飛鳥Ⅱ 2026年 「アラスカ・ハワイグランドクルーズ」
「飛鳥Ⅲ」と洋上の邂逅 2025年5月セントヘレナ島沖で「飛鳥Ⅱ」より
「飛鳥Ⅱ」による2026年「アラスカ・ハワイグランドクルーズ」の支払いをようやく終えた。我々にとっては「飛鳥Ⅱ」による最後のロングクルーズと考えているクルーズである。料金については10月31日までに全額支払えばグランド特別割引として25%オフだったので、いろいろ工面して費用を捻出したのだが、支払い後になんと期限が12月まで延期されたと聞いて何やら拍子抜けである。「飛鳥Ⅱ」は来年1月~2月に36日間の「アジアグランドクルーズ」を行うので、直後に設定された4月末から46日間の「アラスカ・ハワイグランドクルーズ」の集客はそう容易ではないだろうと想像していたが、案の定、乗船希望者の出足が予想を下回っているのであろう。いきなり割引条件を12月末まで延長するならば、それを知らずに10月末までに料金を支払った我々のような乗客には、オンボードクレジットなりアルコール飲み放題なりのアドバンテージを提供しろ、と声を大にして言いたい。
いま日本船の置かれた状況はと見ると、郵船クルーズはこの夏「飛鳥Ⅲ」が就航して2隻体制となり、商船三井クルーズも「三井オーシャンフジ」と、来年5月に引退する「にっぽん丸」の2隻が同時運航となって、瞬間的に市場は供給過剰状態のように思える。すでにお馴染み「ダイヤモンド・プリンセス」の他に「MSCベリシマ」や「バイキング・エデン」などの外国船も我が国のマーケットに参入しており、30万人と云われる日本のクルーズ客人口を内外船が入り乱れて奪い合っているのが現状だと云えよう。この様な状況もあって、新しいクルーズスタイルを模索すると云われる「飛鳥Ⅲ」は、従来のクルーズ愛好者たちにはあまり評判が芳しくないようで、「飛鳥Ⅱ」と市場を分け合って営業がなかなか大変なようだ。郵船クルーズは、来年は「飛鳥Ⅱ」を主にロングクルーズに投入する一方で、国内市場向けには「飛鳥Ⅲ」スタイルの普及を図る目論見なのだろうが、新規の顧客を獲得したり、リピーターに乗船を促すには「飛鳥Ⅲ」の料金設定があまりに高すぎるのではないかとまずは注文をつけたい。
詳しい資料は持っていないが、クルーズ船の通である何人かの友人の情報やx(ツイッター)によれば、当初、いろいろ不具合が伝えられた「三井オーシャンフジ」は大幅割引の効果も出て集客が好調であり、お別れ間際というノスタルジー効果によって「にっぽん丸」もそこそこの乗船率とのことだ。一方で就航直後に「飛鳥Ⅲ」に乗った人たちは、新しいものが大好き、例えばクルマで言うならば「テスラ」をいち早く購入するような層だと考えられるから、いまEVがさして売れなくなったように、乗船が一巡した後に、彼らがリピーターとして定着するかは非常に興味深いところだ。「飛鳥Ⅲ」では船内を盛り上げるエンターテイメントクルーはおらず、ダンス会場はおろかショーやゲストエンタテイナーなしで、「乗ってて退屈しちゃった」と、「飛鳥Ⅱ」のヘビーリピーターだった友人たちの声も漏れ聞こえる。さらにこの船のバルコニークラスの乗船客は、ご自慢のスぺシャルティレストンを当面予約できない不具合に不満が大きいそうだ。これらの反響をどう捉えるのか、来年の郵船クルーズの行方に注目である。
さて乗り慣れた「飛鳥Ⅱ」のロングクルーズは、一応2026年の「アラスカ・ハワイグランドクルーズ」で打ち止めとし、その後は「飛鳥Ⅱ」の短いクルーズは乗るにしても、主にヨーロッパのリバークルーズなどに挑戦しようと思っているこの頃である。後継の「飛鳥Ⅲ」はごく短い航海に限って、どんな雰囲気なのか試し乗りこそしてみたいものの、この船がネット時代の静かな新たなクルーズを追い求めるなら、あまり魅力は感じないであろう。クルーズは非日常の世界である。ツンとすましてスノッブを気取るより、デッキディナーに盆踊り、皆で楽しく歌ったりダンスをしたり、あるいはオシャレをして弾けるのがクルーズの楽しさだと思っている私としては、設備が素晴らしい上に予想に反して船上のノリが良かった「三井オーシャンフジ」の方が、今や「飛鳥Ⅲ」より魅力的に映る。逆にうんと背伸びをするなら、先般見学した「リージェントセブンシーズ」など本物のラグジュアリークラスの外国船に乗って、久しぶりに英語やマナーで苦労するのも究極の非日常で一興ではないか。3年後にはディズニークルーズも日本に参入する。各船、多種多様なサービスを展開することだろうが、今後どのスタイルに人気が集まるのか注目したい。
快適だった「三井オーシャンフジ」2025年夏 佐世保にて
















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