2025年3月24日 (月)

飛鳥Ⅱ A-styleクルーズ~春彩~ 乗船 (クルーズは人と人を繋ぐ)

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マッシー村上の講演

この週末、3月21日(金)~23日(日)の2泊3日で『飛鳥Ⅱ A-styleクルーズ~ 春彩(はるいろ)~に乗船してきた。2011年の飛鳥Ⅱの世界一周クルーズに乗船した、船友(せんゆう)計11名での記念乗船である。来週から世界一周クルーズに出かけようと云うのに、直前でのショートクルーズ乗船となったのだが、実は昨春から皆で一緒に飛鳥Ⅱに乗ろうと乗船計画を練り始めたところ、それぞれのスケジュール調整やら満船で予約が取れずなどの事情が重なって、この時期になったものである。考えてみれば年齢もバックグラウンドも全く異なる家族が、長期クルーズにたまたま乗り合わせて親しくなり、以後10数年経っても年に数回集まって、ワイワイガヤガヤと好きな事を喋れるとは何と幸せなことであろうか。もっとも2011年下船直後の会合には20名ほどが参加していたのだが、病気や亡くなった方、遠くに引っ越したり、何となく疎遠になったメンバーもあって今では常時集まるのが11人となってしまった。それだけにこの繋がりを大事にしたいと思っており、世界一周の前と云えども万難を排して春彩クルーズに参加することにした。


A-style クルーズ~春彩~は横浜発着の無寄港クルーズで、霞町にある「リストランテ アルポルト」の片岡護オーナーシェフのイタリアンや、歌手・俳優の別所哲也氏のショー、日本人初の米国メジャーリーグ投手である村上 雅則氏(マッシー村上)の講演などをゆっくりと楽しむ趣向になっていた。最近の飛鳥Ⅱのショートクルーズは満船続きの絶好調の模様で、今回もなんと780人が乗船、そのうち7割が初乗船だそうで、まことにご同慶の至りだと云える。来週からの世界一周クルーズは乗船者が少ないから、ここでウンと稼いで頂戴ね、などと勝手に思いを抱きながら横浜港で舷門をくぐっての乗船である。一歩足を踏み入れれば船内はいつもと変わらぬ雰囲気だが、今夏に就航する”飛鳥Ⅲ”に移るクルーは、すでに別途違うローテーションに入っているそうで、特にサービスクルーは若手が大幅に増えて見知らぬ顔が多いことに気付く。ダイニングでは頼んだ酒を待たされたケースもあったが、超満船の割には若手といえどもうまく乗客の注文をさばいており、イライラすることが少ないのはさすが飛鳥Ⅱクオリティーである。これなら世界一周もあまりストレスを感じずに過ごせると期待できそうだ。


実は当ブログサイトは、管理者側が海外からのコメントをはじく設定としているのはわかっていたのだが、船上からの衛星通信システムであるスターリンクを経由して、記事そのものを投稿することもなかなかうまくいかなかった。他方で現在もまだ細々とリモートで続けている仕事についても、船上でEXCEL表を更新しメールでやりとりをしなければならなくなりそうだ。世界一周のパッキングに忙殺される中ではあるが、直前での乗船は、図らずもこれら船上でのネット環境を色々と試すためにはちょうど良い機会にもなった。100日余の海外クルーズ中に折々ブログを新たにしたり、業務のデータを送受信するために、わが家の”テクニカルスタッフ”である妻は、この航海中に試行錯誤を繰り返した結果、ブログ投稿に関しては何とか隘路を突破できそうで、これが分かったのは収穫である。メール送受信に関しても今まで同様に特に問題はなかったが、万が一エラーとなった場合にはWebメールで代替出来るだろうとのことで、航海中に妻への船内接待費用(毎月1回海彦のしゃぶしゃぶを要求されている)が増えそうだ。なお、ブログへコメントをいただいた場合は、残念ながら即時の返信は難しそうである。


この春彩クルーズでは、一緒に乗船した船友の他に、何人かからの若い乗客の方々から「 ブログや妻のX(旧ツイッター)を見ています」とお声掛けを頂いた。今回はさらに海難事故などこれまでアップした記事へのお褒めの言葉を貰って恐縮し、評価を頂けるならもっと真面目に勉強しキーを叩かねばと決意を新たにするところである。鉄道関連の記事に興味を寄せて下さる読者にもお声を頂戴し、その方面でも多くの人と情報を共有できるのだと意を強くしている。妻の2011年の世界一周クルーズの準備編では、「荷造りやいろいろな準備に役立ちました」と何人かの女性からかつてコメントを頂いたこともある。私も妻もまったく思いつくまま、好き勝手に書き散らしているのに、「愉しみにしています、参考になります」などと言われるとは望外の歓びである。ブログやXが人と人を繋ぐ足がかりとなり、世代や立場を超えて交流するきっかけになるのなら、ウンウン唸りながら下手な文章を絞りだす作業も楽しくなると云うものだ。拙ブログを通じて新たな出会いが実現すると思うと、世界一周中クルーズ中も楽しい事や船内あれこれを綴って、記録してみようと思っている今日である。

