膀胱がん+前立腺がん治療記 (続・続)
昨日、半年ごとの泌尿器科での膀胱がんと前立腺がんの術後検査を終えた。膀胱がんの手術よりちょうど5年、前立腺がん摘出手術よりまる3年である。その結果、CT検査ではがん転移は見られず、内視鏡検査で見た膀胱内部はきれい、尿検査の結果も問題なし、血液検査によるPSA値は0.004と無視出来る数値だった。これにより膀胱の方は以後の検査が不要となり、今後は半年ごとの前立腺の血液検査のみとなった。思い起こせば5年半前、飛鳥Ⅱの世界一周クルーズを前に、念のために受けた人間ドックの尿検査で見つかった膀胱内のトラブル(異形細胞擬陽性)である。前立腺腫瘍マーカーであるPSA値の方は60歳代以降徐々に高くなってきてたためそれなりに気にはしていたが、膀胱は何の自覚症状もなかったので人間ドックの結果はまさに青天の霹靂であった。
ドックから紹介された泌尿器科で再度尿検査と血液検査、前立腺触診などを受けた所、「気になるところではあるがたぶん緊急性はないだろう。ただ前立腺は早めに検査した方が良い」との医師の判断により、帰って来たらもう一度尿検査と血液検査やMRI、その後数日間入院し麻酔を受けた上で前立腺生検(とついでに膀胱内視鏡)を受けるという一連の予約を入れて、世界一周クルーズに旅立ったのであった。こうして100日間にわたるクルーズから下船して1週間も経たずに予定した血液・尿検査、MRIなどを受けたところ、検査翌日に主治医から我がスマホに電話があり「至急病院に来て下さい」との要請があった。病院からの電話は良からぬ前兆、思わぬ連絡に、青い顔で病院に駆け付けたのが昨日のことのようだ。
あわてて駆けこんだ病院では、前日の尿検査の結果が思いのほか悪いためその場で膀胱の内視鏡を受けたところ、これはマズイということになり、当初は主に前立腺検査のために予約していた入院日程を延長して急遽膀胱がんの手術を受けることになった。手術後は2か月間にわたり自宅からの通いで毎週BCG薬剤を膀胱内に注入する療法を続け、まずは膀胱の治療に集中する必要があるとの主治医の説明であった。それが落ち着いたらやはり前立腺のことも考えなければいけないと云われ、「僕の経験でも膀胱と前立腺の両方に別のガンがあるのはこれまで数例だけです」との言葉だった。長旅の余韻に浸る間もなくの宣告で、まさに天国から地獄に落ちたような気分になり、付き添いに一緒に来てくれた妻は「先生の説明を聞いているとき、あなたは涙目になってたわよ」と当時のことを語っている。
こうして5年前の夏に全身麻酔の膀胱がんの内視鏡手術を受け、その秋から冬にかけてはBCG注入治療を継続、その後に2泊入院を要する前立腺生検や他の諸検査を繰り返したのち、膀胱がん治療が落ち着いた3年前の夏に再び全身麻酔でこの病院に導入されたばかりのダヴィンチ(手術支援ロボット)を使っての前立腺摘出手術を経験することになった。一連の経緯は膀胱がん+前立腺がん治療記(1~6)(その後)(続編)に詳細を記した通りである。それまで泌尿器科などはもっと歳をとった老人が受診する科目で、わが人生とは無縁だろうと何となく思っていたが人間何がおこるか分からないものだ。
主治医はさっぱりした好感の持てる先生で、様々な説明も都度納得いくものとあって、「この先生のいうことなら仕方ない、任せよう」という気分で来たのがこの5年間である。両方のガンの術後経過観察はこれまで順調で、今では半年に一度の検査間隔になったが、それでも検査の前にはちょっと胸がざわつき、「もしや何か予期せぬトラブルが起きてはいないだろうか?」などとあらぬ心配が沸き起こるものだ。幸いなことに今回の検査の結果、5年間何も起こらなかったことから膀胱ガンは以後の検査不要となり、先生からは「長い間よく頑張りましたね」とねぎらいの言葉もありまずは一安心である。慣れたとは思うものの、下半身裸になって膀胱内視鏡検査の診察台に座り、大股開きになって局所麻酔もなしに股間に管を入れる苦行も今回で終了となった。「ああ、これももうやらなくて済む」と妻に話すと、「聞けば聞くほど婦人科検診の診察台と同じ感じなのよね」と彼女は傍らで笑っている。いろいろあったが、膀胱や前立腺のトラブルは、術後を除けば(適量ならば)酒のことを注意されないのはラッキーである。
膀胱がん+前立腺がん治療記(1/6)(2021年3月10日)
膀胱がん+前立腺がん治療記(2/6)(2021年3月11日)
膀胱がん+前立腺がん治療記(3/6)(2021年3月12日)
膀胱がん+前立腺がん治療記(4/6)(2021年3月13日)
膀胱がん+前立腺がん治療記(5/6)(2021年3月14日)
膀胱がん+前立腺がん治療記(6/6・最終)(2021年3月15日)
膀胱がん+前立腺がん治療記 (その後)(2022年2月11日)
膀胱がん+前立腺がん治療記 (続編)(2022年8月18日)
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