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2023年8月28日 (月)

VIVANT第7話 乃木の裏切り

20230828
バルカへの機中、乃木は野崎に謎の言葉をかける

なんと云う話の進み方であろうか。昨日の"VIVANT"第7話では、バルカ国のテロ組織テントとの接触に成功した自衛隊別班(VIVANT)の乃木(堺正人)が、仲間全員に銃口を向けるという展開となった。実の父であるテントのボス、ノゴーンベキ(役所広司)になんとしても近づきたい乃木が、組織や仲間を裏切る大どんでん返しとあって、テレビを見ていて椅子から転げ落ちそうになった。サイボーグのような人生を歩んできた乃木が、急に距離が縮まった女医の柚木かおる(二階堂ふみ)と生まれて初めてのキスをし夜を明かしたことにより、にわかに人間としての愛情に目覚めたことをあらかじめ示し、愛の苦悩や肉親の情に絡めたストーリーに進展させるあたりは、「やはり!」と唸る脚本である。前のブログで「ここへ来てドラマは親子の愛情相克の模様も見せる」と記したとおりである。


しかし、このまま話は進んでいくのだろうか。そもそも話す事ができない謎の少女ジャミーンは人の心が読めるとされているが、彼女がバルカに旅立つ乃木に親愛の情を示し固く抱きつくのは、2重人格者の乃木が本当は善人であることを見抜いているからに他ならないはず。今回、乃木はバルカに向かう機内で、乗り合わせた警視庁公安課の野崎(阿部寛)の手をとって、ごく小さな声で何事かボソボソと囁く場面があるが、なぜいきなりそんな奇異な行動を彼がとったのかが今後のキーポイントになりそうだ。実はドラマのこの場面、乃木が小声で話す内容が、わざと聞こえ難くなるような謎めいた演出になっていた。最初は画面を見ても、注意散漫の私には彼が何を喋っているのか聞き取れなかったので、音声ボリュームを揚げビデオに撮った機内の場面を三度ほど見返してみた。


乃木が野崎に一言呟いた言葉は、「あなたは鶏群の一鶴、眼光紙背に徹す」であった。「鶏群の一鶴」とは広辞苑によると晋書(晋朝に書かれた歴史書)の言葉で、「多くの凡人の中にいる一人のすぐれた人のたとえ」とのこと。「眼光紙背に徹す」は「書物を読んで、ただ字句の解釈にとどまらず、その真意をくみとる」とある。「優れた人は目で見た物だけでなくその裏にある真実を理解する」という事をこのことわざは指している。すなわち乃木はこれから自分がとる裏切りの行動の真の狙いは、野崎には分かるはずだ、と云いたいのでないか。乃木ほどの訓練を受けた凄腕エージェントなら仲間を撃つ際に急所を外すことは難しくないであろうし、あるいは彼が裏切るのは最初から仕組まれた別班側のシナリオで、仲間が撃たれたフリをする出来レースであることが、野崎には理解してもらえるはずという筋立てだと想像する。


日本からモニターで監視している別班の女性ボスが、乃木の裏切りを見て「この事は口外しないよう」と周囲に指示するのも、全体の企みを口外しないようにすべしという意味だとすれば辻褄があう。乃木が仲間を撃つ銃撃現場近くに、回収部隊と思われる別班手配の輸送機が準備されていたのも、出来レースであることを示唆するのではないか。次回の予告編ショットでは、乃木に殺された仲間たちの棺を日本に輸送するらしいシーンが流れていたが、この種のドラマでわざわざ遺体を運ぶシーンを挿入するのも余りにわざとらしい。テントの中枢に迫るために、乃木が仲間を売ったふりをしているというのが、現在の私の見立てである。この後、野崎と乃木のハリーポッターに関する会話がどう回収されていくのだろうか。VIVANTは全10回シリーズと云われているから、まだ3回分ものストーリーがある。ベキはなぜテントのボスになり日本をテロの最終標的地とするのか、果たしてかおるは敵か味方か、話がどう話が進んでいくのか、ますます日曜日が楽しみになった。

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