 

霞町「リストランテ アルポルト」片岡シェフの鮪カルパッチョ
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2025年3月22日 (土)

船内環境からテスト投稿

Starlinkからだとどうしても投稿した記事が読めなくて苦労している件。

記事入力までたどり着くことは出来たのは一歩前進@もうすぐ相模湾

右の神子元島を堪能しようとしたら、作業に夢中で気が付いた時にははるか後方へ。

残念 by テクニカルスタッフ

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2025年3月18日 (火)

商船三井クルーズ (MITSUI OCEN CRUISES) が ”SEABOURN SOJ0URN” 購入

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2011年5月 リスボン港に於ける"SEABOURN SOJOURN"

”にっぽん丸”や ”MITSUI OCEAN FUJI ” でクルーズ事業を展開する商船三井クルーズは、この度 ”MITSUI OCEAN FUJI ”の同型姉妹船である ”SEABOURN SOJ0URN ”(3万2千トン・2010年竣工)を米国より購入し、日本船籍に改めて2026年に運航を開始すると発表した。 ”MITSUI OCEAN FUJI ”が昨年末から国内マーケット向けに営業を開始したばかり、加えて商船三井クルーズには2028年に予定する2隻の新造船計画もある中で、極めて積極的な船隊拡大方針である。国内のクルーズ船の状況を見れば、この夏から郵船クルーズには ” 飛鳥Ⅲ”が加わって同社は2隻体制となるし、2028年にはディズニー(オリエンタルランド)が14万トンの新造大型船で日本でクルーズ事業を始動すると発表している。その他アメリカのプリンセスクルーズやヨーロッパのMSC クルーズなども、日本を中心とした定点クルーズを実施中であり、今年も初夏に  ”QUEEN ELIZABETH”がやって来るなど、内外の多くのクルーズ船会社が我が国の市場で営業を展開もしくは拡大中だ。我々のようなクルーズ愛好者にとっては選択肢が増えることは悦ばしいが、このような供給増で果たして業界の将来性が見通せるのかについては些か心配になる処だ。


注目したいのは、”MITSUI OCEAN FUJI ”の購入発表は2023年3月であり、今回の ” SEABOURN SOJ0URN ”の発表も3月だったことだ。商船三井クルーズのホームページによれば  ” MITSUI OCEAN FUJI ” 投入に当たって、『 2023年3月に商船三井がシーボーン社からクルーズ船を1隻購入し……(商船三井クルーズ社が)運航を開始しています』 とあり、今回の ” SEABOURN SOJ0URN ”も 『株式会社商船三井がシーボーン社本社:米国から購入し、2025年3月4日(火)(日本時間)に引き渡しを受けた』 と明記されており、この2船は商船三井本体が購入したものであることが分かる。会計や帳簿のことは素人ながら、これよりすると商船三井は昨今の好決算に伴う節税対策として、会計年度末ギリギリに償却資産確保のために急遽買船を決めたのではないかと推測できる。船舶には事業用資産の買い替え特例や圧縮記帳制度が認められているため、好決算の下で商船三井は今期中に積み上げた自社船の船舶売船益を、年度末を迎えて客船購入に充てたとすると、この時期の突然の発表にも合点がいく。急拡大の側面には、親会社の好決算が反映しているとみることができる。


また商船三井のクルーズ事業は、米国クルーズ船業界のジャイアント、カーニバル社と業務提携しており、国際戦略の一環として今後INBOUND客を呼び込む目論見で、クルーズ事業の拡大を図っている。これまでほぼ日本人だけだった日本船の乗船客だが、今後は船客の何割かは外国人に乗って貰うことを想定しており、その方針転換も船隊拡大の大きな要因とみられる。一方で新造船となると建造ドックも限られ船価も高いので、既存船の購入に踏み切ったに違いないが、これまで外国仕様だった船体を引き受けるには、メンテやサービス継続に大変な苦労がいるものである。その点で、同型船を2隻揃えることは、習熟の面でも備品や船用品などの補給面でも相当なメリットがあるはずで、これらの理由が今回の急な買船発表に繋がったものだと考えられる。先日、早くも ” MITSUI OCEAN FUJI ”に乗船したフネ友に評判を聞くと、「フネのハードは大変素晴らしい、ただ日本人クルーも外国人クルーも不慣れで、クルー同士お互いが協調せず機能していないのがとても気になった」とのことである。習熟には一定の時間がかかるだろうが、今まで大事に培った「良き伝統」を失わないように、ここは事業の急拡大に伴う混乱を最少にして欲しいところである。さて新しくフリートに加わるクルーズ船は ” さくら丸 ”にするのか” ふじ丸 ”にするのか楽しみだ?

