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2024年10月 7日 (月)

飛鳥Ⅱ 秋の3航海乗船記 (4) 「爽秋の神戸着発、瀬戸内 九州・松山クルーズ」 瀬戸内海 と「秋の神戸・横浜クルーズ」(完)

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今回持参した「クルージングマップ瀬戸内海」をビスタラウンジで広げ、日がな瀬戸内海の航海を楽しむ

「飛鳥Ⅱ」は松山港の岸壁で一泊し、翌朝は瀬戸内海の昼の終日航海に出港した。松山港を出た直後には、エンタメクルーによる「瀬戸内ホッピング」なる航路紹介の催しがハリウッドシアターで開かれ、これからの一日、どのような風景が眼前に広がるか期待を高めてくれた。以前、2021年秋の飛鳥Ⅱ 「秋の瀬戸内航行 土佐クルーズ」乗船の際には、船長の航路解説が少ないのが不満だとここで述べたとおりだが、乗船アンケートにも記したその声が届いたのか 「瀬戸内ホッピング」は航行する瀬戸内海の見どころ、特に通過する橋梁を中心に、やや稚拙ながらもコンパクトにポイントを纏めた好企画だった。


と云っても我々には瀬戸内海は、これまで幾度となく訪れた馴染みの地域である。多くの乗客の興味は因島大橋、本四架橋、明石海峡大橋の通過にあったようだが、それだけでなく、我が国有数の工業地帯であるこの地域の重要性や海上交通の実際などは人々の重大な関心事に違いない。その証拠に船の最前部であるビスタラウンジ前デッキでは、終日かなりの数の乗客が、次々と周囲に展開する造船所や工場の風景を語りあっていた。いつもこの種クルーズ乗船の際には、通過する橋だけでなく瀬戸内各地に点在する寺社仏閣、村上水軍などの存在、北前船の寄港地、いかなご漁の実際や工業コンビナートの活動など、この海にまつわる多彩な歴史・地誌をもっと詳しく案内するサービスがあったら良いのにと思っている。この点で印象深いのは2022年5月「にっぽん丸の『門司発着 海の京都 舞鶴と佐渡島プレミアムクルーズ』」で経験した、クルーズディレクターによる詳細な沿岸の説明であった。クルーズは大人の校外学習の場でもある。今後「飛鳥Ⅱ」も「にっぽん丸」のような解説サービスを是非検討してもらいたい。


さてクルーズと云えばダンスとなる。西洋かぶれとのそしりは受けようとも、ふだん陸上では味わえない非日常を船上で楽しむのもクルーズの愉しみである。今回のような短いクルーズでも、人気の「社交ダンス教室」は午前と午後2回、毎日のように開かれたが、いつも女性の参加者が多く男性が少ないのが悩みの種。ということで「社交ダンス教室」には、妻を差し置き、先生のお手伝いも兼ね、私一人で参加する日が多かった。自分としては初心に返り、ステップ再確認の気持ちもある。そしてクルーズ中の晩は食後の運動も兼ね、妻と二人でほぼ毎日ダンス会場に繰り出した。


船上ではCDと違い生演奏、それもバンドによって演奏の時間や音楽の種類、テンポなどが異なっており、それがダンス上達のためには役立つ気がする。他のカップルたちの間を縫って踊るのも、レッスンだけでは味わえない試練である。かつてはよそのご婦人と組んだり、女性の先生と踊ったりするのが気恥ずかしくてなかなか出来なかったのだが、苦節ウン年、最近はようやく他人と踊る度胸もついてきた。妻と組むと、本当はルール違反の「ここでキック」「あの回るヤツ」など「言葉のリード」でごまかすこともあるのだが、知らない女性とはそうはいかず、分かり易くリードするコツも学ばねばならない。それにしてもサンバなど人があまり参加しない種目で、他人の視線を浴びるのが誇らしげに感じるとは、いったい何という我が心境の変化だろうか。かつては 「あんなもの誰がやるものか!」と嘘ぶいていた社交ダンスだが、人は変われば変わるもので、これもクルーズの成果の一つである。


3航海連続乗船の最後は、神戸発横浜着2泊の片道クルーズであった。予想どおりクラブツーリズムなど旅行社主催による”豪華客船と箱根宿泊プラン”のような片道グループ客が多数乗船した他、60名と30名の大口団体客も乗り合わせることになった。この航海も800名ほどの船客のうち、80%以上が初乗船との事である。セイルアウエイでデッキ上にてバンド(ナマナ)の前で定番のお約束のダンスを好き者有志で踊っていると、今回も例によって動物園で珍しいものでも見るかのように遠巻きにスマホを多数向けられた。初乗船客が多い時は 「一緒にやりましょうよ」と彼らに呼びかけてもなかなか輪に加わってくれず、スマホの被写体になるばかりなのだが、旅の恥はかき捨てとあって、楽しんでナンボ、金を払った分は自ら大いに踊ってエンジョイしなければ損である。


その60名の団体は、美容師の組合だそうで若い人たちが多く、2回目の夕食ではフォーシーズンダイニングの中央部を陣取り、夜おそくまでアルコールの注文がひっきりなしと云う盛りあがりであった。「飛鳥Ⅱ」というよりは「伊東のハトヤ」か「熱海の後楽園」の宴会場か、というノリで 「うるさくて閉口した」という友人もいたが、私はこういう盛り上がりもたまには良いものだと賑わいを楽しんでいた。飛鳥クルーズも来年には飛鳥Ⅲが就航し、飛鳥Ⅱと2隻体制になる。2隻でどのような違いを打ち出し集客を展開するのか、佐伯の体験型ツアーやこの美容師団体の乗船など、船側の様々な試みを垣間見た3航海連続乗船の旅であった。

橋の下をくぐるだけでなく点在する造船所などを見るのも瀬戸内航行の楽しみ・今治造船広島工場(旧幸陽ドック)
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「秋の横浜・神戸クルーズ」で飛鳥Ⅱの神戸港出港をアシストしたのは2014年「働くタグボートの世界:神戸”布引丸”」で乗船した布引丸だったのは奇遇
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