嗚呼なつかしの脱脂粉乳
随分前から妻がさかんに行ってみたいと言っていた上野御徒町のブラッスリー「給食当番」に行ってみた。「昔誰もが食べていた学校の給食!そんな懐かしい味を再現したのが『 給食当番 』です」とのホームページにつられて試してみる事にしたのだ。
仕事帰りに妻と待ち合わせて、おそるおそる木戸を開けると、店内は木の机が並び、様々な文房具や学習帳がデコレーションとして置いてある。中には懐かしい「 肝油 」の缶も。愛想の良い店の人に案内され席についた我々の最初の注文は、「給食でもビールを注文できますか?」「 はいここにメニューがあります 」と差し出されたのは黒い表紙の出席簿。そういえば、授業中に私語をしていて、この出席簿で教師にひっぱたかれたなあ、などと段々子供の頃の記憶が蘇ってくる。「もちろんビールもありますよ」と言う一言で安心して、出席簿のメニューを開けば、懐かしい鯨の竜田揚げや春雨サラダなどがずらーっと並んでいて一挙に半世紀前にタイムスリップした気持ちがしてくる。
食器は定番のアルマイト、スプーンが妻の世代の先割れしたもので、我々の時代のレンゲタイプでないのはご愛嬌か。しかし出てくる料理はどれも相応に美味しくて、どうやったらこんなに不味く作れるのだろうと言われた我々世代の給食とは随分違う。
実は「給食当番」に入る前に、どうしても試してみたいと思っていたのが、あのまずい脱脂粉乳で、東京都ではなんと中学3年生まで強制的に飲まされた代物である。あの頃は「給食を残した子供は班ごと居残り」等と云う、甲子園も真っ青の連帯責任式人権蹂躙の教師が多くて、皆目をつむったり鼻をつまんだりして、ほうほうの体で流し込んだものだ。おそらく当時の子供は100人中99人が見るのも嫌だという飲みもの、なんでもアメリカでアイスクリームなどの原料に脂肪をとった後の食品で、戦後の栄養失調時にガリロア・エロア援助で輸入され、日本の学校で給食に出されていた。
意を決して40数年ぶりにご対面した脱脂粉乳は、店の人が私の会話を聞いていて「それでは濃い目にしましょう」と言って調整した特注品。あの頃と同じ様に目をつぶっておそるおそるごくりと飲むと、予想に反して飲めないものではない。というより、まあこれなら加工食品としてケーキの材料くらいにはなろうか、という味である。で、「これ、昔のと同じもの?」と店長らしき人に尋ねると「あの当時ほどひどいのはもう食品として売っていません。あれは本来牛や豚の飼料用でしたから。今日のは相当美味しくなっているはずです」との事。
そうだろうそうだろう、我々は牛や豚のエサを与えられて育てられた世代なのだ。だから今でも世界中どこへ行っても何を食べても、食事に注文がないのは、あの給食の教育的成果だと不思議に納得しつつ、おみやげの揚げパンを手にしたであった。
これが、あの脱脂粉乳。容器はお約束のアルマイト!

バルクキャリアー 2009-08-29 09:12:13
ぽんぽこりんさん
おはようございます。「給食当番」の1階はブラスリーですが2階はパーティールームで4人から予約できるそうです。黒板があり、学校の机で食べます。お店の人は割烹着で、本当に給食当番の雰囲気です。JR御徒町駅から10分、又は大江戸線・新御徒町前です。若い人の利用が多い様ですが、同窓会などで結構シニアーのお客さんもいます、との事です。
ところで我々も、来年のゴールデンウイークにはRCIのレジェンド・オブ・ザ・シーズの横浜発クルーズに予約を入れております。RCIのアラスカクルーズレポート素敵ですね。
ぽんぽこりん 2009-08-29 07:23:57
バルクキャリアーさん おはようございます
何だか顔を出してみたくなるようなお店ですね。
今度行ってみよう~!
貴重なお話ありがとうございました。
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