2025年3月11日 (火)

飛鳥Ⅱ 2025年世界一周クルーズ懇親会

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3月31日の2025年世界一周クルーズ出発に先立ち、恒例の旅行社主催の懇親会が、先日六本木の 「HAL YAMASHITA」と云うレストランで開催された。「飛鳥Ⅱ」にも何度かゲストシェフとして乗船したというオーナー兼エグゼクティブシェフによる、「新和食」と銘打たれた日本料理店の、貸し切り昼食である。接待族だったのも遠い昔のこと、最近は高級な食材など滅多に口にすることもないので、この日は午前中にジョギングで腹を空かせて勇んで六本木に出かけた。会場はゲストである乗船者が10数名、「飛鳥Ⅱ」からはMy ASUKA CLUB会長ら2名、それに主催の旅行会社4名と合計で20名余で、小じんまりとした顔ぶれである。それもそのはず、今回のクルーズは乗船者も少なく、世界一周をぐるっと廻るのは400名に満たないとのこと。これにヨーロッパや北米での区間乗船者が加わるが、クルーの人数よりも乗船者の方が少ない豪華な旅になるであろうと主催者側より説明があった。先のコロナ騒動の際のように、あまり乗船者が少ないのも寂しいが、これならイベント開催時に行列になることもあまりなく、食事も一回制でかなりゆったりとした船内生活になりそうだ。

 

会食も一段落したあたりで、いつものように参加者の自己紹介となるのだが、このスピーチというのが困りもの。この日の参加者には、今回で世界一周が5回目、6回目というベテランから、「飛鳥Ⅱ」どころか船旅が初めてでいきなり世界一周というツワモノもいて、どういう立ち位置で話したら良いのかいつも迷うのである。偉そうに自らの体験談などを滔々と語れば、経験のない参加者にとっては上から目線でマウントをとっているように感じるあろうし、「よく分からないので皆さんよろしく」などと言うのもあまりに白々しい。自慢にならず、かつ場を和ませる程度に、と考えると、なかなか適当な言葉が見つからないものだ。ということで、飛鳥Ⅱ乗船の際には、「今では希少資源となった天然チーク材を全面に張った素晴らしいデッキでジョギングして汗を流し、露天風呂に飛び込んでビールを呑んで引き波を眺めるのが好きです」などと差し障りのない乗船動機を述べるのが常である。今回はこれに加えて、「4回あるデッキディナーには被り物など衣裳を準備するので、クルーだと思ったりドン引きしたりしないで下さいね」と皆で楽しもうとの心意気を示しつつ、「新和食」をエンジョイした。

 

考えてみれば運輸省の役人だった父親は、主に海運関係を担当していたので、小さい頃から船や海にはずいぶん親しむことが出来た。あの頃はコンプライアンスという言葉がなかったから、いろいろな現場やセレモニー会場にも家族が同伴するのがごく自然なゆるい時代。父の転勤でついて行った先も門司港と神戸とあって、官舎の目の前には海が広がり、子供の頃から船はいつもすぐそこにあった。船乗りにこそならなかったが、あまり深く考えずに海運会社に就職し、乗船研修で1万トンの小さな貨物船に揺られ、最初に上陸したのはロサンジェルス港であった。人生初の海外の地も船で行ったのである。揺れる船内、エンジンや汽笛の音は子守歌のようなものだ。妻も祖父は日本郵船で氷川丸などに乗船していた船乗りである。本人も海運会社に興味があったが、当時は大卒女子の採用は、特別な縁故者でない限りハナからお断りの時代とあって、すげなく門前払いされたとのこと。こうして人生の終盤となってお互いに縁の深かった「船」にゆっくりと乗れるのも、何かの縁、天の思し召しと心得て、ゆっくり波枕で世界一周を楽しむことにしたい。

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2025年3月 6日 (木)

ビールはミニグラス、ワインには氷

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愛用のビアグラスは元々モロゾフのプリンが入っていた容器

少し前、ネットの「ダイヤモンド オンライン」上で、大平 哲也さんと云う福島県立医科大学の教授(医師)が、ワイングラスの大きさについての記事を寄せていた。何でもケンブリッジ大学の研究チームが、「過去100年で食器のサイズが大きくなったことが肥満につながった」とする仮説に注目して、ワイングラスについての調査を行ったそうだ。そのチームが1700年から2017年までのワイングラスを収集し、それぞれの容量を調べてみると、やはりワイングラスは大きくなり、容量は増えているのが分かったとのこと。この研究から、「確固たるエビデンスは得られていないものの、グラスのサイズを小さくすることでアルコール摂取量を減少できるのではないか」と考えているそうである。


