飛鳥Ⅱ「秋の日本一周クルーズ」その他
クルーズ船に乗る時、通常我々夫婦は左舷側のキャビンをリクエストする。海上交通は万国共通の右側通行なので、狭い海峡などでは船の左側にいた方が、反航する諸船舶を間近に見られるからだ。左舷と云えば、今回の様に反時計周りに日本一周する際には、常に陸上を左側に見るために、ネットや携帯の電波が通じ易く便利だというメリットもあった。飛鳥ⅡのWi-Fiによるインターネット接続は、利用した9デッキ(Dバルコニー)乗船客では、一人当たり一日10回X30分まで無料で利用できる。しかしながら船上のことゆえ、人工衛星経由ではやはり陸上の環境と同じように接続がサクサクとは進まない。ところが今回は岸からけっこう離れていても左舷ではドコモなどの電波を拾うことができて、インターネットへの接続や通信には反対舷にいるよりストレスがないことを経験した。
毎日、夫婦で自宅でも旅先でも行っているジョギングに関して、今回のクルーズ中のジョギングで走った距離を集計をしてみる。乗船翌日(終日航海日):飛鳥Ⅱデッキ23周10キロ、3日目仙台新港:船から多賀城のアウトレットまで往復7キロ、4日目八戸:船から八戸食品センターまで片道9キロ(帰りは本船のシャトルバス利用)、5日目函館:船から函館山山頂往復13キロ、6日目(終日航海日)飛鳥Ⅱデッキ24周10キロ、7日目(西)舞鶴:東舞鶴の赤レンガ倉庫から妻の祖父母の墓参りで7キロ(赤レンガ倉庫までは往復シャトルバス利用)、8日目境港:船からJR境港駅まで片道6.5キロ(帰りはシャトルバス利用)、9日目(終日航海日)飛鳥Ⅱデッキ23周10キロ、10日目岩国:船から錦帯橋まで片道8.5キロ(帰りはシャトルバス利用)11日目細島:船から細島(旧)地域など12キロ(帰りはJR日向市駅よりシャトルバス利用)、12日目(終日航海日)飛鳥Ⅱデッキ23周10キロ。正味11日間で合計103キロで、本船のデッキ上と寄港地でシャトルバスを組み合わせて結構な距離を走ったのであった。
こうしてみると、我々にとって終日航海日における船上で行うジョギングも、クルーズの重要な要素であることがわかる。1周400米以上、それも足に優しいチーク材張りの全通デッキを装備するのは、世界にあまたクルーズ船ありと云えども、”飛鳥Ⅱ”と姉妹船だった”クリスタルシンフォニー”の2隻くらいにしかないだろう。これがクルーズと云えば我々が”飛鳥Ⅱ”を選ぶ大きな理由の一つである。またクルーズ中にジョギングで上陸地を廻るのもクルーズの愉しみで、自分の足で街をゆったり走ると様々な発見があるものだ。今回は海上自衛隊の八戸航空基地でタッチアンドゴーを擦り返すP3C(オライオン)の迫力の雄姿を直下から何度も見たし、舞鶴では江戸時代から続く地元の老舗和菓子店「勇貫堂」で名物の栗饅頭を買う事ができた。西岩国駅の由緒ある駅舎を見学し、細島で足の赴くまま走ってみたら江戸時代~維新にかけて栄えた旧家や国鉄の廃線跡などに行き当たった。
いわゆる観光地でなくとも船が連れて行ってくれる寄港地には、教科書には載っていなかった歴史や地理がある。地元ガイドの説明を聞きながらの観光バスツアーは勉強になって良いのだが、自分たちの足と船主催のツアーを適宜組み合わせるとより一層寄港地への理解が深まる気がする。また日本のクルーズ船は、寄港地のスーパーやコンビニで買ったビールや地元ブルワリーの地ビールを船に持ち込んでも、自分のキャビンで飲む限りそれを制限されたり余計なカネを払わされたりすることはない。地元への少しばかりの貢献とばかりジョギング中にビールとツマミを買ってザックに詰め込んで帰船し、夕方に出港したら露天風呂にゆっくり浸かり、先ほどゲットした地ビールやらツマミをキャビンで賞味しつつ海原に沈む夕日や船の造る引き波を眺める。酔いが回るにつれクルーズに来て本当に良かったといつも思うのである。(完)
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