「読書ばなれ」だそうだが・・・・
文化庁が17日に発表した世論調査では、漫画や雑誌を除く本を、一か月に一冊も読まない人が、6割を超えたことがわかった。前回2018年度の調査では、これが47.3%だったそうだから、数年の間に本を読まない人間の数が急激に増加したことになる。読書離れは全世代に亘って共通で、原因は案の定、スマホなどの情報機器で時間をとられるためとあって、今日付の読売新聞の社説も「読書週間の喪失は危機的だ」とこの風潮に警告を鳴らしている。スマホの使用と云えば、私にとっては道に迷った際に「マップ」のアプリを開くか、たまに写真を撮るくらいで、ラインもあまりしないし、ふだんは電話以外にまず使う必要もないのだが、電車に乗ると10人中8~9人がスマホの画面を喰いいるように見ている光景が眼前に広がる。車内で新聞を広げている人はほぼいなくなり、書籍の活字を追う乗客もごく少ないから、この調査結果もむべなるかなと理解に難くない。
みな一体何の緊急性があってスマホを凝視しているのかと、電車で隣人の画面を覗けば、多くが映画やアニメの動画やらゲームをしているようである。毎朝、通勤電車で日経新聞に目を通してから会社に行くことが、”マスト”だった我々の世代からすれば、スマホの断片的なニュースだけで政治・経済について深読みできるのか大いに疑問を持つのだが、それにもまして、立派な働き盛りの大人が朝から”ゲーム”とは、思わず 「 世の中大丈夫かい?」と嘆きたくなる。別に本を読んだから偉いと云うつもりはないが、ネットの極めて単純化された情報でしか社会との繋がりが持たない人々が世の中の大半だとすれば、様々な問題に関して、マス・メディアが推すようなポピュリズムが批判もなく受け入れられる世情も仕方ないと思えるのである。
では自分は一体どの位の本を読んでいるのか。実は義理の妹が大変な読書家で、最近は一か月に10冊ほどの読み終わった文庫本を彼女から貰っている。推理小説や時代もの、本屋大賞を受賞した小説のほか、科学史など広いジャンルの文庫本である。彼女は外資系金融機関に勤めるバリバリのキャリアーウーマンで、公私とも忙しいのに一体いつこれだけの本を読めるのか不思議なほどだ。周囲に読書家がいると、こちらの読書欲も刺激される。小説系についての好奇心は充足されているので、自分自身で買うのは "WILL" などの保守系雑誌の他、政治、経済系の新書本がほとんど。ただ年齢とともに脳内の保守化が進み、『右』系の読書が多くなるのを自覚しているため、3冊に1冊くらいは意識的にサヨク・リベラル界隈の主張にも触れようと努力している。「 彼を知り己を知れば百戦殆からず」で、我が本棚を見れば、最近読んだ新書に、内田樹、山口二郎、白井聰、望月衣塑子などの香ばしい「お花畑」系の著書も並ぶ。テレビやネットで見る限り、これら左派論客の主張はバカ丸出しだと思うのだが、一つ一つの本を読めば、彼らも本当は物事の本質を踏まえており、ふだんは敢えて知的レベルを下げてリベラル層を喜ばせているように見える。やっぱり本を手に取ると、テレビやネットだけでは測り知れない彼らの側面が存外分かって面白いものである。読書しましょう。
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