ここでも気温は14度、地元の人が「寒い、寒い」と言っている気候はちょっと残念である。それでも東京から直行便で3時間半のフライトだから、わが国の領土も実は随分大きいと云う事を実感する。くるまの走る速さや人々の仕事ぶりも、すべてのんびりしたペースで、紅い瓦の南国風の家をみると、一瞬ここは東南アジアかと錯覚するくらいだ。
そんな具合で、走ったり食べたりしている間に石垣島がある先島諸島の事を調べていると、なるほど沖縄の歴史や先島・八重山諸島などこの辺りは、日本本土とはまったく違った歴史を重ねて来た事がわかった。先史時代には台湾やフィリピンとの関係が深かった様だし、中世以降は琉球王国の支配に入ったものの、石垣島の按司(領主)が反乱をおこしたり、台湾国境の島である与那国島では伝説の女酋長が支配したりとなかなか興味深い。琉球王国も大昔は中国と君臣関係があったものの、やはり日本の文化圏・勢力圏にあった事、江戸時代の島津藩の統治や、明治以降は先島諸島などをめぐって日本と清との間に確執があった事など、東京にいてはあまり接する事ができない話がわかった。更に沖縄戦で敗れた後は、先島諸島はしばらく無秩序状態に陥っていた事など、歴史認識で人々が微妙な思いを持っているだろう事は容易に想像がつく。
タクシーの運転手によると、島の人口は住民票では7万余りだが、実際には4万数千人しかいないと言う。昨晩の地元民謡ショウの歌手も、普段は東京で活動していると言っていた。多くの若者が、出稼ぎに他の場所に行っているのだろうが、この美しいのんびりした島に人が住まなくなった時の事を考えるると、離島振興はもとより西南地域の自衛隊部隊駐屯などが必要な事が良くわかる。与那国島の上空は米軍統治時代の名残りで、島にかかる形で台湾と日本の防空識別圏があったが、実効的には台湾が島を避ける形で防空を考えているそうで、これを見ると主義主張より実効支配がいかに大切な事かがわかる。ここ石垣は台湾から中国へ直行できない船が、一旦立ち寄ってクリアランスを書き換える国境の港でもある。日本西南にある国境の海辺に来て、領土問題の事に思いを馳せる新年である。

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