パリオリンピックの日本選手団の活躍
いろいろと物議を醸す点もあったが、パリオリンピックが無事に終了した。日本選手団は金メダルを20個獲得しアメリカ・中国に次いで第3位、銀・銅含む総メダルの獲得数は合計45個で、米・中・英・仏・豪に次いで第6位と大健闘であった。日本の得た金メダルの数は海外で開かれたオリンピックでは最多との事で、今大会はロシアが出場していなかったことが我が国のメダル数を押し上げた可能性があるが、それにしても立派なものである。注目したいのは、体操・柔道・レスリングなど従来から強かった種目だけでなく、フェンシング・近代五種・馬術・セーリングなど、これまで欧米人が得意と思われてきた種目でも日本が活躍したことだ。スケートボードやブレイキン等はオリンピックの種目としてはどうかと思うが、それら新しい競技でも日本人が金メダルを取って大活躍したことを含めると、我が国ではスポーツの裾野が大いに広がっているだけでなく、スポーツを取り巻く環境が成熟していることを感じる。
野球やサッカーなどプロで興行が成り立つ種目ではなく、古くからある軍隊に起源をもつスポーツや、街の遊びから発展してきた新しい種目に多くの人材を輩出できるのは、我が国の治安や世情が安定しており、これらの競技を支えるインフラや経済的な基盤が整っているからだと云える。そう考えると金メダルの数で世界第3位の位置を占めたという結果は、若者の人口が減ったとは言え、日本は衰退していないと云えるのではないか。為替の円安や人口の高齢化もあり、GDPではドイツに抜かれて世界4位になり、この先はますます国力が落ちるとする悲観論で世論は喧しいが、私の感触では移民問題に苦しむ欧米諸国を引き離して、ますます日本は良い国になっている。幾度もここで指摘した通り、国内旅行をすると「さびれた北国の寒村」などという風景は今やほとんど見られず、どこへ行っても総じて住宅はモダンになり、田畑には高価な農機が走って漁港は立派に整備されている。駅のトイレにウォシュレットがあるような国は世界のどこにもないし、落とした財布が戻ってくるのは日本だけである。日ごろ聞く、日本はこのまま駄目になっていくかのような論調は大いに疑問に思っている。
オリンピック期間中、日銀の植田総裁の金利の引き上げ宣言と、たまたま予想を下回ったことを示す米国の景気統計の発表が重なり、我が国では株が暴落すると共に急速に円高が進んだ。7月初めの約160円から一時は140円近辺まで、円の価値は10%以上上昇したことになる。これまで日本下げが得意だった一部評論家や経済学者は、日本経済の衰退が円安を招いたと常々政策を批判していた。特に「アベガー、」と罵りながらアベノミクスを貶めたい一派は、株の高騰には目をつむり、円安が日本弱体化の象徴と喧伝してきたのだが、この1ケ月で国力がみるみる回復したとでも言うのだろうか。日本の衰退の証として一番に挙げられた為替水準は、主に日米の金利差と、それに伴う金融市場のテクニカルな資金運用によるものであり、状況によってはいかようにも変化し、国力なぞを正しく反映するものではないことが、今回改めて明らかになった。これら世間に流布する我が国をディスりたい勢力による日本衰退論に与(くみ)するのでなく、今後のやり方次第では、少子化社会と云えどもスポーツと同じく日本経済はまだまだ元気に伸びる余地があるのではないか。そんな期待を大いに抱かせる、我が国オリンピック代表団の活躍ぶりであった。
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