東京六大学野球秋季リーグ戦 慶応義塾大学 vs 法政大学
昨日は東京六大学野球・秋のリーグ戦、法政大学 対 慶応義塾大学、早稲田大学 対 明治大学の各第2回戦を明治神宮野球場にて観戦。暑かった夏も終わり神宮外苑を吹き抜ける秋風も心地よく、観客席の上をトンボが飛んでいることに気づく候になった。3年半に及んだあの馬鹿げたコロナ感染騒動も収まり、今春からようやく応援団と観客、学生が一体で大きな声で校歌、応援歌を歌えるようになったのは喜ばしい限りだ。昨日は第一試合の慶法戦に続いて、『勝っても負けても応援が多い』と伝統的に云われる早明戦が第二試合に控えているとあって、神宮球場は1万人の観客でにぎわっていた。と言っても私が学生の頃なら、この2カードなら2万人は入っていたから、大学野球の注目度も随分と落ちたものである。まあ、あの時代には見るスポーツと云えば野球ぐらいしかなかったから、今のこの人気凋落もやむを得ないところだろう。
なぜだか、この日はいつもの内野席ではなく外野席に入りたくなり、右中間の椅子席に陣取ることにした。東京六大学野球も内野席券を買ってネット裏に座ると、周囲に野球部OBなどの関係者が多くなり、時には各校の内輪話や有力選手の去就のほか、プロ野球の裏話などが耳に入ってくることがある。プロで活躍したかつての名選手のほか、現役選手の父兄、友人なども観戦に訪れているためかネット裏には独特の雰囲気が漂っていると感じることも多いが、外野席の方はビール片手に日がな一日、のんびりと母校を応援する普通のおっさんファンが多い。もう一つ、外野席の特徴は、各校応援団の声援を正面から受けるため、なつかしい各校の校歌や応援歌の声援が内野席より良く聞こえる点にある。60年以上、春と秋のシーズンには東京六大学野球のリーグ戦を観戦してきたから、母校の勝敗はさておき、私にとって季節のうつろいを最も実感する場所の一つが神宮球場である。
伝統に裏打ちされた、東京六大学野球の各種儀式ではあるが、昔はやらなかったが新しい「お作法」に気づくことも多い。試合前に選手・監督や野球部長が整列して観客席や応援団に向けて挨拶をするようになったのはいつの頃からだろうか。昨日はエール交換の後に行われる第一応援歌(慶応なら『若き血』、早稲田の『紺碧の空』、法政の『若き日の誇り』、明治『紫紺の歌』など)の交換の際、対戦校の応援歌に合わせて相手の応援席からも手拍子を送ることになったのを初めて見て驚いた。コロナ感染で応援禁止になった後から始められた新しい応援ルーティンだろうが、これはいつものように内野席で見ていたら分からなかったものだ。東京六大学野球はリーグ戦の形式を採った入れ替え無しの「対校戦」である。各校の勢力や選手の力は時に応じて変われども、お互い尊敬しあう固定された相手による「お約束の伝統美」を見ていると、何か清々しい気持ちになる。
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