夏の味(2)と八時半の男
今日は、また夏がぶりかえした様な蒸し暑さの東京だ。夏の味覚といえば、やはりかき氷。子供の頃から特に氷イチゴが好きだった。しゃきっとした氷を一口ほおばると首筋というか、後頭部にキーンと言うような衝撃が走ったのは懐かしい思い出である。大人になると冷たいものを食べても、あのキーンという感覚が来ないのは何なのだろうか。
さて氷いちごを食べる度に、なぜか 「八時半の男」 宮田征典を思い出す。子供の頃、当時は家庭に冷房などなかったから、夏の日曜日の夕食の後は、よく家族で夕涼みの散歩に出かけていた。まだ国道246号線が大山街道と呼ばれていて、玉電が道路の中央をのんびり走っていたが、この電車通りに出た所に甘味やさんがあり、夕涼みの帰り道、ここでしばしば氷を食べた。たしか両親は氷あずき、弟は氷メロンで私が氷イチゴというのが定番だった記憶がある。
氷を食べながら、調理場に通じる棚の上に置かれたテレビでナイターの巨人戦中継を家族で見ていると、ちょうど 「八時半の男」 ジャイアンツの宮田征典投手の出番の時間となる。巨人軍V9時代が始まった頃で、超満員の後楽園球場のカクテル光線を浴びながら、宮田投手は、来る日も来る日も毎晩八時半頃、回にすると6回か7回位だろうか、リリーフで登板してくる事がお約束で、その姿は「八時半の男」として日本中の注目を浴びたものだ。背番号はたしか24、上手投げからさっそうと速球を投げ込み、後続を切ってさっそうとマウンドを降りる姿は、野球少年であった私の心に強く印象に残っている。 (当時はほとんどの男の子が野球少年だったのだが。)
あこがれの宮田投手は、先年、残念ながら60歳代で亡くなったが、今でも氷イチゴを注文すると、夏の夜、電車通りのお店で口の中をイチゴの汁で真っ赤にさせながら、「八時半の男」の登板を、胸ときめかして見ていた子供の頃を思い出すのである。
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