カテゴリー「文化・芸術」の記事

2018年2月 7日 (水)

すみだ北斎美術館

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北斎とお栄

先日はドライブがてら両国のすみだ北斎美術館に行ってみた。靖国通りも都心を抜け両国橋を渡ると京葉道路と名前が変わり、周辺の道路はマス目のように直角に交差し合って雰囲気も変わってくる。この辺りは昔から何度も大火やら震災やら空襲などの被害を受け、その度に町が再建された結果このような広々とした街並みになったのだろう。そんななか、両国駅からほど近い総武線の線路近くに真新しい「すみだ北斎美術館」がある。駐車場はないようなので、とりあえずクルマは駅前にある江戸東京博物館近くの駐車場に駐める事にする。


1760年生まれの北斎は90歳という当時としては異例の長寿で、その生涯のほとんどをこの近辺で過ごしたとされる。地域の誇りのその北斎を顕彰するとともに、近辺の活性化のために一年ほど前に、ここに美術館が作られたそうだ。まだ打ったコンクリートも新しい美術館を訪れた日は、常設展のほかに「しりあがり寿」という漫画家による北斎の富嶽三十六景をパロディにした企画展が開催されており、西欧人の入場者も多数訪れているのが判る。このようなパロディものをオリジナル(写し)と同時に並べたり、場内の写真撮影が自由だったりと、美術館の建物自体もユニークだが運営方針もかなりフレキシブルなようである。


常設展には名所浮世絵のほかに絵本挿絵や漫画など年齢別に北斎の作品が並んでおり、「錦絵ができるまでの」コーナーでは多色刷りの版画がいかに精緻な工作によってできるのかが判るようになっている。西欧の美術にも多大な影響を与えた北斎は身長180センチの大男で、生活や社交に一切頓着しない芸術家肌の変わり者だったらしい。会場の一角には大女で面妖な顔つきの実娘・お栄の傍らで、北斎が布団をかぶりながら鬼気迫る形相で絵をかいている実物大の模型があって、これがなんともリアルであった。それにしても最近はあちこちに、様々なテーマの博物館ができて、休みの午後などにぶらっと展示を見て普段知らない世界に浸るのも楽しいものだ。

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「凱風快晴(赤富士)」ならぬパロディーの「髭剃り富士」

2016年8月20日 (土)

2度目のルノワール展

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60歳を過ぎた頃から「頭が筋肉で出来ている」などと言われない様に、毎日走る事ばかりでなく少しは文化的な活動にも力を入れようかと思いはじめた。最近習っている社交ダンスしかり、50年ぶりに再開したピアノの練習しかりだが、もう一つ絵が描けたらどんなに素敵だろうかと日頃から夢をみる。まもなく来る退職の後、あり余る時間はスケッチブックを持って公園や郊外に出かけ、ひがな一日風景を写生をしている自分を想像するが、その前に絵を描く事は中学の美術の授業以来だから、どこから手をつけて良いのか皆目わからないのが実際である。


という事で、フランスのオルセー美術館とオランジュリー美術館所蔵のルノワールの絵画など100点あまりが集まったルノワール展が東京の国立近代美術館で開催されているので、先日妻と再び行く事にした。かつて欧米へ旅行しても、美術館という場所が私はどうにも苦手で、入ってもすぐに退屈したものだった。そのため有名な美術館に行ける機会をパスしてしまう事の連続で、妻の顰蹙を大いにかっていたが少しづつ人は変るのだ。文化的な人間への変身、「頭が筋肉で出来て」いない事を証明する為には、美術館に気軽に行く姿も妻に見せねばなるまい。以前にも一度見た印象派のルノワールなら、まあとっつき易いということもある。


金曜日の夕方、仕事を終え六本木の喧騒を脇目に、盛り場からほど近い国立新美術館に久しぶりに赴くと、予想どおりルノワールの絵は筆致が素晴らしく、芸術音痴の私でもそれなりに楽しめる。前回は (前回のブログ) 裸婦像ばかりが眼に残ったが、今回は「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」(上のパネル)や「草原の坂道」など、印象派が得意とする屋外を描いた絵や光の変化に心を奪われた。こうして名作の「実物」を眼前にすると、作者の息吹が伝わって来るような気もしてくる。


それにしても今回、美術館の雰囲気というものは、なかなか快適なものである事にあらためて気がついた。来館する多くの人たちは、概して身なりもそれなりにきちんとしている上、館内では人と人が微妙に”大人”の距離で近過ぎず離れずの感覚だ。盛り場にいる奇抜な格好をした若者もほとんどいないし、親と一緒に来た子供達もよくしつけられている。こういう場所に来て、気持ちよい人たちに混ざって芸術作品を見ていると、何だかこちらも心が洗われたような気分になり、帰り道に六本木でとったビールや餃子も事のほか美味しく感じた。芸術と食欲の秋を一足前に堪能して帰宅したが、こういう週末の過ごし方もなかなか良いと、かつての美術食わず嫌いをちょっと反省したのだった。


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