カテゴリー「経済・政治・国際」の記事

2021年12月24日 (金)

参政党 新しい保守に注目

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参政党参議院選挙予定候補者の発表会見の終了後画像(Youtubeより)

クリスマスの時期になった。若かりし日を思い出すと、この時期は欧米諸国や豪州が休みに入り、海外からのテレックス受信もほとんどなくなり、新年を前にホッと一息、のんびりと出社していた候である。あの頃は世界経済や国際貿易・物流に中国という国の存在がまったくなく、いわゆる白人の先進国だけが商売の相手であった。まだ学生気分も抜け切らない若い頃、英法に基づく論争や、欧米先進国流の商習慣で攻めてくる人たちとの対応に一年間悩まされ続けてきただけに、テレックスのマシンからはじき出される通信内容が、クリスマスのお祝いメッセージ一色のこのシーズンは、平和な気持ちで過ごすことができた。


当時は、欧米と日本が世界の経済の中心だったが、今や中共の覇権主義が世界を席捲せんとし、世界のパラダイムも大きく変容している。仕事も暇になった昨今、新年を迎えるに当たって我が国はどこへ向かおうとしているのか大いに気になるところである。まず来年早々に迫った北京オリンピックの外交的ボイコットにしろ、対中非難決議にしろ、岸田首相の対中共姿勢はまだ明確になっていないが、このままずるずるとわが国は、無法な中共との関係を続けていくのかが心配だ。また地球が温暖化しているとする怪しげな前提で、脱炭素社会の実現を早急に目指すというあきれた世界の潮流を見ると、やはりその裏にディープステート的なるものの存在があってもおかしくない、という疑心さえ湧きあがる。国内では「ポリコレ」の名のもとにLGBTの権利やら夫婦別姓などを声高に叫び、日本の良き伝統を潰さんとする勢力が跳梁跋扈し目障りな事この上ない。何にもまして、重症化もしないのに、オミクロン株なるものの出現で、またメディアや(いわゆる)専門家がお祭り騒ぎを繰り広げるのかと思うとほとほとうんざりである。そろそろ我々も真剣に将来を考えるべきが来たのではないか。


そんな時に一つ、興味を惹かれる新しい話題を発見した。「参政党」という昨年結成された新しい政党が、来年の参院選に選挙区で最低でも15人、比例代表に5人以上の候補者擁立を明言したニュースである。なぜ山の物とも海の物とも付かない新政党に注目するかと云えば、その中心メンバーがこれまで保守の立場からYoutubeで政治や社会問題での発信に熱心に取り組み、彼らの顔やその主張を良く知っていた事にある。Youtubeを通じて知る限り、彼らの言動は、日ごろ私が抱く思考と重なり首肯する点が多い、というのが彼らに期待する所以である。リベラルという名の左翼や共産主義の人たちが報道界の主流を占め、ポリコレ的なエセ正義を喧伝するのに対して、保守の側、良き日本の伝統を守ろうとする側の発信は、これまでネットや一部の雑誌などに偏ってきた。参政党なる新組織の人たちがネットの場から国政に進出し、広く保守的な正論を開陳する事が、これからの我が国に必要だと私は考える。それは公明党や党内親中派の顔色を窺い、なかなか動かない自民党を突き上げる契機にもなることだろう。


という事で、さっそく参政党の綱領を読むと「先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。」「日本国の自立と繁栄を追求し、人類の発展に寄与する。」「日本の精神と伝統を活かし、調和社会のモデルをつくる。」とあって、その言やよし!とまずは拍手を送りたい。参政党の幹部として私が知るのは、元大蔵省の官僚で衆議院議員を一期務めた経験もある松田学氏である。Youtubeを通じて知る限り、彼の考えは経済的にはリフレ派ないしMMT論に近いようであり、また最近は武漢ウイルス騒動は大騒されすぎと冷ややかにとらえた発信を続ける点に好感が持てる人物である。同じく幹部の篠原常一郎氏は小室・眞子問題に切り込み、小室母を刑事告発したことでかねてよりネット界では注目を浴びている人物だ。この告発自体はややミーハー的過ぎる気もするが、問題を自ら掘り起こし行動する積極的な姿勢は大いに評価できよう。それにお馴染みの武田邦彦氏は「虎ノ門ニュース」や彼のサイトで地球温暖化に疑義を唱えるなど、ポピュリズムにおもねることなく、常に独自の視点で切り込むのが人気の科学者である。かの赤尾敏氏の姪が幹部の一員、というのも興味深い。彼らを中心に動き始めた参政党が、今後どのような活動を展開するのか、注目してフォローしたい。

2021年12月19日 (日)

そろそろ旗幟鮮明に、岸田首相

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ここ数年、定期的に1~2週間遅れで読み終わった週刊文春と週刊新潮を知人から貰っている。週刊文春はどうしたわけか、このところ左旋回とポピュリズムにおもねったような記事ばかりで、冴えもなくあまり面白くないが、週刊新潮には武漢ウイルス騒動にしても、眞子問題にしても「オヤッ!」と思わせる切り口の記事があって、最近はもっぱら新潮の方を読む時間が多い。特に週刊新潮12月16日号の「真珠湾攻撃80年の真説、日本はなぜ米国と開戦に突き進んだか」とする牧野邦昭・慶応義塾大学経済学部教授の特集記事は目を引いた。現在は石橋を叩いても渡らないような慎重な日本人だが、世界を相手に大東亜戦争に入った時の我々の父祖の代は、今とは違う何か特別な世代であったのか、と云うのは私にとってまだ解答が見えない永年抱いてきた疑問である。


