鳩 由紀夫

事務所の窓枠の外にちょっとしたでっぱりがあって、鳥がよく来て翼を休めている。からすやすずめに混じってつがいの鳩がいつも来ており、ガラス越しにじっと事務所の中を覗いたりしているので、ある時ちょっとおやつの御煎餅の残りを砕いてやった。 と、すっかりそれに味をしめたのか、この鳩のカップルはしばしばここに来ては、何かをねだる様にこちらの様子を伺う。
本当は野生の鳩にエサなどをやってはいけない事はわかっているのだが、いつも同じカップルが来ているうち、こちらも段々情が湧いて「鳩のエサ」をペットショップで購入し、朝・夕二回定期的にエサをやる様になってしまった。そうなると相手も心得たもので、朝9時ぴったりに窓枠の所にカップルで来て、「来たよ、来たよ」とばかり桟の前を行ったり来たりして存在をアピールする。朝のエサを食べると満足してどこかへ飛んで行き、午後になるとまた飛来するので夕方のエサをやって一日が終わるのが習慣になってしまった。
調べてみると、鳩は一度つがいになると浮気などせず、一生そのカップルが寄り添うらしい。飛翔力は数百キロもあり方向探知能力だけでなく、街路やビルも見分けて飛んでいると云う。さらに人の顔の目鼻を覚えているのか輪郭から判断するのかはまだ分かっていないが、研究によると人間の顔をちゃんと識別しているとされている。こちらも毎日、顔をあわせているうち彼ら2匹の特徴が判って、他の鳩が来てもしらんぷりだが、彼らだけにはエサをやる様になってしまった。
こちらはカップルのうちオスの方である。で、名前は”鳩 由紀夫”。メスは”鳩 幸(みゆき)”と命名している。由紀夫おいでと鳩に言うとよちよちこちらの顔をみながら手からエサをついばむ姿が可愛い。けっしてこの由紀夫はブレたりしないのが良い。
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