このような考察に基づき、大平氏はビールや酒を飲む時には小さなグラスを使い、氷や水で割るアルコールは、多めに氷や水を入れよう、と提唱している。小さなグラスでお替わりするほうが、同じ量でも何杯も飲んだ気がするし、同じアルコール量を飲むなら水や氷で膨らました方が沢山飲んだ気になるのだと彼は言う。たしかに人間は情報の80%を視覚から得ていると云われているから、味が少々薄くても目の前に注がれた酒の嵩が多ければ酔った気分になるものだ。その一方で、大きなグラスで一気に飲むより、同じ量でもちびちびと杯を重ねた方が、何となく酔ったような気分になってくるのも事実である。


我々の感覚とは実にいい加減なもので、例えばジョギング中に上り坂に差し掛かった際は、道路の先を見てしまい「あそこまで行かねば」とウンザリするより、視線を足下から50センチほど前に落とし、「一歩一歩」と進んだ方が遥かに楽に頂上に到達する。同じ事をするのも視線一つで気分は変わる。同様に「小さなグラスを使って自分をダマす」「水を多めにして薄めることでたくさん飲んだ気分が味わう」(大平氏)ことが出来るのも心理の綾である。ということで、私は以前より家でビールを飲む際は、小さなグラスに入れてちびちび飲むことにしている。このグラスなら一杯が60~70CC、350CCの缶ビールなら5回も6回もお替わりできるので、何となく杯を重ねた気分を味わえる。これなら、スポーツ後の最高にビールが旨い時、最初の一杯目をぐっと飲み干しても、「あと4杯でも5杯でも持って来~い」と思えるゆとりを感じる。小グラスでお替わりしつつ缶ビール一本を飲み干せば、(ちょっと物足りないものの)もう何杯も飲んだから食事にするかと次に進める気にもなる。また邪道とは思いつつ、白ワインに氷を入れて嵩を増やせば、こちらもちょっと満足した気になる。おかげでγ-GTPもなんとか規定の数値に収まっている。

2025年3月 4日 (火)

飛鳥Ⅱ 2025年世界一周クルーズ エンターテイメント ガイド

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世界一周クルーズの出発まで一か月を切った。とは言ってもこの時期にせねばならない確定申告や年度末の支払い、その他にも仕事の段取りなどに埋没気味の日々で、本当に一か月後には船上でゆったり海を眺めているのか想像するのが難しい。ではあるが、そろそろ準備にも目を向けねばならない頃とあって、来るべき100日余の海上生活に向けて、遅まきながら服装や靴など少しずつ準備も進めている。この航海中にプールサイドのデッキで行われる野外の催しは、アジアンデッキディナー、アフリカンデッキディナー、カリビアンデッキディナーにハワイアンデッキディナーの4回だそうで、これに合わせて場を盛り上げるコスチュームの準備も怠りない。「あの人、船のクルー? まさか乗客?」と人の目を引けば、それも亦楽しからずやである。日常を離れたせっかくのロングクルーズ、それも大海原に囲まれ暮れなずむ大空の下、デッキ上の催しなら自ら積極的に参加してナンボのものである。そんな中、郵船クルーズより「2025年 世界一周クルーズ エンターテインメント ガイド」が送られてきた。クルーズ中に催行される講演会の演者、各種教室の講師陣、ゲストエンターテイナーや落語家、ゲストシェフなどを紹介する冊子である。


届いた冊子をパラパラと繰っていると、これまでのクルーズで出会った顔なじみの演者やゲストが名を連ねている。写真教室の高橋敦史さんは、飛鳥Ⅱの世界一周クルーズではお馴染みの写真家で、今回も彼が講師なら教室に参加しようという気になってきた。毎日、午前と午後の2回行われるダンス教室の先生は、元々は飛鳥のエンタメクルーとして乗船していて、その後ダンス教師に転身した山本章平さんで、昨年のショートクルーズでも彼がダンスの先生として教室参加者を上手に指導していたことを思い出す。ゴルフ教室の新井敬子プロは、日本女子プロゴルフツアーに参加していた本物のツアープロだったが、彼女のアドバイスを毎日のように受けても料金がかからないのが、飛鳥Ⅱのロングクルーズの素晴らしい処である。ピアノの門真帆さんには、以前にも僅かだが指導を受けたことがあるので、このクルーズで行われると云うピアノ教室にも、勿論のこと参加予定である。また、このところ暫く行くチャンスのなかった(日本一予約の取りにくい)銀座木挽町「ラ・ベットラ」の落合シェフのパスタを、クルーズの終盤で楽しめるのも大いに楽しみである。