この特集記事では、満州国の経済建設に関わった陸軍の秋丸次郎主計中佐の「秋丸機関」関係書類が最近の調査で明らかになり、その中で読み解かれた事柄からなぜ日本が戦争することになったかを牧野教授が解説している。ヒトラーによる独ソ戦開始に伴い日本の軍部内では南進論と北進論が対立したあげく、結局両論併記となり、「当時の日本に明確な方針がなく・・・近視眼的な選択をしていったことで、とりうる選択肢が狭まって行き、最後は極めて高いリスクを冒して戦争に賭けることになってしまった」と記事は述べる。メディアや議員が対米強硬論を主張し、世論がそれを支持すると「集団心理が働くと極論が支持される」ようになり、戦争に勝つ確率はごく低いのに「様々な情報のうち都合の良い部分」を材料として、「人間は希望的観測にすがりたくなります」とする。長期的ビジョンの欠落が希望的観測を過大評価し、その場の状況に応じて近視眼的な判断をして、かえって国が行き詰まることを牧野教授は警告している。


同様な指摘は月刊"WILL"1月号の葛西敬之氏(東海旅客鉄道会長)と櫻井よしこ氏による「太平の眠りから覚めよ、日本!」と題する対談記事からも読み取れる。対談のなかで、第二次大戦の欧州でフランスがあっさりとドイツの占領下に置かれたのに対し、チャーチル率いるイギリスは挙国一致でナチスと戦った例を踏まえ、リーダーが現実を直視しその現実を国民に告げる必要がある事を2人が話している。葛西氏は、中共の覇権主義と軍拡を前にして、「国家の礎ともいえる安全保障について国民が危機意識を共有しなければ、民主主義そのものが成り立たない」と危機感を顕わにし、大東亜戦争後「多くの政治家、リーダーたちはそれ(=国家が進むべき道を示すこと)をせず、(近視眼的に)民意に従い寄り添うこと」ばかりを選んできたとしている。「その点で、安倍氏は確固たる国家感、歴史観、世界感を持ち・・・メディアを敵に回す覚悟を決めて安保法制を成立させたことで、集団的自衛権の道を拓いた」と氏は安倍元首相を称える。まさに同感である。


さて大東亜戦争から76年経過し、日本は初めて自ら対中共に対する長期的ビジョンを明確にすることが求められている。台湾危機も取り沙汰される中、日本は地理的に中共と対峙する最前線に位置する一方、経済的には日中両国は深く結びつき相互依存体制を築いている。きわめて我が国の立場は微妙であるがゆえに、今般の米英豪カナダなどの北京オリンピック「外交的ボイコット」に対して、「オリンピックの意義、わが国の外交にとっての意義などを総合的に勘案し、国益の観点から判断していきたい」と岸田首相はあいまいな姿勢を取り続けている。しかし戦前の南進・北進論と同じく、自由と民主主義を共有するアメリカの側につくのか、欲に目がくらんで専制独裁主義の中共につくのか、今こそリーダーの決断が試されているのである。このままずるずると近視眼的な場当たり姿勢で米国の安全保障にすがりつつ、中共とはつかず離れず、しかし経済的にはエンジョイしたいというムシの良い「両論併記」を我が国は続けることができるのか。自由や民主、人権とは程遠い強権的覇権国家を目指す中共とあいまいな姿勢で対峙することは、結局国家の存在を危うくするのではないか。かつて長期的ビジョンの欠落、近視眼的な対応が大日本帝国を危うくしたが、今は国内の経済団体を敵に回しても、経済に多大な影響があろうとも国家の大計のためには、中共と一線を画すべきだと私は確信する。そろそろ岸田首相には、旗幟鮮明に対中非難決議や北京オリンピックの外交ボイコットを発表してもらいたい。

 

2021年11月 6日 (土)

野党共闘の失敗、日本共産党の特殊性

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衆院選も迫った先週末、交差点で信号が変わるのを待っていると、団塊の世代らしき白髪頭の女性がビラを渡そうと近寄って来た。どうもサヨク陣営の選挙応援オバさんのようなので目が合わないようにしていたら、案の定「日本共産党を宜しく」とかなり強引にビラを押し付けてくる。思わずあっちへ行けと手で遮り「共産党は大嫌いだから」と拒否すると、驚いたことに「そんなこと言わずこれ(ビラ)を読んで好きになって下さい」と彼女はしつこく食い下がってくるではないか。ようやく信号が変わったので「誰が共産党など好きになるものか」とつい大人げなく毒づいてその場をたち去ったのだが、言われたら言い返す共産党のオバさんの強さに思わずたじろいでしまった。敵もさるもの、である。


