尾道の楽しみ
尾道に出張する際には、時間を割いて街の裏手の千光寺山を駆け上がり、尾道水道の対岸にある向島やその向こうに点在する瀬戸内の島影を眺める。日中仕事の関係で時間がとれない時は、朝早く起きて朝食前に千光寺に行く事もある。眼下の尾道水道には通勤・通学の客をのせたフェリーが行き交い、対岸の造船所からクレーンや重機械の音が聞こえてくる。こんな時は遠くに浮かぶ瀬戸内の島々を望みながら、山の上で小柳ルミ子の”瀬戸の花嫁”を自然に口ずさんでいる。
地方の都市が疲弊しているという時、尾道はウオーターフロントが再開発され、千光寺周辺の文学関係の史跡を目当てに観光客が増加していると云う。私などもせっせと石畳の山道を登って行くと地元の人と思われるのだろうか、地図片手の観光客に道を尋ねられる事が多くなった。しまなみ街道と瀬戸内海、お寺や史跡などの観光資源を活かして町を活性化させようという尾道の意気込みが感じられる。
そんな尾道出張のもう一つの楽しみは尾道駅である。尾道はかつては東京や大阪と九州を結ぶブルートレインが停車する主要な駅だったが、新幹線が市の山側を通る様になってからは、山陽本線の各駅列車だけが停まるローカルな駅になってしまった。尾道駅の北側の引き込み側線も錆つき、山陽本線の上り・下り列車用の2線路2ホームだけの駅だが、私はこの駅の上り線用の列車接近案内放送が好きで、尾道駅から電車に乗る際は出来る限り早くホームに行く事にしている。幸い山陽筋はJR貨物の幹線でもあり、電車列車の合間をぬって貨物列車が上りホームを通過する際もこの案内が流れてくるので、少し早めにホームに行って通過する貨物列車に対する案内メロディを聞くことができるのである。
日本全国あまたの駅に列車接近チャイムがあるが、海と山に挟まれた尾道駅にふさわしい”我は海の子”のメロディーは日本一だと確信している。
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