LGBT法に女性たちの反論
最寄のJR駅前をジョギングしていたら、みどり色の恐竜の着ぐるみをマスコットにした数名の女性たちがなにやらビラを配っている。どうせまた「差別」やら「人権問題」がどうたらと訴える鬱陶しい団体かと眉をひそめて通り過ぎようとしたら何やら様子が違う。どうやら「女性の権利を守ろう」と声を大にして訴える女性たちのようで、近頃のLGBT法制定などの動きに反対しているらしい。それならばビラを受け取ろうかと足を止め「大いにがんばれよ」と声をかけると、「え、私たちの運動にご理解いただけるのですか」「ああ、本当にありがとうございます」「今日初めての声援でとても嬉しいです」などと口々に丁寧な礼が返ってくるので却ってこちらが恐縮してしまった。ジョギングを終えて家でビラをよく読むと「女性の定義を守る会」とあり、この団体は「性別の定義は生物学的な分類のみ」との本来なら当たり前かつ極めてシンプルな主張を展開しているようだ。彼女らのバックグランウドは一切不明だが、昨今のポリコレに対する真っ当な反論のようで、もし私の声援が少しでも力になれば嬉しいと思っていた。
もらったビラには "STOP ! 性別記載変更(特例法)"とあり、性別変更の手術要件をめぐり特例法の規定は憲法違反だと最高裁が先ごろ下した判決に異を唱えている。要は「心は女」の男性が「自分は女性だ」と言い張るには、従来は男性器を除去することが必須要件だったのが、必ずしもそれを必要ではないとする最高裁の判断に彼女たちは反対しているらしい。ビラの文面には「女性が生きるためには、男女の区分が必要です」とあまりにも当然のことが訴えられているのだが、今年のLGBT法制定や最高裁のおかしな判断によって狂い始めた風潮に歯止めをかけようと女性たちが声を挙げ始めたことが分かる。彼女らはアメリカで今話題の『あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇』(アビゲイル・シュライアー著)がリベラル(と呼ばれるサヨク)の反対で我が国では刊行中止になったことにも抗議しており、左巻きの連中によって出版の自由や表現の自由が侵害されることに憤慨している私はこの点も賛同するところだ。
この11月に三重県桑名市の温泉施設で、女性の脱衣所に7時間も隠れている男が見つかり警察に捕まる事件があったそうだ。この男は「心は女なのになぜ女風呂に入ってはいけないのか」と居直ったとされるが、心がオンナならさっさと風呂に入って出るだろうに、7時間も脱衣所で粘るのは、どう考えてもただの変態男であろう。しかしこの男性を起訴するかどうかは、警察も大いに逡巡したらしい。チンチンが付いていても、心がオンナならば女性でよいとする最高裁判決や、「自認する性を優先」することを促がすかのLGBT法の影響が捜査現場の困惑の背景にあることは間違いない。同法案を推進した自民党の稲田朋美議員は「女性風呂に男性が入ることはないと厚労省が言っています」と強弁し、厚労省から今年7月に身体的特徴で男女を判断し混浴をさせない旨の「通知」が浴場に向けて出されているものの、法制化以降、実際は変態男たちの居直りに現場で警察が混乱しているのである。このまま進めば、次は通勤時間帯の女性専用車両に「心が女」の男が乗車して騒動になる事態が多発することだろう。
「LGBT理解増進法」第二条には「ジェンダーアイデンティティとは自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無または程度に関わる認識を云う」と意味不明の文言が並んだうえ、最高裁の判断などを合わせると「自認する性を優先」するポリコレがリベラル・サヨク界隈がすすめる流れであることは明白である。一方で昭和二十三年に制定された公衆浴場法では第三条で「営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない」とされ、さらに公衆浴場における衛生等管理要領 II 施設設備 3脱衣室(1)は「男女を区別し、その境界には隔壁を設けて、相互に、かつ、屋外から見通しのできない構造であること」が定められている。変態男を排除し女性の安全を守るために「女性の定義を守る会」をはじめ幾つかの女性団体が活動をし始めたわけだが、LGBT(特にT)の主張を後押しする左巻き勢力は、自分たちの「自認する性が優先」思想と、既存の法律や世間の常識・規範との間でどう折り合いをつけていくつもりだろうか。ごく一部の特殊な性癖の人たちを専らおもんばかるばかりに、圧倒的多数のフツーの女性や子供の安全をないがしろにするかの社会はやはり異常である。蛇足ながら、LGBT法を党議拘束までかけて制定させた自民党が、いまパーティ券のキックバック問題で窮地に立っているを見るにつけ、同法の法制化で自民党を見限った多くの岩盤保守層が「天罰が下った」と密かに笑っていることを明記したい。
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