衆院選では立憲民主党が共産党と組んで選挙戦に挑んだものの、大方の予想通り比例区で大幅に議席を減らして負けた。自民党政権に飽き足らない人たちの票は維新に流れたと分析がされたが、立憲民主党の枝野代表は票欲しさのあまり共産党の特殊性を忌避する国民の気持ちにあまりにも無関心すぎた。そもそも日本共産党は「敵の出方論」を掲げていたような政党である。「敵の出方論」とは彼らにとって気に喰わない勢力次第では、暴力をもって彼らの理想の革命を成し遂げると云う何とも物騒な考えである。先般「敵の出方論」がテレビのワイドショーで問題になったことに慌てた共産党は、「用語」としてはこの表現を使わないと確認したそうだが、これは表現が記されている論文や出版物を人目に触れないようにするだけで、肝心のその路線を公式に否定したわけではないらしい。さらに政権を奪取した暁には天皇陛下や皇室の存在を認めず、日米安全保障条約や自衛隊も否定すると云うのが共産党である。斯様な政党と組んで選挙に勝利すると真面目に考えた枝野氏が選挙敗退の責任を問われるのは当然であろう。


なぜ日本共産党はこれほど特殊な政党なのだろうか。その点でいえば今週2日(火)夜、BSフジのプライムニュースに出演した同党の国対・選対委員長である穀田恵二氏が、共産党の攻撃的な体質や唯我独尊ぶりを身をもって体現しており面白かった。プライムニュースは反町キャスターのツッコミと司会裁きが巧みでよく見る番組だが、この夜は立憲・共産・維新の野党幹部を呼んでの衆選挙総括特集であった。立憲民主党の長妻氏が議席減の責任を感じるとの発言を繰り返す一方で、穀田氏は「責任の取り方はそれぞれの党の考え」として、幹部人事をふくめ負け惜しみの態度がありあり。ジャーナリストの田崎史郎氏が「そういう姿勢だから共産党はいつまでも7%の支持しかない」と指摘すると、色をなして「結果だけをみて国民の支持がないと云うのは言い過ぎ」と反省の素振りは見せないどころか、田崎氏に対して喧嘩腰でしつこく反撃する。穀田氏のふてぶてしさや開き直りとも思える態度からは、自分たちは正しいが選挙民が悪いとの共産党の本音が透けて見えるようで、テレビを眺めつつその自己無謬性を変えない姿勢に驚いた。これでは日本共産党は国民の政党にはなれないことが明らかである。


ビラ配りのおばちゃんから党の幹部まで、一貫した日本共産党のこの独善性は一体何によるのだろうか。日本共産党の歴史に興味を覚え、池上彰と佐藤優による講談社現代新書「真説 日本左翼史 戦後左派の源流1945-1960」(本年6月出版)を読んでみた。彼らがなぜこれほど教条的かといえば「人間が理性に立脚して社会を人工的に改造すれば、理想的な社会に限りなく近づけると信じている」から(同書21ページ)で、「全人民が武装すれば国家の横暴に対抗しうる」と考える人たち(22頁)、革命政党(35頁)だからだそうだ。社会の伝統であるとか経験値を軽んじ、頭でっかちな理想を常に求めるから、僅かな立場の違いを絶対視して内ゲバを起こすし、「どんなものにも良いものと悪いものがある」(105頁)と社会を2分し「共産党的弁証法」に陥って「権力者のスキャンダを暴くことはいいことだけど、共産党員のスキャンダルは党内部で処理すべきことであり、これを外部に漏らす行為は反階級的で反革命的だ」という態度になるとされる(106頁)。選挙の負けを負けと認めない穀田発言は共産党体質そのもので、この本を読んで日本共産党の歴史を知ると、やはり彼らが「特殊な政党」であることが理解できる。かつての社会党には「共産党と一度組んでしまったら軒を貸して母屋をとられる」ことを懸念する人たちがいたそうだ(99頁)。立憲民主党は先輩達に習い、母屋を取られる前にこの辺りで日本共産党と一切縁を切るのが良いのではなかろうか。

2021年10月13日 (水)

再エネ偏重や脱炭素政策の危うさ

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オランダ沖の北海に林立する風力発電の風車群 2011年5月飛鳥Ⅱより

欧州では電気料金が高騰しているという。脱炭素政策を進めるために火力発電を減らし、風力発電を促進してきた西欧だが、今夏は風が弱く十分な発電量が確保できなかったのが原因である。風力発電といえば北海に面したオランダでは、古くから風車が有名であった。名物の風車が動力源として使われて来たとおり、ここでは卓越する風を恒常的に利用してきた歴史がある。クルーズ船でヨーロッパ大陸と英国の間にある北海を航行すると、この海域に無数の発電用風車やオイルリグが設置されているのを見ることができる。大西洋や地中海からオランダやドイツなど北欧の諸港に向かう船のなかには、ドーバー海峡入口で風車やリグとの衝突をさけるために北海パイロットを乗船させる船長がいるが、それほど広い海域に数多くの風車が林立している。


その頼みの風力発電が不振とあって、求めた代替エネルギーの天然ガスは、中国の爆買いや産地メキシコ湾のハリケーンで価格が高騰し、英国ではエネルギー会社の破綻が相次いだと報じられている。特に影響が大きいのは、脱原発や再生可能エネルギーの『模範優等生』だったドイツで、ここでは脱炭素政策で火力発電所の削減を急いだため、エネルギー価格高騰によって引き起こされる問題が深刻になっている。インフレ懸念の高まりとこの秋・冬には大規模なブラックアウトの発生がこの国で危惧されているのだと云う。ヨーロッパ各国は送電網で繋がっているうえ、ドイツはロシアからパイプラインで天然ガスの供給もあるにもかかわらずこの状況である。これに対し「再生エネルギーを無暗に優先し、安定供給をおろそかにしたツケが回って来た結果だ」とキャノングローバル戦略研究所・杉山大志氏は10月5日付産経新聞「正論」で批難する。