我々にとっては初めての顔も冊子で紹介されている。バイオリンの千住真理子さんは、最初の区間、神戸からシンガポールまでの乗船。きっと船出を祝して妙なる響きを船上で奏でてくれることであろう。タレントの山田邦子さんは、メキシコからハワイまでの乗船で、この頃になると少々マンネリ気味になる船上生活を盛り上げてくれることを期待したい。多彩なゲストの中で目を目を引くのが、”BLACK BLUES BROTHERS”と呼ばれるアメリカのショーグループである。どうやら映画 "BLUES BROTHERS"(1980年製作)の音楽をバックに、アクロバティックなショーを船上で繰り広げるようで、映画の大ファンだった私だけでなく我々世代にはウケルこと間違いなし。どんなオマージュが船上で繰り広げられるのか、家にあった古いVHSテープで、同作品と” BLUES BROTHERS 2000”(1998年製作)を乗船までに予習することにした。”東京大衆歌謡楽団”は、兄弟4人組の歌謡グループで、ボーカルの長男が若いのに似合わず岡晴夫や藤山一郎ばりの歌声で懐かしの昭和歌曲を再現する。最近話題になっているらしいのでYoutubeで彼らを見ていたら、飛鳥Ⅱの世界一周クルーズでメキシコからハワイまで乗船する経緯が次男であるアコーディオン奏者から語られており、そのユーモア溢れる喋りに思わず笑ってしまった。この次男は日本酒を傍らに演奏しており、どうやら酒好きに違いないから、船上で会ったら酒でも酌み交わしたいところだ。こうして冊子を見ながら来るべき場面を想像していると、やはり本当に行くのだと云う実感がやっと湧いてくるものである。

 

カリビアンデッキディナー用に海賊帽を準備
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2025年2月27日 (木)

八千穂寿司のおいなりさん

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2月24日(月)、テレビ東京の「世界!ニッポン行きたい人応援団」は、シアトル郊外に住み、いなり寿司を愛するアメリカ人女性を日本にご招待する特集だった。この女性の亡き祖母は進駐軍の兵士と結婚してアメリカに渡り、初孫だった彼女に日本料理を教えたそうで、おばあちゃんの味を受け継ぎたいというのが番組に応募した動機とのことだ。シアトル近辺には軍の基地が多いため第2次大戦に従軍して帰国した元兵士の家族が多数住んでおり、進駐軍で日本に滞在した米兵が日本人女性と結婚して連れ帰ったケースも多々あった。私がシアトルに駐在していた時も、進駐軍の軍人だった夫と結婚しアメリカに移住したオバちゃんが秘書をやってくれたが、一人駐在でアメリカの右も左もわからぬ中、彼女の様々な仕事ぶりにとても助けられたことを思い出す。かつての秘書のオバちゃんに孫娘がいれば、ちょうど番組の女性くらいかと考えると彼女に親近感を覚え、いなり寿司の作り方を日本の名店で短期修行しようとするその姿が興味深かった。


番組で彼女にいなり寿司のノウハウを教えた有名店の一つが、九段北のテイクアウト専門の「八千穂寿司」であった。この辺りは我がジョギングコースに近く、少し前よりこのお店があることは知っていたが、そこはJR市ヶ谷駅からは約600米もあり、一口坂という抜け道に面したあまり目立たぬ場所である。しかし「世界!ニッポン行きたい人応援団」でお店の人気や働く人たちの仕事ぶりが紹介されたのを見て、そんな名店ならば一度トライしてみようと、昨日はジョギング帰りに寄ってみた。午後のひととき、こじんまりしたお店にはすでに6人~7人の先客が列を作っていた。繁忙時を除き基本的には作り置きせず、注文を受けた分だけをすぐ後ろの調理場でこさえているため、簡単に客はさばけないようで、おばあちゃん始め4人~5人が一心に作業しているさまが並んだ列から見える。ふだん並ぶくらいなら要らない、ほかの物を買うとするせっかちな私ではあるが、家族総出で黙々と酢飯をお揚げにいれている厨房を見ると列を離れる気持ちにならず、何を注文するか陳列ケースを何度も確かめつつ待つことに。


