飛鳥Ⅱ 2024年世界一周クルーズ 乗船キャンセル
これまでも何度かここに書いてきたが、予約していた飛鳥Ⅱ2024年世界一周クルーズを正式にキャンセルすることを決め、この度旅行会社にその旨通知した。乗船予定だった2020年の世界一周クルーズがコロナ感染騒動で中止になり、翌年の新たな旅程が発表されては中止を繰り返すこと3度。やっと2024年には新スケジュールでの世界一周クルーズが再開される運びとなりそうだが、これに乗船するためには既に支払っていた料金にかなりの追加を払うことが必要だったので、支払い期日を目前にして最終的に断ることにしたものだ。2020年の予約に際して支払った旅行代金は、この4年以上、旅行会社と郵船クルーズ(飛鳥Ⅱの運航会社)間を行き来していたはずで、今回これが返金されてくるわけである。我々のクルーズを取り次いでくれる旅行社は業界NO.1の大手だし、郵船クルーズは日本郵船の子会社なので「てるみくらぶ」のように預けた金が毀損される心配はなかったのが、この間の救いではある。
2024年の世界一周クルーズに参加すれば、2018年のそれに乗船して以来となる。飛鳥Ⅱが現役のうちにもう一度世界を巡りたいという思いだったにも関わらず、今回なぜこれをキャンセルすることにしたのか? まず第1点は、2024年の世界一周クルーズ代金の大幅な値上げである。当初予約の2020年に乗船するために我々が支払った金額は、利用予定のDバルコニーが一人¥6,375,000-(早期全額支払割引)であった。このクルーズが中止となり、代わりに都度翌年の新旅程が発表されては実施されなくなる事を繰り返したが、その中止となった2021年は¥6,700,000-(同)、22年・23年は¥7,000,000-(同)。ところが散々待たされた挙句やっと実現しそうな2024年は、同じ客室がなんと¥8,500,000-(同)と前年比一挙に20%以上の値上げとなったのだから驚きである。最初に中止になった2020年から較べると33%のアップとなり、さすがにクルーズ仲間たちからも「飛鳥高くなったねえ」との声が多い。コロナ明けの欧米諸国ではちょっとしたホテルの宿泊費が6~7万円もする高騰ぶりだし、何より円安で通貨価値が下がっているのはわかるが、それにしても4回も催行中止を食らった乗客側には何の落ち度もないのに、追加料金を数百万円支払わねば乗せぬ、とはなんという強気なのだろう。
さらに2020年から2023年までの航程は最短で103日、最長107日で地球を回るものだったのに対し、2024年はこれが僅か100日間に短縮されている。そのため一泊当たりの単価はD:バルコニーで一人当たり6万円台だったものが8万5000円となるが、さすがにこの料金は設備やサービスを考えても"高過ぎる"と言わざるをえない。寄港地を見れば、2023年までの予定では29港~31港(スエズ・パナマ両運河やフィヨルド通航を含む)に対して、2024年は僅か22港(同)と大幅に少ない上、これまで幾つかの港で実施されてきた、美術館や名所への船社主催の招待イベントも来年はない(因みに2020年はフロリダのケネディ宇宙センターへの招待ツアー、2021年はヴェルサイユ宮殿での特別ディナーが料金に含まれていた)。寄港地そのものも従前とあまり変わり映えのしない場所である。さらに次回は乗船代金のほかに、原油価格の動向次第では乗客から燃油サーチャージまで徴収するという。すなわち2024年は大幅な値上げの上に、サービスの低下が見込まれるため、最終的に世界一周クルーズをキャンセルすることにした次第である。
世界のクルーズ船は寄港先によっては渡航制限が残っていた2023年初頭からワールドクルーズを再開していたが、飛鳥Ⅱが2023年4月の世界一周を中止する発表をしたのは前年の12月で、その際は世界の中で日本だけが大騒ぎだったコロナ感染余波を考慮した事に加えて、ウクライナ情勢が不明なことも理由に挙げられていた。しかし、その後2023年2月の飛鳥Ⅱオセアニアグランドクルーズが出港間際にエンジンの不具合で突然取り止めになった事から考えれば、結果から見ると同年4月に出る本船の世界一周クルーズはコロナやウクライナ情勢が無くとも予定通りにはできなかったのではないかとの疑問が残る(この不調のエンジンはこの後本年11月のドックで換装されるとのこと)。これら事情もろもろ考えると、心情的には郵船クルーズには少なくとも2023年の料金を適用して欲しかった。さて戻ってくる代金で、来年は念願のヨーロッパのリバークルーズでも行こうかと考える週末である。お楽しみはこれからだ!!
« VIVANT第7話 乃木の裏切り | トップページ | 米国年金を受給 (米Social Security) »
「船・船旅」カテゴリの記事
- 飛鳥Ⅱ 2025年 世界一周クルーズ 乗船説明会に参加して(2024.09.07)
- 飛鳥Ⅱ 2025年 世界一周クルーズ 乗船説明会(2024.09.01)
- クイーンビートル 運航停止(2024.08.20)
- ディズニークルーズ日本に上陸(2024.07.10)
- 飛鳥Ⅱ 2025年世界一周クルーズ 急遽発売(2024.05.27)
世界一周クールズ断念の決断のご気持ち船旅が好きの私もご察し申し上げます。
ところで、先日日経IRフェアにて商船三井の2027年新客船(500億円)は国産ではないようなニュアンスの返答を受けました。
私はこの答に情けなく、がっかりしました。(但し商船三井の正式発表ではありません。 )
30年以上使い続けるクルーズ客船を船価安いのかどんな「経営判断」かは知りませんが、欧州の造船所よりも
たとえ高いコスト、納期がかかったとしても安全性、メンテナス面、主要装備品調達面で
日本の造船所で強固堅牢な船を建造すべきと思うのは老人の戯言でしょうかね。
投稿: にっぽん丸 | 2023年9月 7日 (木) 17時18分
にっぽん丸さん
お久しぶりです。
コメントありがとうございました。
商船三井クルーズの35,000トン級新造クルーズ船(2隻)は2027年に引き渡しですので、そろそろ造船所も決定し、発注内示書(LOI=LETTER OF INTENT)を交わす時期かと思っていました。為替も円安基調とあって国内の造船所で建造して欲しいと思いますが、フェアでそのようなニュアンスの返答があったとのこと。とても残念です。
それにしても初代飛鳥、飛鳥Ⅱ、にっぽん丸などを建造した三菱重工業は最近一体どうしたのでしょうか? 独アイーダクルーズ向け2隻の大幅赤字、MRJETの開発断念、ロケット打ち上げ失敗と最近まったく冴えません。先日、高校の同窓会で、成功したホンダJETの開発を主導した友人とたまたま立ち話しをしたところ「MRJは粘りがたりない、やり方がまずい」との趣旨の事を言っていました。アイーダ向けも最近のクルーズ船の特徴であるIT関連を詰めずに契約し、発注元の要求をすべて呑まざるをえなくなったことが工事遅延、大幅赤字の原因のようです。商船三井むけ新造クルーズ船を受注すれば、ちょうど良いキャッチアップの機会だと思うのですが。
最近の上場大会社は黒字経営やらコンプライアンス重視で「エイヤ!」とばかりBREAK THROUGHを試みるようなトップがおらず、任期中は株主の顔色をうかがい安全運転に徹したサラリーマン経営者ばかりになりました。今治造船のようなオーナー会社と海外のデザイナーが組んで、これからのクルーズ船建造を国内で手掛けて欲しいところです。
投稿: バルクキャリアー(ブログ主) | 2023年9月 7日 (木) 21時05分