地球温暖化の原因が二酸化炭素だという「ポリコレ」に日本は追従させられている。菅義偉前首相は2050年までにカーボンニュートラル(脱炭素)を実現すると言い、さらに小泉元環境大臣がまったくの思いつき、ウケ狙いで目標値をさらに引き上げてしまった。しかし自民党総裁選挙の際、河野太郎氏の中国での関連会社に関わる問題で広く知られたのが、太陽光パネルは中国が世界の市場を席捲しており新疆ウイグル自治区がその製造に深く関わっているという事実だった。また「電気自動車や風力発電を大量に導入するなら、そこで使われるレアアースはかなりの程度、中国、それも人権問題を抱える南モンゴルからの供給」(上述:杉山大志氏)だとされる。安全保障の観点からも、人権問題からも脱炭素政策によるシナ頼みは大問題なのである。今回の欧州の例を見ても「お天道さま頼み」「風まかせ」の再生可能エネルギーではなく、我が国は優れた技術をもつ火力発電や原子力をエネルギー源としてより活用すべしだと確信する。原発についてはさっさとフルに動かすとともに、地震や津波など災厄の多い我が国ゆえ、より安全な防御策の構築にこそ大規模な予算を投ずる必要があるのではないか。新らしく任命された経済安全保障大臣に期待したい。

 

2021年9月30日 (木)

自民党総裁選挙

自民党の100代目総裁に岸田文雄氏が選ばれた。自民党内の選挙とはいえ、国会の首班指名で日本国の総理大臣になる人を決める極めて大事な選挙である。総裁候補者4人の闊達な論戦や昨日の開票状況など、一連の公明かつ正大な選挙のやり方はさすが自民党だと感心していた。20年以上トップの委員長が変わらない日本共産党の対局ともいえる民主的な選挙だと云えるだろう。この間、個人的には安倍元首相の後押しで、保守色を強く打ち出した高市候補に勝って欲しいと思っていた。1990年代から「朝ナマ」などに出演して顔は知られていた高市さんだったが、今や押しも押されぬ自民党の中心的な議員となった。性格的にも一番ブレそうになく、国難ともいえる今の日本のリーダーとして適任だと信じるが、彼女にとっては今回は小手先調べで次の総裁選が本番となろう。1回目の投票で議員票で2位となったのも同僚の信頼が厚い証といえよう。岸田政権の下では外務大臣や防衛大臣など対外的な強さが求められる要職に就いて更に力を伸ばしてほしい。


総裁選といえば慶應競走部つながりで、以前から名前をよく知っていた河野さんに私は当初親近感を持っていた。しかしこの選挙戦を通じて顕わになったのは、脱原発、同性婚・夫婦別姓や女系天皇の容認という彼のトンデモ持論であり、またそれを指摘されるとトーンダウンするという変節漢ぶりであった。形成不利になれば自論を封印するような政治家は、局面が変わればまた違うことを主張するに違いない。致命的だったのが河野一族が深くかかわる中国での合弁企業が、ウイグル人問題にも絡み、その上中国共産党から優遇措置を受けていたことが広く知れ渡ったことである。彼はこの企業からの政治献金は法律に則り処理されており問題なしとしているが、そもそもがこの会社は太陽光パネルに関連した合弁企業である。エネルギー問題で焦眉の太陽光発電は、そのパネルが中国からの輸入がほとんどだといわれる。国策を担う一国の総理が、中国の関連企業との利害がきわめて近いことは到底容認されない。高市氏の落選は残念だが、河野氏が総理大臣にならず岸田氏が首相となるのは、我が国にとってセカンド・ベストであった。今回の落選が、中国利権に絡んだ議員には未来がない、という先例になったのも意義深い。


岸田氏は池田勇人や宮澤喜一など歴代総理を輩出した宏池会出身とのこと。宏池会は自ら保守本流と自認しており政策は中党、日米安保を基軸とするも中国ともことを荒立てず、総じてマイルドな政策集団だったと私は認識している。ただ宏池会的な中庸な方針は高度成長期には極めて有効であったが、中国が覇権を延ばさんとするこれからの多難な時代にどうであろうか。武漢ウイルス対策・経済成長・財政・外交・憲法改正など問題は山積している。これを突破するにはある程度尖った政策立案・実行が必要ではなかろうか。岸田氏は多くの意見を広く聞く人柄だそうだが、立憲共産党などの野党には建設的な対案はないし、大半のメディアはあほなポピュリズムばかりである。菅前首相のウイルス対策が不人気だった(と云われる)のも、尾身さん率いる政府文科会の意見を真面目に聞き、これに引きずりまわされた挙句の果てである。無責任な(自称)有識者、メディアや世論調査など気にせず、信じるところを一点突破で難局を乗り切ってほしいものだ。特に韓国の要望やら文句は一切無視願いたいし、中国には経済界の反対を押し切ってでも強い姿勢で当たる事を期待したい。

 

2021年2月16日 (火)