約10分ほど待って買ったいなり寿司は、「いなり」単品 X 5(750円)、かっぱ巻き+かんぴょう巻+いなり2個(920円)入り「かっぱ合わせ」2点合計1670円プラス8%消費税。愉しみに折りを片手に持ち帰り、一口ほおばると油揚げは甘味がちょうどよく効き、味もしっかりした関東風、酢飯は口の中でほろりとほどけ、胡麻も入っていない素朴で懐かしいおいなりさんである。大将は神田淡路町の「志の多寿司」で修行したそうで、これぞ昔ながらの東京風というところ。子供の頃、玉電(現田園都市線)の真中(現駒沢大学駅)電停前に食堂があって、電車を降りるとそこのおいなりさんや、団子などを買って家路についたことを思い出してしまった。「八千穂寿司」はガリも本気の自家製、テレビで紹介されていた大将や会計の感じも良く、放送の余韻が去った頃にまた買ってみようかと思わせる味であった。お店は2021年に庶民的な巣鴨から靖国神社に近い九段北に移ってきたそうだが、大学や高校、オフィスが連なるこの街にちょっと似合わぬ「古き良き東京」の味わいである。

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2025年2月24日 (月)

神田川・環状七号線地下調節池

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方南町付近、環七通りの地下40米、長さ4.5キロ・内径12.5米の巨大地下調節池(トンネル)


「 神田川・環状七号線地下調節池」の見学ツアーに参加した。善福寺川の川べりにある取水施設を訪れ、地下に造られた普段は入れない巨大な水路を一同40人ほどで見学するのである。武蔵野台地の縁に町づくりがされた東京には、多摩川や荒川など幾つかの水系があり、その一つの神田川は三鷹市の井の頭公園に源を発し、途中で善福寺川や妙正寺川を合わせ、杉並区や新宿・豊島・文京の区境を東に流れる長さ24.6キロの一級河川の水系である。流域の都市化に伴い、かつては地面に吸収されていた雨水が直接都市河川に流れ込み、洪水の被害が大きくなることはよく報道されているが、この神田川水系でも東京の発展と共に大雨が降ればしばしば水害が起きていた。このような状況の下、中流域の浸水対策として昭和61年(1986年)から平成20年(2008年)にかけて整備されたのが、妙正寺川、善福寺川、神田川に通じる地下大水路である。


調整池トンネルと名づけられた地下の巨大水路に水を流し込むためには大掛かりな設備が必要である。まず東京西部に大雨が降った際に、神田川、善福寺川、妙正寺川の水位が一定以上になると、3つの河川のコンクリート護岸に設けられた取水口が手動で開けられる。取水口から流入した水は導水路で川べりの取水施設に導かれ、施設内にある導入孔(ドロップシャフト)と呼ばれる高さ40米ほどの特殊な立孔を通って、環状七号線の地下に設けられた調整池トンネルに流される。道路の地下深く、内径12.5メートル、南北に長さ4.5キロに亘るトンネルに3河川から集まる水量は、最大で合計54万m3(約50万トン)とのこと。大雨が去れば2日後にポンプを使って地下の水を汲み上げ、元の河川に戻す作業が行われるが、ポンプが稼働できるように、トンネル内には僅かな傾斜が施されているそうだ。


この日は、地下鉄方南町駅にほど近い善福寺川の取水施設で、まず係員による丁寧なガイダンスを受け、14階のビルに相当する長い階段を地下トンネルに向けて下りて行った。傾斜も急でステップの奥行も狭い階段で地下40米の地底に達すると、潜水艦にも使われる分厚い水密扉の向こうに、調整池トンネルに通じる内径6メートルの連絡路が伸びている。連絡路から本トンネルへ、係員が持つポータブルランプが足元を照らすが、ここは地下の奥深く、灯りがなければ真の闇だ。見学者のある日は絶対に水が流入しない仕組みになっているそうだが、もし南北に延びる暗闇の本トンネルの彼方から濁流が押し寄せれば、”グーニーズ”や”インディジョーンズ”の映画の世界かと思わず想像が逞しくなる。暗所恐怖症や閉所恐怖症気味の人は来るのを止めた方が良さそうだ。トンネル内は地下深いため、気温・湿度とも快適なるも、頭上には環七の渋滞があるとは信じられない空間である。地底に滞在すること1時間弱、色々な説明を受けて浸水対策がいかに大変な事業であるかを実感しつつ、今度は長い階段を登って外の空気が吸える地上に戻った。


こうして見学してきた地下調整水路の貯水量は約50万トン、と云われてもピンとこないが、東京ドームの容積が124万m3とあるから、豪雨の際はドーム球場半分位の量の雨水をここに蓄えておけることになる。ペルシャ湾から原油を運んで来る超大型タンカーが30万トン超なので、これに積めば1.6~1.7隻分の水量となる。大雨の日にトン数的に一体どれだけの雨が流域で降ったのか素人の我々には想像できないため、この貯水量がどれほど意味深いのかはよく分からないのだが、取水施設に展示されたデータによると、システム完成以来これまで調整池トンネルが稼働したのは46回もあり、神田川中流域での浸水の被害は激減したとのこと。地下調節池による損害額の減少効果は、設備投資(工事費は約1000億円だったとのこと)や運営費用をはるかに上回るとの係員の説明であり、このような大規模な河川対策を実施しているのは、東京と大阪の一部だけだそうだ。なるほどこういう設備に税金が使われ、浸水被害に大きな効果があるならば、高い地方税を払う価値もあるのかと納得しながら見学を終えたのだった。

