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2009年6月 1日 (月)

GM チャプター11 申請

GMが遂に連邦破産法11条(チャプター・イレブン)の申請をしたと報じられている。企業の栄枯盛衰は常であるが、あの輝かしい歴史を持つGMの破綻が現実になるとは、やはり驚きを隠せない。

考えてみれば、初めて憧れたクルマはアメ車だった。子供の時、隣の家が進駐軍の日系軍属で、その家のシボレーに乗って、今は代々木公園となっているワシントン・ハイツによく連れて行ってもらった。あれはPX(購買部)なのだろうか、アメリカの食料品や衣料品が豊富で、そこは何ときらびやかだった世界だったであろうか。前席ベンチシートの後に取り付けられていた取っ手の紐を握りしめて、ワシントン・ハイツまでドライブすると、当時の国産車のダットサンとかトヨペットなどはおもちゃの様に見えたのであった。

父の転勤先の九州では、送迎のクルマが55年式のビュイックで、家族も時々お相伴で乗せてもらったが、大仰なボディと派手なラジエターグリルが田舎町ではとても目だって、気恥ずかしかった思い出がある。ただV8エンジンの響きと、ビュイックの4輪タイヤを路面電車の二本の線路の上に器用に乗せて走る運転手の腕で、当時の悪路でも大変静かだった記憶がある。あの頃はテールフィンが立ったキャディラックやビュイックの大型車が皆の憧れの的であった。

長じてアメリカ駐在時に前任者から引き継いだのが、88年式のビュイック・ル・セーバー。このクルマは引継ぎの時点で6万マイルくらいしか走っていないのに、FFエンジン・ミッションのどこかがへたっていたらしく、発進時に不快な振動がして、今にもエンジンが止ってしまうのではと怖かった。なにしろ異国の地でクルマがエンコしてしまっては困るので、何回も修理工場に持ち込んではチェックしてもらったのだが、そういう時に限ってその症状は起こらない。「ちょっと、何だか不快な振動がする」などとエンジンの調子をメカニックに伝えるのに、私の英語力では苦労したものだ。

で、ついにル・セーバーを見捨てて、シボレー・ルミナに買い換えたのだが、新車から一年ほどのある朝、エンジンをスタートさせようとイグニッションキーを差し込んだ処、突如キー穴から閃光・爆発音がしてスターターが止ってしまった。あわててAAA(JAFのアメリカ版)を呼んで、なんとか修理工場まで辿りついたのだったが、この時はアメ車の品質の悪さにうんざりしたものである。

考えて見ると、ビュイックとシェビー両車で、日本で後席に乗ってから20~30年、アメリカで自らドライブするまでの間に、アメ車の品質は日本車に大きく逆転されてしまった事になる。品質だけでなく、大排気量車にこだわり、省エネ車を開発しなかった戦略も問題であったろう。しかしアメ車の持つ大らかな雰囲気、細かい点を気にしないトルクフルなエンジン、ふんわりサスペンション、応接間の延長の様な内装など、アメリカの国土に根ざしたゆったりしたクルマがアメ車の魅力でもあると思う。

戦略がはっきりした時のアメリカは強い。新しい思想でGMが再建され、また日本の市場でアメ車が欧州車と競合する様な時代が早晩くる事を、隠れアメ車ファンとしては願っている。

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