BS フジプライムニュース 真田・鈴置コンビに司会の反町氏

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最近テレビをほとんど見なくなってしまった。武漢ウイルスを煽りまくり、森元五輪組織委員長に集団リンチをかけるような偏向報道ばかりを見てもしょうがない。スポーツ中継以外にテレビをつけるとすれば「笑点」や月曜日のテレビ東京の「YOUは何しに日本へ」「世界!ニッポン行きたい人応援団」くらいだろうか。そんな中だが、ウィークデイ夜8時からの「BSフジ・プライムニュース」は取り上げるテーマによって週に1~2度興味深く見ている。「BSフジ・プライムニュース」は2時間枠で、政治・経済・国際問題・時事などフレッシュな話題を解説・討議する報道番組である。その日のテーマに沿って各回2~3名出演する専門家や学者・政治家は同じような顔ぶれが多くややマンネリ気味ではあるものの、司会の反町 理の進行やツッコミが面白く毎回安心して見ることができる。


昨日は、東銀出身の国際金融学者である真田幸光氏と、「米韓同盟消失」(2018年10月22日ブログ)を著した韓国通ジャーナリスト鈴置高史氏の、東アジアに詳しい名コンビによる中国・韓国問題に関する討議で、バイデン政権に代わってからこの地域で起こっている出来事を両氏が分かり易く解説してくれた。なかでもバイデン大統領はやはり中国利権でスブズブの可能性があり、トランプ政権から引き継いだ今の対中強硬姿勢は”ポーズ”に過ぎない可能性があるとして、バイデンを礼賛する日米メディアとは違う説明がユニークだった。また同盟重視というバイデン政権は結局リーダーシップなどはふるえず、中国の台頭を今以上に許すのではないか、という両氏の見立ても肯けるところだ。


注目すべきはイギリスのアジアへの再関与で、空母を太平洋に展開すると発表した彼らの動きは、香港返還の際の中・英の約束を簡単に反故にした中国共産党への怒りと、アングロ・サクソンの復権という基調があるのだと云う。考えてみれば従来の世界の商取引は、永い間ポンドや米ドルの基軸通貨体制の下、英語を用い英米法を準拠法にしアングロサクソン流で行われていたが、今このスキームに中共がチャレンジし覇権を奪おうとしている。英国と米国は時として離反することはあっても、その付き合いの根底にはアングロサクソン同士の信頼がある、という意見は一聴に値する。TPPに英国が興味を示しているのも、国内対策で動けない米国に代わっていち早く英国が加入することで、中共の加盟を阻止するという暗黙の了解が米・英にあるとする真田氏のコメントには思わず膝を打った。


韓国の文政権に対しては、バイデン政権は何も期待していないと両氏は口を揃える。いま米国新政権の高官やVOICE OF AMERICAが中国と米国の間でフラフラする韓国に厳しい論調をとるのも、おだてればつけあがる韓国の国民性が周知され、1年半後に迫った韓国大統領選挙に向けて「次はサヨク政権を許さない」という米国の強い意志を示しているのだと云う。次も左翼政権になれば半導体などの産業政策や通貨政策でアメリカは韓国をつぶしにかかるだろうとの両氏の予測であった。あっという間の2時間番組だったが二人の専門家の意見を聞いていると、ただちにディープステート論をすべては信じられないものの、国際社会は我々が想像もつかないようなさまざまな流れが渦巻く権謀術数の世界であることに改めて気付かされるのだ。

2021年2月 6日 (土)

海運業界、思わぬ好決算

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20,000個積み超大型コンテナ船"MOL TREASURE"(商船三井運航)2018年4月 スエズ運河・スエズ港錨地にて

2020年4月-12月期の決算が発表され、武漢ウイルスで航空会社が苦境に陥っているほか、外出自粛が広がり旅行や外食、衣料品への支出が大きく落ち込んでいると報道されている。一方でデジタル関連やゲーム機器、通販や宅配など家庭で消費する項目に関連した業種は業績を伸ばしているそうだ。そんな中で大手外航海運各社の2020年度通期予想が発表になり、近年にない高い利益水準になっているのが目を引く。期初の予想では日本郵船がトントン、商船三井は数百億円の赤字で、総じて業界として先行きが見えないとしていたが、ここへ来て郵船は1,600億円・商船三井が950億円・川崎汽船が500億円の経常利益をあげる予想となった。武漢ウイルス汚染が世界中で拡大していた昨春には誰も予想だにしなかった数字である。原材料やエネルギー関連の輸送が想定したほど悪化しなかったことに加え、何と言ってもコンテナ船部門が未曾有の好況に沸いているのが各社の業績を大きく押し上げた。


青息吐息だった邦船三社(郵船・商船三井・川汽)のコンテナ部門が寄り集まって出来た、ONE(OCEAN NETWORK EXPRESS)は通期利益が25億ドル(約2,600億円)というから大変な好決算である。武漢ウイルスの感染拡大で需要減を予想し、コンテナ船の大規模な欠航やサービス体制の合理化を図っていたところ、昨年夏からの想定以上の世界的な巣ごもり需要によって船腹スペースの供給が追い付かない状況となった。巣ごもり需要といえば家庭で消費する日用品やゲームなどの通信機器が挙げられるが、これらは総じて中国などアジア諸国で作られ北米で消費されるため、アメリカへ向かったコンテナが滞留して戻ってこないことも市況を押し上げる要因となっている。加えて世界的な港湾の混雑、さらにアメリカでは一部の港で湾荷役業者からウイルスのクラスターが出て作業が遅れる事などの事態が混乱に拍車をかけている。


