床屋談義
1000円床屋のブログの余韻もまだ残る今日、仕事中、閑な時間が出来たので馴染みの床屋にぶらっと行ってみた。いつも髪を刈ってもらう私より少し年配の女性の理容士としばしの床屋談義。先日の群馬県での1000円カットオンリーの床屋ニュースの話に水をむけると、彼女もそれを見ていたそうで話が弾む。
オフィス街にある昔からの小さな床屋なので、きっとあの1000円床屋の事をこき下ろすのかと思いきや、予想に反してそうでもない。何でもあの1000円床屋チェーンは最近大手の金融会社が創業者から買ったそうで、勤務は厳しいものの、一日働くと相当の給与が貰えると彼女は言う。借金のある人や、これから自分で床屋を始めたいという人が、まとまったお金をこしらえる為には、結構良い勤務先なのだそうだ。どうやら彼女もあと20歳でも若かったら、さっさと転職したい様な口ぶりである。
反対に思わぬ愚痴を彼女の口から聞いたのは、美容院の事。「なんで今の若い男の子は、美容院など行くんだろうね」と嘆く。「床屋の方が早いし、安いし、清潔で、うまいのに」と、いささかの自負も入る。「美容院に男が行ったら床屋はつぶれるよ」「私は、自分の髪を切る時きゃ男が来ている美容院はなるべく避けるんだ」「予約しなきゃならないなんて床屋じゃないよ」と、話しながらますますその怒りは止まらなくなってきた。
私も一度妻に付き合って、美容院に行って髪を切ってもらった事があるのだが、なにせその時は前の晩に大酒を飲んだ翌土曜日の午前中で、アポイントを取ってあるので仕方なしに椅子に座ったのだった。そんな状態なので、じっとして椅子に座っていると二日酔いで冷や汗が出てくる。こんな時に限って、髪を切ってくれるのはまだ若い可愛い娘。「何かおっしゃって下さい」としきりに問いかけてくるものの「う、うう、冷たい水」「冷たい水をコップで持ってきてくれ~」と喉から声を絞り出すのがやっとの状態である。
床屋ならアポイントもないのでそもそも二日酔いの日には行かないし、一旦入ってしまえば寝ていれば良いのだが、ここでは若い女の子が一生懸命、サービスで話題を切り出してくるので眠るわけにもいかない。ここで「気持ち悪い~」と寝ていては、中年のおっさんの沽券にかかわると、妙な処に力が入るのも美容院初体験の緊張か? 顔がひきつっているのが自分でわかるものの、若い子に受けたい一心か、笑顔で会話を続けたのだが、床屋に比べて美容院の時間の掛かる事! さらには洗顔の場所と髪を切る場所が離れていて、立ったり座ったりする度に吐き気がこみ上げて来る。もう一刻も早く逃げ出したかったのが、私の生まれて初の美容院経験であった。ほうほうの体で髪を切ってもらい、店の外に出た時には、街路の太陽がまぶしかった事を良く覚えている。
そんな訳で、今日は床屋のおばちゃんの愚痴に大いに共鳴してしまったのだが、「そうなのか、東京では目下の敵は、1000円床屋でなく美容院なのか」と気づかされたのであった。
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