 

善福寺川取水施設と護岸に設けられた取水口
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2025年2月23日 (日)

飛鳥Ⅱ 2025年 世界一周クルーズ ESTAとETA取得

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世界一周クルーズでは、乗船代金や日本から行った方が安いのではと云う料金設定の現地オプショナルツアーの他に、様々な費用が発生し、これがけっこう馬鹿にならない金額となる。出発前の手配で一番大きいのが海外旅行傷害保険で、これは法外に高いのでまた別途記することにする。その他の費用としては、まず使い古してかなり年季の入っってきたデジカメの買い替えがあるのだが、これと共に、これまで世界を何周も共にし、国内旅行でも必携だった双眼鏡が光軸のズレか見え辛くなり、買い替えが必要となった。前回フォーマルのタキシード用ズボンがきつくなっていたのでウエストを出しはしたが、久しぶりに見るとドレスシャツの汚れが浮いていたり、カジュアルの日に履くローファーのかかとが減っていたりと、思わぬ衣類の修正費用もあれやこれやかかる。背広のズボンなどは少し前まではゆったりしたのが主流だったところ、最近は「クルマヤのパッチ」かと見まごうばかりに幅が細くなってしまい、船上のインフォーマル用に新しいのを買おうかとこちらも悩むところだ。種々持っていく電子製品や時計の電池も交換せねばと、気ぜわしいばかりか何かと物入りの長期クルーズ前である。


ということで、今回も米国寄港の為の手続きであるESTA (Electric System for Travel Authorization)と、英国に入国する際の新しいシステムETA (Electric Travel Autorization)の取得については旅行会社に頼まずに、妻が2人分を自ら申請することとした。ESTAは2001年9月11日のテロ事件を契機に、問題ある人物が米国向け飛行機に搭乗する前や、船舶に乗船前にこれを排除するためのオンライン入国管理システムなのはすでに周知の通りだ。英国のETAについては2020年のブレクジット後、独自の入国管理システムを模索してきたこの国が、今年2025年1月から導入したシステムで、両国のものとも事前に申請して入国許可を取得せねばならない。この ESTAやETA申請は旅行社、ないしは代行業者に取得を代行してもらうことも可能ではあるものの、事務代行手数料はESTAでは8800円、ETAは11000円もかかる。 当局にはESTA21米ドル(約3150円)、ETAは10ポンド (約2000円)の取得費用がかかる上に、業者(旅行会社)に頼めば2人分の代行手数料だけで合計4万円にもなるのが痛い。面倒なことが嫌いな私は、税理士にしろ行政書士にしろ、何か必要があればすぐプロに頼みカネで解決しようとしがちなのだが、妻は自分の労働力で経費が削減できるのなら、なるべく自分でやるという主義なので結局は任せることとした。


こういう類の申請用紙はまったく苦手で、訂正箇所ばかりになるおっちょこちょいの私に較べて、銀行で様々な事務作業をこなしてきた妻は、私ほど入力作業に抵抗はないらしい。その上、ETAの方は申請時に自分の写真をアップロードする必要があるため、代行を頼めばその旅行社まで出向く必要まであるようだ。地方のお年寄りなど一体どうするのだろうかと心配になるのだが、とにかく自宅のパソコンから申請すれば、コストも手間暇も大幅にカットできることが分かった。ということで、先日は私が自宅で仕事をしている傍らで妻は自らのパソコンを前に作業を開始した。途中で、ETA用の上半身スナップ写真を撮影したりしながら、キーを叩いていたかと思うと、突然「アラ?」「え!」「あ、間違えた!!」などと一人呟くので、こちらも気が気でない。「 面倒だったら今から旅行会社に頼んだら?」と水を向けても、妻は「まさか」と聞く耳を持たず、最後に申請料の支払用クレジットカードの番号を入力した。ハラハラしながらも見守るうちに小一時間、ESTAの " Authoriztion approved"と ETAの " Your ETA application has been approved"の画面のプリントアウトを誇らしげに見せ、「やった4万円セーブ」と嬉しそうだ。ただこの入力作業も旅行会社から「ESTAとETAの申請はお済ですか?」と何回かの督促(心配?)の電話の末に漸く取りかかったもので、彼らもハラハラと見ていたに違いない。コストセーブは嬉しいが、悠々と構える妻の傍らで早くやったらと内心焦りつつも、任せた以上は信頼して見守る姿勢を貫くのも辛抱がいるものである。