顧みればここ数年、主要航路には20フィート換算のコンテナを10,000個から20,000個も積める超大型船が次々と就航して、貨物スペースの供給を大幅に増やしてきた。2018年の飛鳥Ⅱのワールドクルーズの途中、世界中の港や運河、海峡などで超大型コンテナ船が列をなして航行するさまを見て、船舶の供給過剰でコンテナ船の市況は当分回復しないと思ったものだが、あれから僅か2年でこういう需給タイトな状況になるとは世の中わからないものだ。確かに我が家でもこのウイルス禍で旅行が思うようにできないので、「飛鳥Ⅱ絶景世界旅行」のDVDセットを買ったり、高機能フライパンを買ったりと、普段なら買わない家庭用品を購入している。我が家でさえこうだから家の広いアメリカの家庭なら、もっと気軽に台所用品や家電、ゲーム機器を買おうとするだろうが、個々の家庭の消費がこれほど大きな物流の需要になるとは驚きだ。


しかしこの好況に味をしめて大型の新造コンテナ船を造ったりすると、その後に必ず到来する不況で反動が来て、その部門がお荷物になるのが海運業界の常。私が北米コンテナ船航路の企画・運営をしていた1980年代は中国という市場もなく、日本から北米西岸向けのコンテナ船は800個から1,600個積み、ニューヨーク航路がせいぜい2,000個積みと、今ではアジア域内のフィーダー航路を走る船並みの大きさだった。当時は海運業は万年不況産業などと揶揄されたが、これだけ設備や船舶が大型化された結果、巨額の利益をコンテナ船が生み出すようになるとは、世の変化の激しさ、浮き沈みの大きさに改めて目を瞠る。設備産業の投資とは難しいものだが、逆風の中でもあきらめずに投資をして商売を続ければいつの日にか陽の目をみることもある。いま世界中でクルーズ船の運航がウイルス禍で停止し、米国の大手クルーズ船会社などはキャシュフローがあとどのくらい持つかなどと取りざたされるが、この危機を乗り越えれば必ず浮かぶ瀬もあると、大手海運会社の決算を見て一人思った。


我が家の巣ごもり用品「飛鳥Ⅱ絶景世界旅行」DVDセット
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5,000個積みコンテナ船"NYK DAEDALUS" (日本郵船運航)2007年建造で15年前は大型船とされた 2018年6月 パナマ運河・ガツン湖に
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14,000個積みコンテナ船"MUNCHEN BRIDGE"(川崎汽船運航)2015年建造 2018年5月 スペイン・バレンシアにて
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2021年1月31日 (日)

中国海警法が明日から施行・トランプ氏をけなしバイデン新政権を礼賛している場合か

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茂木外相とバイデン政権のブリンケン国務長官との初電話会談で、またぞろ尖閣諸島は日米安全保障条約の適用内であることが確認されたとの報道が為された。日本はアメリカの大統領が代わると毎度この問題で新政権の保証を求めているが、恒例の報道を聞くたびに、如何にわが国が米国の保護国家であるかがわかって不愉快になる。「大丈夫ですか?本当に尖閣を守ってくれますよね?約束はたがえませんよね、本当ですよね?」と親分が変わるたびに疑心暗鬼となり、強迫観念の如く三下奴が親分の庇護を再確認しているようだ。日本は安全保障に関しては、正に幼児のような国家である。それほど心配であるのなら、少なくとも尖閣防衛に関して中共に対抗できる防衛力を整備し、日本人が断固戦う姿勢を見せることがまず必要であるにも拘わらず、毎度変わらずアメリカを前面に押し出し「アメリカさん、守って下さい」と見える卑屈な政府の態度に呆れてしまう。


いくら日米安保の適用範囲内と米国が言っても、尖閣諸島に日本の施政権があり、ここを実効支配していなければアメリカが助けてくれるかどうかは不明である。アメリカは領有権の論争には関与しないし、対中国強硬策はバイデン政権となってどう変わるかはまったく予断を許さない。おりしも中共は公船の武器使用を認める海警法を改定し、明日よりこれを施行すると云う。対する我が海上保安庁は外国の軍艦や政府公船には武器は使わないと自己規制ルールで縛られているのだから何とも情けない。尖閣の実効支配を内外に示そうと、中国海警やその後ろに控える中国海軍が実際に火器を使用する日も近いことだろうが、そういう事態になり初めて日本人は自衛のために武器を取らねばならないことに気がつくのだろうか。私も2012年に石原都知事が創設した東京都尖閣諸島寄付金に1万円を寄付「尖閣諸島寄付金を払う(2012年5月16日)」したままだが、14億円も集まったこの基金はまだ金庫の中にあるそうだ。尖閣諸島のニュースに触れる度に、この基金の有効利用を願いつつ、アメリカにすがるばかりで手を打たない我が国の安全保障政策に暗澹たる気持ちになる。


