ダンスパーティ・ タンゴの トライアル
「初ダンスパーティ・初トライアル(1月15日)」でワルツを踊って以来3カ月あまり、通っているダンス教室のパーティがこの連休中にまた開催され、今度はタンゴのトライアルに出ることにした。妻はパーティには参加するものの、今回も仕事が忙しくトライアルには出ないため、いつも習っている女性の先生と組んでの挑戦である。思い起こせばその昔、色気が付き始めた中学生の頃、やたら異性を意識するあまりフォークダンスさえ逃げまわっていた自分が、人前で情熱の踊り、タンゴを披露するとは何という変化であろうか。昔の友人に社交ダンスの話をすると、皆 「お前が? ウソだろ!」と吹き出すとおり、人生は本当にわからないものである。
内輪のトライアルとは云え人前で踊るにはそれなりの練習がいる。よってダンスパーティ前には週に2~3回の特訓が必要となるのだが、この集中練習と他人の視線にさらされる本番の発表で、何となく一皮むけた気分になれるのがポイント。以前のトライアルによってワルツが少し上達したような感触をつかんだので、今度は次にポピュラーなタンゴに挑戦することにしたものである。社交ダンスと云ってもスタンダード種目にはワルツ、タンゴ、スローフォックスロット、クイックステップ、ヴイニーズ(ウィンナワルツ)の5種目、ラテンはルンバ、チャチャチャ、サンバ、パソドブレ、ジャイブの5種目と計10種目もある。パソドブレやジャイブは未挑戦なるも週に1回、1時間程度の練習ではとてもとても8種目を覚えていられず、いつも中途半端にレッスンを終えている感があるため、トライアルに向けて集中的に1つの種目に専念するのはとても有意義だと思うのだ。
それでも当日が近づくにしたがい、なんでパーティー参加料に加えトライアルの費用を払ってまで「また出ます!」と云ってしまったかと後悔の念がふつふつと湧きおこってくる。空を見上げればこの連休は快晴続きとあって、野球でも見に行ったほうが良かったか、郊外をドライブでもしてた方がずっと気が楽だったなどと、ふと妻に愚痴ってしまうと「私は最初から出られないと云っているのに、私のいない間に勝手に決めて来て!。直前になったらそういう後ろ向きなこと言い出しそうだと思っていたけれど、自分で蒔いた種なのだから自分で刈り取ってね」といつものように淡々とロジカルな返しで相手にされない。
タンゴはもともと男女の駆け引きをモチーフにしたダンスとのことで、男女の下半身はワルツより密着しているうえ、明確でメリハリの効いた動きが求められる種目である。そのため腰から上は広く取り、下半身の使い方が重要なのに、どうも私のような素人は腕力に頼りがち。一曲終わると上半身がガチガチに固まって疲れてしまうのは正しく踊れていない証拠だ。クルーズ船のダンス会場を見ていても、タンゴが決まっている、という男性はあまり見られないようである。ということで頭の中と実際の踊りのギャップは感じるものの、事前の特訓ではなかなかそのギャップを埋められず、最後は「まあ何とかなるわ」と開き直って当日を迎えた。
例によって、バッチリとお化粧や衣装を決めたおば様方でいっぱいの会場には、(3名の先生やバイトの学生パートナー2名以外の)男性は私の他に1名の計2名のみ。ただ、圧倒的少数派であっても、妙齢の女性の集団に気後れしなくなったことは大きな心境の変化と云える。ほとんどの参加者がトライアルを前にアルコールを控える中、今回ものっけからビールやワインを楽しんでいると、パートナーの先生が耳元で「トライアルが終わるまであまり飲まないで下さいね」とささやく。もっとも、船上では食後の酔っぱらった状態で踊っているので、経験的に少々のアルコールがあった方がかえって動きが良いので心配ご無用だ。パーティも進み自分のトライアルの番がくる。いざ名前を呼ばれてフロアーに立ち「間違えたらその時」と覚悟を決めて踊り出せば、なんとか1分半の最後まで間違えず踊り切り、練習で繰り返し直した姿勢や動きも最後まで忘れなかったようだ。「特訓したことは全部出ていたと思います。本番に強いのですね。」の先生のお褒めの言葉に、まだまだボケは来ていないことを実感したダンス―パーティであった。
タンゴを習い始めた頃の記事「情熱のタンゴ(2011年3月7日)」。最初は男の先生に習っていた。
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