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ETAの申請画面は本題に入る前に二度も「スマホのアプリの方が便利」との画面が出たそうだ
便利なのかもしれないが、文字入力はやはりPCのキーボードの方が勝る

2025年2月18日 (火)

寒川神社?(航海安全祈願と八方除)

20250218

膀胱や前立腺のガン手術後の定期検査の結果、とりあえず体の方は問題なしと分かった。幸い周囲には介護が必要な老人や病人などもいないので、思い切って3月末から”飛鳥Ⅱ”で最後の世界一周クルーズに出かけることにした。といっても3カ月以上、自宅を不在にするには色々と手続きが必要なことは言うまでもない。これまでは勢いで行っていたロングクルーズだが、今や我々も70歳台と60歳台の夫婦となり、飛鳥Ⅱの世界一周乗船者における平均的年齢になってしまった。実際のところ、まだ細々と自宅で仕事をしているので関係先との不在期間の打ち合わせの他、航海中に迎える税金の支払いや車検の手配など、旅に出るには事前に諸々の準備が必要だ。それらを考えるとちょっと気が重くなるのも事実ではあるが、青い海を眺めながらの航海の日々や、異国の地の入港情景など楽しい場面を頭に描きつつ準備に精を出すことにした。


長期航海となればまずは旅の安全祈願となる。これは3月に入ってからと思っていたが、年越しの風邪のあといつまでも咳が収まらない妻が 「厄年のお祓いを一切していなかったからかもしれない」と早めに参拝したいと言う。厄除けと言えば霊験あらたかな相模の国一宮の寒川神社である。「寒川神社は唯一の八方除け守護神として、八方除祈祷と八方除神札の授与を行っている」と同神社の案内にあるとおりだ。「八方除け進行とは周囲の東西南北を基本に、陰陽五行・十干十二支・九星八宮などを配当して地相・家相・方位・日柄・運勢などの吉凶を判断・・・」(同案内)で、旅行などに関する方位の不安を解消し、無病息災、福徳開運をもたらすご神徳があるそうなので、今回も早々にこちらにお参りに行くことにした。


とは云っても寒川神社へは自宅からの距離が60キロあり、公共交通機関で行くには、JR相模線と云う路線しかない。よっていつものようにトラックの軍団に囲まれ渋滞するエリアを何か所か超えての東名高速ドライブでようやく神社に到着したが、平日だというのに境内は思ったよりも賑わっていた。人混みは嫌なので古いお札を返し、お賽銭を多めに納め本殿に参拝だけして混む道をサクっと帰るのかと思いきや、「え、ご祈祷受けないの?」と妻。ここには何度か来たが、ご祈祷を受けたという記憶がなく、かつ祈願受付所の客殿にはかなりの人が列をなしている様に見える。何にせよ並ぶのが真っ平な私はさっさと帰ろうとしたが 「ここまで来たのにまさか」と強引に引っ張られ、御祈願申込用紙を渡された。促されるまま住所氏名生年月日を書き入れ、しぶしぶ行列に並んで、祈願内容を申告し初穂料を納めると受付(グループ)番号を渡されてようやく受付が終了である。


さすがは厄除けで人気の寒川神社とあって、ご祈祷を受ける大勢の善男善女を整然と案内するさまは感心するほどだった。まずは待合室で同じグループ番号の者が約100名ほど溜まるまで待機するのだが、この間「ワールドクルーズに出る前には必ずご祈祷を受けていたのに、全然覚えていないとはどういうこと?」と妻から証拠(下のリンク)を示され返す言葉が見つからない。困った時の神頼みしかない我が希薄な宗教心のなせる記憶欠落なのか。こうして30分ほど待った後、白装束を借りて立派な本殿に通された。ご祈祷は祓詞(はらいことば)に続き、三人も並んだ宮司さん達が、祈願する人の住所氏名、生年月日、祈願内容を一斉に奏上するため、思ったほどには時間はかからないのがよい。神殿で読み上げられる住所を聞いていると、地元の神奈川の他、都内や他県も多く、ここが広く厄除けの神様として知られていることが分かる。こうして受付から一時間ほどで、ようやく名前の入った有難いお札を頂き(記名板剣神札と云う)帰路についたのだった。クルーズに行くにはいろいろ我が家のルーティン(もっともご祈祷のことはすっかり忘れていた)があるのだが、これも楽しみの一貫と思えば渋滞を越えて行くのも悪くはない。

「航海安全祈願(2015年12月8日)」
「寒川なう(2018年3月14日妻のX)」

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2011年3月25日、初の世界一周の前に参拝。震災直後で閑散としている

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