案の定、バイデン新政権のサキ大統領報道官が、中国に対して米国は「戦略的忍耐」が必要との見解を表明した。「戦略的忍耐」とはオバマ元政権の対北朝鮮政策のキーワードで、北朝鮮が非核化に向けた具体的な取り組みに動くまで交渉に応じない待ちの姿勢を意味したが、結局これは北朝鮮に核開発を進展させる時間を与えるだけに終わった最悪の愚策であった。中国にズブズブの関係と云われたバイデン氏が率いる政権がいま持ち出す「戦略的忍耐」というワードはいったい何を意味するのか。トランプ氏の対中国に対する一方的な強行策と反対に、早くも対中融和へ進まんとするバイデン政権の弱気の本音がぽろっと出たのではないかとも解釈できる。米国の著名な戦略家ルトワック氏は月刊HANADA3月号「未来の鍵を握る日本の戦略」で、バイデン新政権の気候変動問題の大統領特使になるジョン・ケリー元国務長官は、環境対策の見返りに尖閣をよこせという中国の取引に応じる恐れもあると警告を発している。世界の分断を招いたトランプに対し、融和をはかるバイデンなどと単純に持ち上げる日本メディアだが、この新政権が本当に日本の後ろ盾となり尖閣の安全保障を全うしてくれるのか甚だ疑問だ。日本はいかなる中共の覇権主義と軍拡に、まずは自力で立ち向かう覚悟が必要ではないか。

2021年1月21日 (木)

日本のメディアの軽薄なトランプ叩き

20210121

どうしてしまったのだろう読売新聞は。本来は穏健な中立右派のはずだったのがどうも最近の論調がおかしい。我が菅政権に対しても冷ややかだが、特に気になるのが米・トランプ政権に対する極めて否定的な紙面作りである。先日起こった過激な支持者(と云われる集団)の議会への突入あたりから、特にトランプ批判が強くなったようだが、あの暴力的な集団が本当にトランプ氏の擁護派だったのかはまだ分かっていない。大統領選に僅差で敗れたとはいえ(本当の得票数はいまだに謎のままだが)、わかっているだけでも全米の市民から7000万票もの支持を集めたトランプ氏である。武漢ウイルスが米国内で猖獗を極めなければ、多分彼が大統領選挙に勝利していたとも言われている。こうした中でトランプ降ろしに狂奔したアメリカの多くのマスメディアの尻馬に乗り、一方的にトランプ叩きに乗るような読売の紙面がどうにも浅薄に見える。

 

「トランプ政権・『負の遺産』はあまりにも大きい」とする昨日(1月20日)の読売新聞の社説を読んでみよう。「国際秩序と民主主義は、この4年で深く傷ついた」として、中国に対する「制裁関税による圧力は保護主義の拡散を生んだ」「中国の力の増大を踏まえれば、同盟国と連携して対処するのが筋である。それにもかかわらず…同盟国への極端な防衛負担増要求と海外駐留米軍の削減に動いた」「トランプ氏は世界保健機関(WHO)からの脱退表明などで、国際的な枠組みも否定した」「専門家を軽視し、直言する高官を次々に更迭した独善的なスタイル」「移民への敵意や人種間対立を煽ったトランプ氏」とさんざんである。

 

しかし武漢ウイルスで混乱するまで、トランプ氏の在任中に米国の経済は順調、失業者が減り雇用も拡大してきたのは事実である。また強いアメリカを取り戻すと彼は公言してきたが、結局その在任4年間に米国は世界のどこでも一つも戦争を起こさなかった「最も平和的な大統領」でもあった。中国べったりだったWHO脱退だけでなく、どうにも胡散臭い利権と怪しげな仮説からなる温室ガス排出規制のパリ協定から離脱したことにも拍手を送られて良いだろう。覇権主義をますます露わにする中国に対し、他の政権だったら様々な思惑に縛られなかなか実行が難しかったであろうなか、いとも簡単に次々制裁を繰り出したその手腕は大いに評価されよう。なにより欧州諸国や韓国と異なり、日本と米国の関係は大変良好に保たれてきたことは日本国内でもっと評価されてしかるべきだ。

 

自らの責任を棚上げするかの「国際協調主義」「国連至上主義」などという言い訳に逃げつつ、下らないポリティカル・コレクトネスに各国の指導者が汲々とする中、自らの信じる処に従い米国を再生させる行動をトランプ氏は率先躬行した。幾つかの奇矯な言動があったとしても、こうしてみると彼の業績は云われるほど酷いものではなかっただろう。彼が去ることで誰が一番得をするのか、世界のメディアがなぜそれほどトランプ氏を嫌うのかなどを考えると、巷間流布するディープステート論もあながちトンデモ説の類ではない、と思えてくる。中国べったりと云われたバイデン大統領で、中国の軍備拡大や人権弾圧、不正取引に本当に対抗できるのか。台湾はどうなるか。新政権の副大統領カラマ・ハリスの後ろに控える急進左派がこれから米国政治にどう関わるのか。「分断克服に決意」とメディアがバイデン氏を持ち上げてはしゃぐほど、大きな期待に包まれて2009年にわが国で誕生した、悪夢の民主党政権とこの新政権の末路が重なっていくように私には見えるのである。

2020年12月22日 (火)

