健康診断・右脚ブロック
健康診断の心電図検査で「 要精密検査」と言われ、心臓内科で診察を受けてきた。心電図と云えば、もう十年以上も前から「 完全右脚ブロック」との結果で、いつも「 経過観察」と言われてきたが、今度は一段階深刻な「 要精密検査」とのことで、おそるおそる、これまで泌尿器系でかかりつけで、健診もここで受けた総合病院に行くことにした。それにしても毎日のようにジョギングや水泳などの運動を続けているし、70歳台と謂えども走ることに関しては、そんじょそこらの若造には負けないと自負している身である。心臓こそは”絶好調”と感じているのに、一体「 要精密検査」とは何のことだろう。「まあ、大したことはあるまい」と思っていても、健診結果が届いてから診察までの一か月の間は、「 ひょっとしたら、最後の健診からの1年半の間に心臓に自覚できない大きな変化があったのだろうか?」という心配が頭をもたげてくる。妻は「そばで見ている限り、絶対大丈夫よ。きっと70歳台になったので注意喚起の意味があるんじゃない?」と心配性の私の憂いを一蹴するように涼しい顔をしている。
老人医療で近頃話題になっている和田秀樹医師によれば、 健康診断と健康状態のリンクを長期に亘って大規模に調査した研究はなく、これを受ければ寿命が伸びると云うエビデンスはないと常々表明している。さらに彼は、健診結果に一喜一憂するより、日々の体調がよければそれが良しとして、健康診断などはおやめなさいと呼び掛けている。世界広しと謂えども、健康診断を定期的に実施しているのは日本だけなのだそうだ。この中の「正常値」とは、健康と考えられるすべての人の平均値をはさんだ95%を「健康」としているだけであって、ここには老化現象や個人的な相違は加味されていない。例えば老人になれば血圧が上がるのは一般的で、以前は最高血圧は年齢プラス90まではOKだったものが、今は一律で139以上が「高血圧症」としてすべからく「異常」にカテゴライズされてしまう。元気な盛りの30歳台も70以上も同じ閾値という方が、逆に「異常」だと普通は考えるのだが、健康診断の意味はそうではないらしい。今回は心臓の思わぬ「 要精密検査」だったが、これを完全無視して自分の”絶好調”を信じるかと云うと、それもできぬのが気の小さい我が悲しさ。健康診断など受けなければ良かったのかな、と揺れる心を抱えつつ暑いさ中の受診である。
緊張しつつ心臓内科の40歳台とも見える女性医師の前に座れば、彼女は以前の心電図や心臓エコー検査の画像を見ながら首をひねっている。「 右脚ブロックとは、心臓の右側に行く電気信号が遅れ気味のことを謂うのだが、前回と比べて特に顕著な相違はないのに、何で健診の判定が 『 経過観察』 → 『 要精密検査』」になったのかなぁ?」と医師は呟く。「 心電図の折れ線は以前よりわずかに変化してるので、こういう判定になったようだが、まあ大したことはないので、念のために血圧を家で測りながら、一か月後に心臓のエコーを撮ることにしましょう 」との診断で取り敢えず無罪放免である。ホッと安堵しつつ病院からの帰りすがり、すっかり肩の力も抜け、和田医師の「 病気探しで心配するだけだから健康診断なんかお辞めなさい」との話が頭に浮かんでくる。この一か月間の杞憂のほうが健康には良くなかったと思うと、彼の考えに共感を覚える一方で、6年前に手術した膀胱ガンや、4年前の前立腺癌は人間ドックで見つかったので、早期に発見でき除去して良かったと思うのも事実である。帰宅して妻に報告すると 「ほーら、やっぱり私が言ったとおりじゃない」と笑っていたが、やはり健康診断を完全に止めるわけにもいかず、受診すればしたで、加齢とともに要観察やら再検査が増え心配の種が増えるとあって、凡夫の悩みは尽きない。
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