アーミテージ・ナイ 第5次報告書

20201216

同盟重視のバイデン政権の誕生がどうやら確実になりそうな情勢の下、リチャード・アーミテージとジョセフ・ナイの二人の米国知日派の名前がまたメディアの紙面を賑わすようになってきた。一昨日(20日)の読売新聞朝刊「地球を読む」にはアーミテージ氏が、これまで安倍政権がアジアと周辺地域の安定に大きく貢献した事を高く評価し、日米同盟に於いて、もはや日本は従属的な立場ではなく「米国の指導者たちは戦略的思考の面でも日本側を頼りにしている」とする論考を寄せている。彼は日米同盟をいま責任の分担や負担の面から捉えるのではなく、これが「神聖な絆」であり「力の共有」であると述べ、「日本は幾つかの分野で先頭に」立っていると共に、日米の新政権が手を携えて多極的な世界の難局に立ち向かうことに期待を寄せている。


アーミテージ氏は元国務副長官で、海軍特殊部隊の一員としてベトナム戦争に参加、いくつもの修羅場と死地を潜り抜け、日本の外国当局と幅広く気脈を通じこれまで日米関係を切り盛りする役割を担ってきた。彼が、これまた日米同盟の重要性を常に発信してきた知日派のジョセフ・ナイ氏(元国務次官補)と共に過去に4回の「アーミテージ・ナイ緊急提言」を発表してきたのは良く知られる通りだ。私もかねてからわが国を取り巻く安全保障の分野で積極的に発言するアーミテージ・ナイ両氏の言動に興味をもっており、このブログでも両氏のレポートについて2010年12月21日「日米同盟 VS 中国・北朝鮮」及び2011年8月26日「アーミテージ・ナイ対談」でアップしてきた。


この12月になり、日米の新政権発足を好機としたのか両氏による最新(第5次)の超党派レポート(The US.-Japan Alliance in 2020・ AN EQUAL ALLIANCE WITH GLOBAL AGENDA)が米国ワシントンDCのCENTER FOR STRATEGIC & INTERNATIONAL STUDIESより出されたので、ボケ防止となまった脳内の活性化のために原文を読んでみることにした。と云っても提言は実質9ページほどで難しい単語もわずか数か所、かつ論理が一貫しているため主な内容を理解するのにさして骨が折れるわけではない。小説などと違って書き手の意図や目的をなるべく直截に読み手に伝えるこのようなレポートなどが、やはり頭の体操には良いなどと思いつつ読み進んだ。


レポートは冒頭で「中国の台頭とアジアの混迷の時代に日米安保がかつてなく重要であり、日米両国は同じ価値を共有する者として協力が必要である」ことが述べられる。さらに安倍政権の卓越した手法で集団的自衛権が認められTPPが発効し、インド太平洋構想が掲げられた事を多とし、菅首相とバイデン大統領はなるべく早い時期に会談を行うことが提言されている。次に地域と台湾問題での最大の脅威は中国であり、日米同盟はこれに対処しなければならないが、同盟国と同陣営はCOMPETITIVE COEXSITENCE(競争的共存?)の枠組みを構築する必要性を説いている(COMPETITIVE COEXSITENCEの部分は具体的な説明なし。競争するなかの共存の意味か?)。北朝鮮の非核化については短期的にはできないと覚悟するものの、抑止と封じ込めは可能で対話のドアを閉ざすべきではないとしている。


また限られた防衛予算のために日米の共同技術開発や同盟内で運用の効率化を図ることが求められるとともに、日本が米・英・豪・カナダ・ニュージーランドの諜報共有ネットワークであるファイブ・アイズに加入し、日米同盟を核としてアジアだけでなく欧州、インド、豪州などと網の目の連携が急務であることをレポートは提言している。このためには在日米駐留経費協定の締結を急ぎ、同盟は「重荷」ではなく「共有する戦略構想実現の手段」と捉えることが必要なのだという。朝鮮半島については、地域の安定のために過去でなく未来志向で米韓同盟の維持や日韓融和の必要性があることをレポートは示しているが、ただ私は、現実に米韓同盟から離脱しようとし、日本に対して過去の精算が終わっていないと理不尽に迫る韓国・文政権にとってこのレポートは「馬の耳に念仏」の類いに映るのではと危惧した。


最後に米国はTPPに参加すべしとした上で、経済技術協力や気候変動問題、5Gネットワークの構築などで、"The US-Japan alliance is positioned to lead in evolving multipower world"(日米同盟は多極化構造が進展する世界をリードする位置にある)と両国の役割に期待し、より対等な日米関係の構築・発展を目指すことを提言している。一読して感じたのは冒頭の読売新聞のアーミテージ氏のコラム通り、過去のアーミテージ・ナイ提言より一歩踏み込んで日本の立場をより持ち上げ、わが国のリーダーシップを今まで以上に期待していることだった。トランプ‐安倍の個人的な親密さをベースにした日米関係から、バイデン‐菅政権による同盟重視の関係へ変わる一方で、世界の警察ではいられない米国と中国の軍事大国化という現実を踏まえた提言であろう。しかし翻ってわが国の政治を見ると、国会では桜や学術会議で延々と無駄な時間を費やし、安全保障はおろか武漢ウイルス問題でも政府の施策を批難する一方で何ら現実的な対案を提示できない野党の存在がある。中共の覇権主義が世界を混沌に陥れようとする今、この提言に沿ったような戦略的な論戦を国会で聞きたいところだ。

 

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